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暑い日
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真夏の暑い日。
日本の中でも上位を争う暑い県だ。(好んで争ってもいないけれど。)
外の気温は体温より暑い。
冷房のきいた事務所で仕事をしていると、熱波の中、一六銀行の鵜飼くんが営業にやってきた。
「暑いのに大変ですね」
と挨拶すると、
「今日は車ですから幾分楽なんです」
と答える。熱中症対策なのか車で営業に来たとは珍しい。いつもの様に自転車でこの熱波の中、走ってたら行き倒れてしまうに違いない。
今日は経理課長に書類を持ってきただけらしいが立ち話のカウンターに麦茶を出した。
「飲んでってくださいね」
と置くと「いつもありがとうございます」と素直に受けとってくれた。
一六銀行の鵜飼くんが帰ってからグラスを片付ける時に、営業の笠原くんが外回りから帰ってきた。
「お客さん?」
汗を拭きながら、空いたグラスをみて「この暑いのに」と付け足した。
「一六銀行さんよ」
ふーん、と言いながら
「森さんは一六銀行君には優しいね」
と嫌味を言う。
「あら、誰にでも優しいつもりですけど」
とあしらいながら早足で給湯室に向かった。
外回りから帰ってきたボクには冷たいお茶はないのかと言いたいらしい。
社員にお茶を出すほど、暇ではありません!
ご自分で給茶機からボタンを押して飲んだらよろしい!
これ以上、雑務が増えたらたまらない。
小さい会社だからこそ、経理・総務・労務を兼ねているし。営業の事務も兼ねている。毎日毎日、誰かが私の名前を呼んでいて応対にてんてこ舞いだ。
ふうっと一息付くと、電話がなる。
電話に出ながら、パソコンで伝票を打ち始める。同時進行しないと仕事が終わらないからだ。
中小企業は一個人の処理能力に目一杯頼ってくる。疲れて敵わん。
今日も定時でパソコンの電源を落とした。
日本の中でも上位を争う暑い県だ。(好んで争ってもいないけれど。)
外の気温は体温より暑い。
冷房のきいた事務所で仕事をしていると、熱波の中、一六銀行の鵜飼くんが営業にやってきた。
「暑いのに大変ですね」
と挨拶すると、
「今日は車ですから幾分楽なんです」
と答える。熱中症対策なのか車で営業に来たとは珍しい。いつもの様に自転車でこの熱波の中、走ってたら行き倒れてしまうに違いない。
今日は経理課長に書類を持ってきただけらしいが立ち話のカウンターに麦茶を出した。
「飲んでってくださいね」
と置くと「いつもありがとうございます」と素直に受けとってくれた。
一六銀行の鵜飼くんが帰ってからグラスを片付ける時に、営業の笠原くんが外回りから帰ってきた。
「お客さん?」
汗を拭きながら、空いたグラスをみて「この暑いのに」と付け足した。
「一六銀行さんよ」
ふーん、と言いながら
「森さんは一六銀行君には優しいね」
と嫌味を言う。
「あら、誰にでも優しいつもりですけど」
とあしらいながら早足で給湯室に向かった。
外回りから帰ってきたボクには冷たいお茶はないのかと言いたいらしい。
社員にお茶を出すほど、暇ではありません!
ご自分で給茶機からボタンを押して飲んだらよろしい!
これ以上、雑務が増えたらたまらない。
小さい会社だからこそ、経理・総務・労務を兼ねているし。営業の事務も兼ねている。毎日毎日、誰かが私の名前を呼んでいて応対にてんてこ舞いだ。
ふうっと一息付くと、電話がなる。
電話に出ながら、パソコンで伝票を打ち始める。同時進行しないと仕事が終わらないからだ。
中小企業は一個人の処理能力に目一杯頼ってくる。疲れて敵わん。
今日も定時でパソコンの電源を落とした。
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