キミアリテ、シアワセ

最後のラブレター

翔くんへ
私は記憶が無くなったとしても翔くんのことがずっとずっと大好きです。
翔くん、幸せになってください。



ツグミが僕に宛てた最後のラブレター。
幸せになって
ツグミが僕に最後に言った言葉もそうだった。
ちょっと丸みのあるツグミの文字が滲んだ。
生暖かい水が頬をつたってツグミの文字に落ちる。
僕にツグミなしでの幸せなんて見つけられるとでも思っているのだろうか。
ツグミのいない中での幸せなんてあるのだろうか。
今日の午後には手術が終わり、ツグミの病気は治る。
今日の午後にはツグミの中から僕は消える。
そしてツグミは新たな人生を歩み始めるのだ。
術後の経過観察や多少のリハビリが必要だそうだが、2週間程で退院出来るそうだ。
でも僕はもう二度とツグミには会えない。
会ったらまた病気が再発するかもしれないから。
「恋病」が。
この病が僕達を襲ったのは高2の夏のことだった。