私は今日、勇者を殺します。

夢空

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1.5章

兄貴としての意地

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GW2日目


高速道路は良いと隆二りゅうじは思う。

普段出せないスピード、窓を開ければ絶え間ない風の猛攻に要らぬ思考は途絶える。
そう、例え横にスーパーエリートガチヤンキーが居たとしても、移動して1時間経つのに会話の1つも起こらなかったとしても気にしなくていい。
無音なんて風の暴音によりかき消されるのだから────

「うるせェから閉めてくんね?」

「…………はい」

再び無音になってしまった。
チラリと隣を見ればスマホを横持ちにしてゲームか何かで暇つぶしをしている。
画面には可愛らしい金髪幼女が忙しなく動き敵と戦っている。
年齢は多分30前後でドクロ大好きヤンキーかと思えばエリート警察で、次はオタク気質のロリコン。
ますますこの男のキャラが分からない。

あと1、2時間運転すれば目的地に着くのだが、やはり会話が出来ていないのはこれからの作戦上も、そして今の車内の空気も良くない。
必死になにか話題を探して、1つ言っとくべきことを思いつく。

「あのよ」

「ン」

鮫山さめやまは目線をスマホから外さず声だけで答える。隆二は話す切り口が見つからず「えーとだな……」と少し迷って、

「あの時はありがとな」

隆二が言うと、隣の空気が固まったような気がした。チラリとそちらを見るとゲームを見ていたはずの鮫山は引いた顔で隆二を見ている。

「は……?  アンタもしかしてマゾかよ」

「は? いやちがうちがう! お前……鮫山さんに殴られたのは今でも恨んでるよ。でもその後にちゃんと連れてってくれただろ風太のところに」

ボコボコにされた後に引きづられてだが、このヤンキー……もとい鮫山は隆二の望みを叶えてくれたのだ。

「鮫山さんにとっちゃ俺を連れていくのですら風太の命令違反のはずだ。なんでしてくれたんだ?」

「……気が変わったンだ。つッてもどうせ納得しねェんだろうが」

鼻で笑うと再び手元のスマホへ意識を向けた。そうなると無言が間を支配する。
今の会話の流れで助けた理由を言ってくれると思っていたのだが本人に言う気は無いらしい。

無音が痛い。いっそ音楽でもかけるか。でも鮫山さんの趣味がわからねぇから知らん曲流してもなぁ。

そんな感じに頭を悩ましていると─────スマホが鳴る。
馴染みのない電話番号。記憶にないそれに1つ当たりがつく。
運転中の事もあり、スピーカーにして電話に出た。

『やあ室井。それに幸次郎、仲良くやってるかい?』

「……お前分かって言ってるだろ。楽しんでるだろ」

その苦言にからからと笑う通話相手。
この性根の悪さ、人を食ったような言い方。
間違いない、芥子風太だ。
通話相手はごめんごめん、とだけ軽く謝りすぐに声色を戻す。

『君たちに言うべきだと思ってね。僕たち芥子探偵事務所が追っている組織《犯罪浄化執行会》についてね』

真剣な声。
それに意識を変える。
着いていった友人が悲惨な死を遂げた件。彼が隆二を説得してた時に言っていたのと関連があると嫌でも分かる。
嫌な予感、悪の秘密結社と予想をつけて次の言葉を待っていると、ただ一言。

『彼らは犯罪者じゃない』

彼の放った一言に車内にて疑問符が出る。
死んだ友人の件、そして悪の組織という2点から犯罪を犯していることは明確。
風太の言う事はいつも変に曲解を与えることが多いからこれも何かを含んでいるのか、そう考える。
例えば宗教的に犯罪ではない、とか、まさか犯罪者を殺すから犯罪では無いという暴論なのか。
頭を悩ましていると通話は続ける。

『詳しくはまた後日言うけど、これだけは覚えていて。彼らは犯罪者じゃないんだ。
彼らは被害者に加害者への復讐する機会を与える人達。自ら手を出したりしない』

「それは……犯罪になンだろ。殺人教唆きょうさとか」

『彼らは一言も殺せ、なんて言わない。ただ選択肢を与えるだけだ。場所も物も色々用意するのは彼らだが、それらで何をするかは被害者自身だ』

隆二も気づいていた鮫山の反論にも芥子は正確に答える。
芥子も本気で追っている以上色々な方面から攻め方を考えていて、でも攻めきれていない。そんな状態が伺える。

『これを言ったのは、もしかしたら君たちにも接触してくるかもしれないからだ。僕達と行動を共にしているからね。
だからもし接触してきたらこう言うといい。「僕らは解答者では無い、芥子風太とは共闘しているだけ」とね。』

「解答者……?」

『ゲームを盛り上げるための人柱のようなものさ。まあ言いたいのはそれだけ。それじゃあ室井に幸次郎、調査の方任せたよ』

「あ、ちょっと待てふう」

プツンと切られる通話。
会話と言うよりも言葉の押しつけで終わる通話はやはり芥子の自分勝手さがよく現れていて疲れを感じてしまう。

「アンタも振り回されてンな」

ため息をつく隆二に投げかけられる同情の言葉に、少し興味が湧いた。

「鮫山さんも風太と何かあったんすか?」

「別に……あと鮫山でいい。サツが極道もんに敬称は要らねェよ」

また少しの間が空く。
GW中なのにも関わらず高速道路に車の影はなく、ストレスなく目的地へと向かえる。
もしこの空気で渋滞にでも捕まればそれこそ何を仕出かすか分からない。
そんな無音の重たい空気を次に破ったのは驚くことに鮫山だった。

「アンタ何のためにサツになったんだ?」

「え………あー臭い言い方ですけど、守るものの為にっすよ。その為に警官になったんす」

途端の質問。しかも鮫山に似つかわしくない真面目すぎるそれに少し面食らうも答える。
どうせ鼻で笑って馬鹿にしてくるんだろうな、と思って隣を見れば。

イライライライライライライライラ

頭に青筋が浮かんでいた。
はち切れる寸前の風船。真っ赤に脹れたそれに少しでも衝撃を与えれば、隆二なんて簡単に吹き飛ぶだろう。
そうならないのは、爆発直前で鮫山が必死に抑えてるからだ。手元の金髪幼女を何度もTAPしてその声で怒りを和らげている。
そんな怒り心頭の鮫山に対して顔を青くしている隆二。
ふと、風船が口を開いた。

「その目的じゃあ警官は重すぎる」

含みのある言い方に疑問が湧く。
どういう意味なのか。特務を辞めたのはそれが理由なのか。

しかし口に出せない。
爆発寸前の風船に針を刺すなんて、さすがの隆二でも気が引けたのだ。

そうして車は目的地へと進む。
不安要素だらけの2人組を乗せて。


****


GW3日目

昨日の夜、というよりも今日の朝に着き少し仮眠。その後、続々と集まるパトカーを見つけ合流。
警官の数は思ったよりも少なく、大体15人ほどだろうか。
隆二たちは車から降り、警官たちに命令を下している男の元へと急いだ。

眼鏡をかけ、短髪を7:3分けにし痩せこけた頬。
真面目というパラメーターに全振りをしているという印象の男がいる。
隆二が近づけば向こうから話しかけてくれた。

「お疲れ様です。私、2課の桑田くわたと申します。今回の礼状捜査の担当になります。確か室井隆二さんですね。話は蒼崎課長から聞いています。」

「で、では同行しても宜しいですか?」

「ええ、勿論です。聞けばあの芥子風太先生の調査らしいじゃないですか。私の尊敬する人物の一人なんですよ、彼」

風太ってそんなに人気なのか?あんな自分勝手な子供が?
そんな疑問が頭の隅で湧くがしかし隆二は安心しきってため息を着く。
実際のところ、調査権限のない室井隆二たちにとってこの出会い頭が最も大事なパーツであった。
厄介払いでもされたら、後はもう見つからないように潜入するしかなくなる。そんな危険な賭けに勝ち息をついていた隆二の隣に不機嫌そうな顔つきの鮫山がやってくる。

「おい、検察の奴らはどこだ。
あのイラつくマーク持ち1人も見当たらねェぞ」

噛み付く不機嫌鮫山とそれに目を丸くする桑田。折角丸く収まっていた輪を乱そうとする鮫山に顔真っ青の隆二。
雰囲気でわかる。この2人は相性最悪だ。

「失礼ですが貴方は? 私が聞いていたのは室井隆二だけで貴方のようなチンピラは聞いておりませんが。」

「話変えてんじゃねえよ! 検察の奴らはなぜ来ない! 調査すんのはアイツらの仕事だろうが!」

「さあ? 私はただ資料を回収して持ち帰るだけです。
大方他の仕事で手一杯なんじゃないんですか。貴方のようなチンピラと違ってこちらは忙しいですので。仕事の邪魔です失せなさい」

「なんだとテメェ」

「ちょ、ちょっと待った!」

このままでは公務執行妨害でジ・エンドだ。
調査も何も出来ず留置所で芥子と合流することになる。

あんなにしてようやく風太から認めて貰ったのに、どんな顔して会えばいいんだよ
絶対キレる。ボコったりはされないけど絶対それ以上の苦痛を何かで与えてくる……!

『隆二は僕の助手だって自覚はあるのかい?あんなに息巻いて胸張って自信満々に飛び出して、飛び出た先が留置所ってまるで落語だね。ああ、笑うって言っても嘲笑の方だけど。ほんっと大人なのになっさけなーい』

笑顔なのに目が笑っていない芥子の1時間言葉責めの刑を簡単に予想出来てしまい震え上がる隆二。
心臓をバクバクと言わしながら、すぐさま二人の間に入り込んで論争を止める。
鮫山の同行が許される理由を必死に考えて、一つの完璧な案を口に出した。

「こいつは……俺の相棒みたいなものなんだ。ここは俺の顔に免じて許してくれよ」

「貴方の顔になんの価値があるんですか?」「誰がテメェの相棒だ! 死ンでもやるか!」

なんで、こう……上手くいかないんだろうか。特に鮫山。俺お前のこと庇ってるんだよ?分かってる?
二人の間に入り込んだが、結局隆二を挟んで睨み合い、バチバチと火花を散らして……最終的に桑田が折れた。

「貴方たちの同伴は認めますが、それは蒼崎さんの計らいあっての事。つまり、要らないことをしたらすぐに摘みだします。機材にも触れないでください。いいですね?」

「ああ、気をつける!な、それでいいよな鮫山」

「……………………………………うす」

渋々答える鮫山、そして汗をダラダラと流しながらため息をつく隆二。
ちらりと桑田の顔を見れば、

(こりゃ好印象の顔じゃないよなぁ)

真面目な顔つきに変化はない。
しかし、その目にはハッキリと険の色が帯びていてまだ始まってもいない礼状捜査に肩が重くなるのを感じた。


***


施設内は、なんか普通だった。

隆二が妄想してた除菌室や網膜センサーやレーダー光線のトラップ何てものもない。
少し年季を感じさせる会社内は閑散としていて、人が誰もいない廃墟に来たような感覚だ。
しかしよく見ればホコリひとつなく良く手入れされている。

大きな違和感が隆二を包む。
この会社の無人なのに清掃などの人の気配や、今自分たちの前を引率して歩いている糸目担当員の態度だ。

先程桑田が言い放ったテレビジャックの容疑が掛けられている事も、まるで自分たちは関係がないかのように軽々と調査を了承していた。

さらに言えば事前に与えられた情報も何かがおかしい。

テレビジャックに使われたスーパーコンピューターがここにあると言われたのだが、今隆二たちがいる場所は岐阜県のとある山の入口に近い辺鄙へんぴな田舎だ。
隆二の中でのスパコンは神戸にある京しか知らないので、そのイメージギャップによって何故ここにあるのか、と1つ疑問に感じる。

2つは、今隆二たちが歩いているこの会社が、からだ。
無いものがあるという簡単な疑問に前の担当員は勿論、周囲の歪さも余計に不信へと変わっていく。

疑問は不信に、不信は恐怖へと変わり隆二はキョロキョロと周囲を警戒している、のだが。
通る廊下にドアはいくつもあるものの、目的地は最奥なのか部長と名乗っていた人間は止まらず先へと案内する。
そのままらズンズンと奥へ行くと止まり、こちらにと左手のドアに誘導された。
担当員の後ろを歩いていた桑田が開けて入ると、その後ろの警官たちが続々と入っていきそれに続いて隆二たちも入室した。

「うお」

思わず声が出てしまった。

案内された部屋の中。まず壁一面には大きなディスプレイが1つ、その周りを囲むように7つの小さなディスプレイがある。
そして部屋の内部にはPCが何列にも並びその画面にはプログラム言語が連なっている。
いつか映画で見たNASAの司令室、その小さい版のようだ。

また疑問の色が強くなる。
これだけのPCを並べておきながらすれ違った人が一人もいないことに。
そして、その事を誰も気にしないことにも。

「あそこが、か」

ふと、隣で呟く鮫山に隆二も彼が見ている先を見た。
カメラの1つ。そこには何台ものスーパーコンピューターが並べられた部屋が映し出されており、まさしく隆二たちが調査しに来た理由だ。

「これが処理内容の記録PCとなっており、あっちが操作処理用のPCとなっています。向こうには監視カメラの映像が保存されています。」

担当員は的確に説明をし、それを合図に、いやもうとっくに警官たちが調査を始めていた。
部屋中にキーボードの打たれる音が響き、鮫山は記録PCの方へと移動し監視を始めた。

「じゃあ、あの、見張りよろしくっす」

「……うす」

互いが互いにどんな立場で扱えばいいのか不明だから口調がおかしくなってしまう。
まだお互い距離感を掴めず様子見といった感じだが、もう調査は始まっている。すぐに頭の片隅においやった。

「ではお話をお伺いしても?」

「ええ、応接室の方へ案内しますよ」

隆二にはパソコン知識も人並み。もし改ざんやらデータ消去なんてされても分からないだろう。そこは鮫山に任せて、隆二は聞き込みだ。

隆二に任せて良かったと芥子の期待に応えること。そして、真昼を巻き込んだこの事件の犯人にたどり着けるように。
前を行く担当員を見て、彼が真昼を巻き込んだ犯人だと言う可能性を捨てないよう警戒を続けた。

「私も行きます」

後ろから来た桑田と一緒に向かうのであった。

………気まずいなぁ



***



岐阜県にある施設内。
敵の本拠地だと芥子から聞かされ緊張と警戒で踏み込んだそこは廃墟も同然の閑散ぶりであった。
机はあるのに使用者はいない。使われてないのにホコリは無い。
その違和感に、ある予想が隆二に湧いてくる。
それも最悪な予想だ。

もし礼状捜査が外部に漏れていた場合、彼らの仲間が大事な情報を持って逃げ出したのでは無いのか

その予想は浮かび上がった後に、偶然にも隆二が覚えていた疑問の1つを解消させた。
つまり、なぜ犯人の一味であるはずの担当員がこんなに平然としているのか、という疑問。
調べられても、バレる物を隠した後なら焦る必要が無いからだろう。
そんな隆二には似つかわしくない冴えが余計に焦りを覚えさせ、

「あの、人は誰もいないんですか?」

とうとう聞いてしまった。
チラリと後ろを向く担当員の糸目が少し開かれている。謎の圧力を感じ身構えるが、すぐに担当員は笑顔へと戻った。

「ええ、ここは数人の技術者がシフト交代で番をしているだけですからね。着きましたよ」

彼の言っている事が本当なのか嘘なのか。
ここに小鳥遊が居れば、という後悔が募るばかり。
結局彼の発言が正しいのか嘘なのか、分からないままにと到着してしまった。
ハッキリしない不快感にため息をつきつつ、部屋へと入ろうとして後ろから声をかけられた。

「室井隆二さん。分かっているとは思いますが、資料は我々が署に持ち帰ります。貴方が許可されているのは解析班が終わるまでの数十分だけです。例え蒼崎さんの命令だったとしてもこれだけは守っていただきます。」

「………ああ」

やはり信用度はかなり下がっているらしい。
失ったものはしょうがない、と息をつき気持ちを変えて部屋へと1歩入った。
続いて桑田も入ってきた。

……………今のタイミングで声掛けてお前も部屋に入るのかよ



****



担当員に連れられ着いた場所は応接室。
椅子に座り、聞き込みを開始する。

「それで、話してくださるんですよね。なぜここにスパコンがあって何をしていたのか」

普通の会社にスパコンなんてものは存在しない。いや、そもそもここには何も無いはずなのだ。
ここになぜスパコンがあるのか、そして潰れた会社が存在している理由。それを担当員は話し始めた。

「ここは昔から岐阜県全体の火山の活動を監視していたんですよ。特に御嶽山がかなり活動的だった頃、その予測の計算をする為にスパコンを大々的に取り入れました。
ですが今や活動は低下し、脅威度が下がった際国が1箇所で管理することになりこの会社は潰れたんですが、その時会社を買取って下さった方がいたんですよ」

無くなったのに今ある理由がそれだと彼は言う。必要なくなったから潰され、しかし買い直されたと。
つまり、ここにあるパソコン全てが。

「つまり、ずっと前から貸していたと?」

「ええ、我々はここのパソコンの機嫌を取るだけです。これがその契約書となります」

それが数人で番をする理由。
そもそも我々はここのスパコンは扱っていない、と彼は言っている。
そしてそれは貸出をしていたからと。
というのなら、その貸出先の人物こそがPJ事件の犯人、少なくともテレビジャックをした犯人だと言えるのではないか。

「その契約書見せてもらってもいいですか!?」

「構いませんよ。どうせ持っていかれますしね」

実に簡単に渡された書類の束。
確かに、貸出をしていたのならこの担当員の態度。自分とは関係の無い態度も納得が行く。
加えて会社内が綺麗なのもパソコンの調整だけで仕事のない技術者が掃除をしているのなら話は通る。
しかし、と目の前の糸目を見る。あまりに簡単に犯人への手がかり、というか証拠を渡されたので疑心暗鬼になっている。契約書の偽装も視野に入れるべきだろうと契約書を受け取った。

受け取った紙の束は不自然に重く感じる。
それはこの大事件の根幹、犯人の名前が書かれているという意識が隆二の中で緊張を高めているからだ。
拍動する心臓を無理やり抑え静かに息を吐く。
恐る恐る一枚目を捲り、それに目を通した。

「これが─────は……?」

口から間の抜けた音がする。
契約書。長々とした契約内容を辿った先、紙の1番下にその名は記されていた。
記されていた、記されてはいた。
日本人の名前が書かれていた、のにこれはよく分からない。
理解できない、意味がわからない。

「いや、ありえ、ないだろ……なんで、ここでその名前が出てくる!?」

早くなる鼓動、うわ言のように呟き目をつぶってから再び確認する。
しかし契約者の名は変わらない。
千年原真昼を巻き込んだ犯人、隆二が殴るべき敵、そしてPJ事件を起こした元凶。

書かれていた名は─────────────雨宮天

未解決で既に捜査が中断された誘拐事件。その被害者の名前がここに書かれていた。


***


何かが繋がっていく。
色々な事件が何かを中心にして繋がり広がり、その一端を隆二は見ている。
一端だから全容が見えず規模が分からないのはしょうがない。しかし、その一端ですら意味がわからない。このPJ事件と雨宮児童誘拐事件の何が繋がるというのか。

廊下へと出てすぐさまスマホを取り出す隆二。電話をかける相手は決まっている。
数秒の間コールが続き、

『はいよーもしもしー』

辰巳たつみ、雨宮児童誘拐の書類まだ持ってるか!?」

『おいおい、どうしたんだよ急に』

今朝、憩で食事をとった同僚、辰巳だ。挨拶なんてそっちのけで隆二は理由も言わず要件を話す。
彼がまだ処分をしていないのであれば、その資料を使ってこの事件の究明に一気に近づけるからだ。
しかし、

『あまみや、あまみや……あーあの先輩から任されたあれな。でももうねぇよ。処分しちまったからな』

現実は無情であった。
考えればあの朝には処分が決定されていて、あれから2日経っている。残している方がおかしい。

「そうか……」

あと一歩早ければ。そんな後悔を込めて吐き出すと通話先から何かを思いついたように話し出す。

『でも、この事件の担当してた弁護士ならまだ持ってるんじゃねーかな。えーと確か柊 源生ひいらぎ げんせいとかって爺さんが担当だったはずだぜ』

「そんな簡単に渡してくれないだろ、令状も何も無いただの警官1人に」

事件を調査しているのは警察だけではない。弁護士も警察と同等以上の調査はしているだろう。しかし、していたといてもそれを閲覧する権利を隆二は持っていない。

『でも盗み見くらいならさせてくれるんじゃね。そこの社員にでも媚び売ったらさ』

「そんなコネなんか俺にあると思ってんのか。それとも馬鹿にしてるのかな」

イケメンで顔の広い通話相手に怒りで震えながら返答すると、通話先から疑問の声が上がる。

『何言ってんだお前。コネあるやつなら身近に居るじゃねーか』

何を言ってるんだ。そう言おうとして向こうの方が早く告げた。

『ほら、柊源生っていえば東雲しののめんとこの社長だろ。お前ら幼なじみじゃなかったっけ』

たえばあ特製コロッケを頬張る彼女が脳裏に浮かぶ。まさかの偶然が諦観の隆二に希望を示した。

まだ終わらない、終われない……!

次の道標へと歩を進めたのであった。



***



「急に騒いでどうしたんですか」

廊下で電話を掛けていた隆二に声をかける桑田。彼からすれば資料を見た隆二が急に騒いで電話をかけ始めたのだ。変人すぎて気になるのは仕方ない。

「知らないのか。契約書に書かれてた名前は昔起きた誘拐事件の被害者名だったんだ」

その言葉に分かりやすいほど驚く桑田。隆二もあの朝に見ていなければ気づかなかったぐらいだ。しかし、だからこそ見過ごせない。

「悪いがもう一度聞かせてくれ。今日なんで検察官は来なかったんだ? 資料を署に持ち帰るって言ってたが、本当はどこに持っていく命令なんだ?」

「………………帰りたまえ」

ここの資料は昔の大事件へと繋がる大事な手がかりだ。その手がかりを何処に持っていくのか、再び問うと、

「帰りたまえ! あの礼儀無しも連れて早く消えろ!」

豹変する桑田。
怒り、というよりも混乱している彼は少し俯いて、

「いいから、今は帰りたまえ」

それだけポツリと言う。
どう踏み込めばいいのか分からない隆二は、とりあえず鮫山と合流するためその場を後にした。
隆二が居なくなってすぐ、桑田は手を強く握る。自身に下された命令に大きく疑問を感じている。

「そんなはずは………」

廊下に響くのは疑惑の声。
疑惑は不信に、不信は恐怖へと変わる。
そう。彼もまた、隆二と同じぐらい警察に夢を持っていたのだ。



*******



同日同時刻  地方都市の街中通りにて

また雨が降っている。今度はかなり激しめだ。
屋根を打つ音と傘を打つ音、そして水たまりを駆ける車の音。
梅雨には早過ぎないか、そう思わせるほどのジメジメ感はしかし。
音に飲まれる彼にとって気づきもしない外界の情報だったが、そこに一つ異音が混ざる。

電話のコール音だ。

それを皮切りに外界へと戻ってきた彼、芥子は電話番号を見る。
隆二からの電話だ。早くもなにか情報が出たのだろう。
右から来た道を、また右に戻って通話へと入った。


***


「ふんふん、施設内の監視カメラにも数人しか映っていないと」

隆二からの連絡から情報を整理し手帳へと記す。加えて鮫山からの報告を終えると、隆二は前置きを長々と置いてまるで世紀の大発見でも見つけたかのように貸出先の名前、雨宮天の名前を出すが、それだって芥子にとってはまだ想定内。
当たりはついているのだから。

しかし、それに室井が爆発する。

『いや、待ってくれおかしいだろ! 契約が始まっていた半年間も今来てる警察たちもなんでこの事に気づかなかった! 誘拐事件を捜査していたならその契約で足が着いたはずだろう!?』

「隆二、自分で答えを言ってるじゃないか。捜査していたなら、って」

息の詰まる音が聞こえる。
隆二自身も信じたくなかったからこそ口に出していて気づかなかったのだろう。

「彼ら警察はその誘拐事件を解決するつもりが無いのさ。そして今回の事もきっと抹消される。礼状で捜査はしたが結果は何も無かった、と。逆探知の誤作動とでも真実を曲げてね」

隆二の報告の検察官の不在。
つまり、この令状捜査自体が裏で操られているはずであり、そして警察を操れるほどの大きな存在がこの事件の裏にいる事が分かる。
芥子の予測、いや明確な事実に通話先でもやるせなさが感じられる。

『そんな……じゃあ俺たちがしてきた事に意味はなかったんすか。ここで全部消されるなら』

「それは違うよ隆二。僕たちに検挙する力がないだけで、僕たちがそこに来てそして見たという結果は残る。これで相手はそこを何度も使うことが出来なくなる。相手の自由度を奪ったんだ、無駄なんてものはひとつとしてないよ」

隆二の捜査は必要だった。
闇に侵された警官だけが向かっていたのなら、この契約者の名前自体明るみにならなかったのだから。

「落ち込むのは大事だけど、それは今じゃない。後で送る場所に幸次郎と一緒に向かって」

それだけ言うとすぐに電話を切る。
うだうだ悩んでいる成人男性に構っている時間などない。それが女子高生だというのなら考えてもいいのだが。

「さて、と。どっちに行けばいいのか」

かっこよく通話を切った彼、芥子風太。
実はいま迷子中だ。
向かいたい場所は分かるものの、土地勘はゼロ。スマホもゲームのし過ぎか遅延がかかりマップアプリが正常に機能しない。
住宅街の大きめの通りにいるのに、マップアプリでは金閣寺の中にいる事になっている。

なんてこった、夢が一つ叶っちゃったな。

なんて軽口を叩きつつフラフラとあっち行ったりこっち行ったりしていると、偶然にも見つけた。
数人の通りの中にちょうど傘をさしてる警察官が右前方に立っている。
後ろからくる人に当たらないよう道を横断。
やっぱり僕は運がついてるらしい。

「こんにちは警察官さん。ちょっと道に迷ってて」

「大丈夫かい坊や。どこに行くつもりなんだ?」

「才門小学校って所に行きたいんだ。僕の友達がそこに転校しちゃって、行って驚かしたいの!」

身振り手振りは大袈裟に。
視線を離さず、彼の特徴を覚えていく。
目元のほくろ、右耳が少し削れていて、おでこに少し傷跡がある。

「あーそうなんだね。ちょっと待ってね調べてみるから………うん、あそこの路地裏を曲がって真っ直ぐ進むと才門小学校に着くよ」

「ありがとうございます!」

頭を下げ警官の指さした方向へと歩く。
歩く、歩く、歩く。

数歩歩いてから、わらった。

「警察官が『傘』ねぇ」

最後に地図を見た記憶を思い出す。才門小学校は警官が指さした真逆の方向だ。

「あはは、ほんとに面白い街だねここは」

監視は3人、僕の体格体力筋力じゃあ手も足も出ないな。
話しかけた時に急に襲ってくる素振りはなかったのは通りに人がいたから襲うにも襲えなかったのだろう。
しかし、このまま行くと大通りから離れてしまいその内人通りも無くなり彼らも動き出す。


─────────さぁどう撒いたものか




***







~3日後~



途端にかけられた招集の日。
犯罪浄化執行会の接触を想定して普段は別行動を取る隆二と芥子たちだったが、その日はある作戦のミーティングも兼ねて集まっていた。

普段は2人しか姿のない芥子探偵事務所には今や6人の男女が集まっている。
芥子、小鳥遊、B2、幸次郎、隆二、そして。

「なんで私が買い出しなんですか。あなたが行きなさいチンピラ。そういう見た目ですし」

「テメェ録音すッからもッかい言ってみろ。天下の警察官が外見蔑視とか良いトレンドじゃねェか」

「もう俺が行くから落ち着けお前ら」

桑田と鮫山がまたしょうもない事でいがみ合い、それを仲裁する隆二。もう何度目だろうこの光景。
そしてその3人を見てケラケラ笑う芥子。

「隆二も2人の扱い方心得てきたね」

「でもそれって先生は放任するっていうか、外から眺めて楽しむから隆二さんがしょうがなくやってんですよ。部下の統一くらい先生がしてください」

「dustの分際で風太さんによくそんな大口叩けるわね。私なら弾除けにしかならない大口弟弟子なんて即切り捨てるんだけど」

「……今日も口が悪いですね姉弟子」

ダメだよ銀、と芥子は立ち上がり小鳥遊の左腕を抱えて小鳥遊を庇う。

「小鳥遊くんが落ちこぼれのDランクだからってdust呼ばわりはダメだよ。例え先に僕の弟子になってるのに、後から入った銀が姉弟子になるような体たらくでもdustはダメだよ、Silly程度で許してあげて」

「寛容すぎます風太さん! 」

「それ、ゴミからバカに変わっただけなんですけど」

そうやって学校の休憩時間を思わせるような賑やかさに、1つのコール音が混じる。
鮫山と睨み合いをしている桑田の電話からだ。
目的の情報かと皆が静まり、桑田は電話を取る。
桑田が持ってきた情報、それはあのスパコンに繋がっていたと思われる数箇所の事業所、研究施設、保管施設の場所と名前だった。
今彼が電話している内容はその数箇所への捜査協力の電話であり、この数時間芥子たちはそれを待っていたのだ。
そうして数分の会話の後、通話は終わった。

「捜査権限頂きました!」

「よし、みんな行くよ、準備して!
ねぇ小鳥遊ー、僕の警官服何処行ったっけ?」

「先生は外見的に偽装無理なんで出入りはカバンの中です」

「尊敬が感じられないー」

そう。今回俺たちの服装は警察服だ。
隆二はいつもの服装だが、他は着慣れない服装ただのコスプレに居心地が悪そうだ。
芥子は芥子でショルダーバッグにピッタリ入る事に愕然と落ち込んでいた。
そこに嬉々として集まる弟子たち。

「わ、わわわ私がお運びしても宜しいでしょうか………!」

「姉弟子は筋力足りないでしょ。僕が持ちますよ先生」

「チッしね小鳥遊」

「死ねってなんですか!姉弟子だからって言って悪いことあるでしょ!」

探偵組はこんなんだし。

「きみ、金髪は流石に不味いでしょう。似合ってもないですし、今のうちに染め直します。来なさい。」

「テメェ! 引っ張んじゃねェぶっころッすぞ!オイ!隆二テメェが連れてきたンだこいつどうにかシろ! 」

警察組はこんなんだし。
てか桑田さんよくあの 鮫山に手上げれるな。いつ爆発するかこっちが不安で心臓痛いんだけど。

なんて感心してると、またコール音が響く。先程よりも少し重い音は隆二の腰から鳴っていた。
誰だろうと思いつつ、表示された番号で誰かが分かりすぐにでた。

『あー隆二くんか?』

「先輩お久しぶりです!」

それはこのPJ事件の芥子の担当に付けてくれた先輩、蒼崎であった。
かなり懐かしさを感じる再開に自然と頬が上がり、何か用があるのか聞いてみる。

『たしか今芥子たちといるよな?』

「ええ、今居ますけど変わりますか?」

『いやいいよ、頑張ってるんだね。じゃあ隆二くん、その捜査止めとこうか』

一瞬、何を言っているのか分からなかった。
文章がおかしいからか、それとも蒼崎先輩らしからぬセリフだからだろうか。

『須川猛が自殺したんだ。上も捜査が不可能だと考えてね。2課以外全部止めてるんだよ
だから隆二くん明日から三嶋の派出所に戻ってね。来なかったら厳罰だよ』

それだけ言うと通話は切れた。
なんで俺の周りにはすぐ通話を切るような人しかいないんだ、なんて場違いにも考えていた。
捜査の打ち止め。それは実質未解決事件として流すという決断だ。

警察は組織的、悪くいえば自由なんて何も無い。

頭が働かない。隆二がここで捜査出来て、真昼を守る手段が選べるのは蒼崎の補佐があってこそ。
その土台が崩れた今隆二が今できることは何なのか。何も浮かばない現実に助けを求めるため上司を見る。

「どうしたらいい風太」

「警察も隠す気がなくなってきたな。
まああの蒼崎が着いてこなかったので大体察していたけど。じゃあまた選択肢だ、隆二」

彼はそう言って2つの選択肢を取り出す。

「ここらで捜査を止めて元の日常に戻るか、僕らと一緒に来て警官を辞めるか」

それはどっちを取っても後悔する。そんなイカサマじみた選択肢で、しかし現実であった。
無情にも隆二を追い詰め時間を削っていく。

「さあ、選んで隆二。
君の意見を僕は尊重しよう」

笑顔の彼は、しかし真剣だ。
彼は言っている。この選択は隆二が選ばなければならなく、そしてその決断に誰も文句は言わないと。

隆二は考える。
この2つの選択肢を別の言い方で言い換えれば。
警官を辞めて今の真昼を助けるのか、今後の真昼を助ける為に警官を続けるのか。

それは隆二にとって選べない選択肢だ。
今の真昼が泣いている事実は変わらないし、今後どんな事件に巻き込まれるか分からない。
だからどうなるかと言うと、無言。
ただ、選べない。今と今後の真昼を天秤に掛けられない。

「ああ、その選択こそ君たちっぽいね」

そう言った芥子は複雑そうな顔つきで、ドアの方へと振り返った。

「皆行くよ。中途半端な人にこの仕事は務まらない」

そう言って隆二を突き放す。
その時、気づいた。
隆二が選べないから芥子に選ばせてしまったことに。弱い隆二を追い詰めないために憎まれ役を買って出たのだ。
それに、また情けなくなって笑ってしまった。

「いいや、その必要はないっす」

そう言って顔を上げる。
覚悟は決めた。と言うよりもさっき決まった。

真昼の助けを他人に任せるのか、りゅう兄の仕事を取られてもいいのか。

合理的な論理も裏をかくような思惑もない。
ただの兄貴としての意地が最後に隆二を後押しした。
すぐにスマホから電話アプリを呼び出し、数コールの後に繋がる。

「あ、もしもし蒼崎さんっすか。
忠告ありがとうございます。ですけど、自分言いましたよね、真昼を助ける為に警官になったって。それは今とか今後とか関係ないんすよ。あいつが困ってたら助ける。警官ってのはその道具みたいなものなんす。警官のために今の真昼を他人に放るのは逆転してんすよ
だから、俺は行くっすよ。
後で自分んとこの事務に辞表出しとくんで迷惑はかけないです。今までありがとうございました」

『………そうか』

それだけ言われるとプツリと通話が切れた。
もうこの番号にかけても出て貰えないだろう。
少し寂しさを感じつつも、隆二は前に並ぶ仲間たちに笑った。

「また、驚かされたね室井」

「はい、今のは小鳥遊じゃ出来ない決断ですね」

「また俺を出すの止めてください。はぁ、一緒に頑張りましょうね隆二さん」

その隆二に探偵組が一人一人暖かい言葉を投げかけてくれる。
照れ笑いながらもそれを受け取っていると、すぐ後に鮫山が来た。
また不機嫌そうな顔つきだが、これは怒りと言うよりも嫉妬、だろうか?

「まあいつかは足枷になるだろうッて思ッてたけどな。でもお前は俺とは違う決断をした。悪いがその先は俺も気になッてるからな、見とくゼお前の事」

「お、おう」

ふと、車で岐阜に向かってた頃の会話を思い出す。あれはこの事だったのか、と1人納得していると鮫山の後ろで立つ桑田と目が合った。
すぐ視線を外して事務所の端に行くが、その時彼の口角が少し上がっていることに隆二は気づいていた。

もう警官の頃には戻れない。
街のパトロールも、同僚たちとのバカ騒ぎももう出来ない。

でも、と目の前の景色に頬が綻ぶ。

今俺がいるべき場所はここだ。そうはっきりと確信した。そして、ここでこそ真昼を助けられると信じている。

「さあ行こうか! 次は潜入捜査だ!」

芥子の号令と共に動き出す5人。
一人一人に色々な気持ちが顔に現れる。

謎を解きたい、頑張って先生に認められたい、正義を貫きたい、そして真昼を守ってやりたい。

それぞれの思いを胸に彼らは歩き出す。
覚悟を決めた戦士たちは、しかし。
号令を出した本人がショルダーバッグからの顔だし状態じゃ無ければもっとカッコイイんだが。
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