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兄が度を超えたシスコンだと私だけが知っている。
しおりを挟む就寝の準備を終え、ベッドに入る。
キラキラとした光の粒が、灯りを消した部屋の中に幻想的に輝いている。
(カティ~、また変態がカティの写真にキスしてたよ~??)
(カティ、カティってずーっと名前呼んでるの!紙切れが返事なんてするわけないのにねっ!)
(頭おかしいの~)
頭の中に聞こえてきた声に思わず苦笑が漏れた。
光を撒き散らしながら部屋の中を飛び回り、いつもこうしていろんなことを私に教えてくれる小さな彼ら。
私を守ってくれている妖精さん達だ。
食事の時にエクルの熱々スープ攻撃に耐えられるのも、妖精さんがすぐに治癒を施してくれるからだ。
(相変わらずグレンは変態だったよ~)
(カティのこと大好きな変態ねっ!)
(だけど見る目はあるの~)
妖精さん達の話題に最も名前が上がるのは、意外なことにグレン兄様だった。
(グレン兄様が持ってる写真、回収して焼却炉に突っ込んできてくれない?)
頭の中でそう言葉を返すと元気よく頷いて、たくさんの妖精さんの中から一人の妖精さんが部屋から出ていった。
(グレンは変態だけどカティのこと大好きなんだよ~変態だけど~)
(隠すのがうまい変態ねっ!)
(だけどグレンはあのゴミどもからカティのこと助けてくれないの~)
相変わらずグレン兄様は散々な言われようだ。
だけど、正直妖精さん達にグレン兄様のそんな話を聞いても、初めの頃は全く信用できなかった。
ゴミども、というのは義母義妹のことで、妖精さん達の言うように、グレン兄様が二人から私を助けてくれたことなんて一度もなかったからだ。
…普通、本当に私のことが好きであるなら助けてくれるものなんじゃないの?
なんて、当初は疑問が膨らむばかりだった。
だけどある日、妖精さんに連れられて、就寝間際兄様の私室の扉の隙間を覗き込んでそんな考えは一掃されてしまった。
「カティ…愛してるよ」
そんなことを言いながら、甘さを含む瞳で私の写真らしき一枚の紙に口付けた兄を見てしまったのだ。
……気持ち悪すぎてその日はいつまでたっても寝付けなかったことを覚えている。
(あ~カティがまたグレンのこと思い出しておえってなってる~)
(変態を兄に持つと大変ねっ!)
(可哀想だからグレンのクローゼットにあるカティの下着も燃やしといてあげるの~)
グレン兄様…最近下着の枚数が少なくなっていると思ったらあなただったのですね。
(お兄様のお気に入りのエメラルド色のクラバットも一緒に燃やしておいて…)
(((グレンのクラバット全部全然燃やしてしまお~)))
それはさすがにバレるからやめてください。
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