チロシのぼっきキャンプ~異世界エロ旅行記~

和蔵(わくら)

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第1章

第9話

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  チロシです。

 女の子二人のキャットファイトを静めるのは大変とです。

 殴る、叩く、抓ると狭い室内で暴れる、暴れる、大変だったとです。

 暴れた二人には、躾をしたとです。

 今後、暴れない様に念入りに躾をしたとです。

 それと、当分の間は二人には、お菓子のご褒美はなかとです。

 オッチャンの身体が持たないのが理由とです。



~*~*~*~



 室内でのプロレスごっこも落ち着き、三人はお互いに牽制しあい動こうとはしなかった。だからチロシが折れ、二人に許しを請うているのが今の現状であった。

「俺も悪かったから、二人とも許してくれ」

 チロシは言葉が通じないのだから、適当に謝っておけば良いだろうと思い、二人の女の子に適当な謝罪をしていたが、二人からチロシを見る目は冷ややかな目であった。

 言葉が通じなくとも、誠意の無い行動は、何処に行っても丸分かりである。

 二人の女の子も、これ以上の時間を無駄にはしたくはない様で、渋々とチロシの謝罪を受け入れると、狐獣人の女の子の口からは「ブォーーン、ブォーーン」とシムニ゛のエンジン音をマネた声をだし、手はチロシがハンドルを持っている時の様子をマネしていた。

 チロシも狐獣人の女の子のマネを理解し、コクリと頷くと進行方向は、こっちで良いのかと指を指し、狐獣人の女の子に確認をしていた。二人の女の子からはコクリと頷かれた事で、チロシはシムニ゛のエンジンを掛けて出発させはじめた。

 出発して、かれこれ三時間は経ったのだが、すれ違う者も居ないまま時だけが過ぎていった。

 そして、日も傾きだし、そろそろ野営の準備をしないとわるかった。日が沈み暗闇で野営の準備もシムニ゛があれば出来るが、雑な準備をしたくないチロシは、ベテランキャンパーの威厳を示したかったのだ。

「よし、今日の野営地は此処にする」

 チロシが決めた野営地は、近くに小さな湧き水がある場所であった。現代日本ならば、キャンプ場の側に水場が無くても水道はある、今いる場所には、そんな便利な物はなさそうである。

 だから、昔ながらの野営地に適した場所は、人が何回も利用した事で開けており、そして、竈を作り置きしてくれているものである。

 チロシは、シムニ゛専用の牽引カーゴトレーラー(中)から、折り畳み式のバケツと桶を取り出し、水を汲み置きして置き、その後に薪拾いを始めだす。

 狐獣人の女の子も、チロシが薪拾いを始めた事が分かると、狐獣人の女の子も森に入り薪を拾い始めた。仲間の女の子はと言うと、落ち葉や小枝を簡易竈にくべて火を起こし始める。近くに落ちていた石を打ち合わせると、火花が飛び落ち葉に引火して、小さな火の粉になり、それが次第に強い炎えと変わって行く。

 落ち葉や小枝が燃え尽きようかする頃合で、狐獣人の女の子は阿吽の呼吸で薪を仲間の女の子に手渡し、火を燃やし続ける事が出来ていた。狐獣人の女の子が戻ってきてから、少し経つとチロシも薪を多めに拾って来ており、晩に使う薪の量を確保できた。

 チロシは、土鍋をカーゴトレーラーから取り出すと、竈の横に置いてあったバケツの水を入れ、鍋の素(鳥ガラ)を入れて煮込みだす。その間にキャンプ場の近場にあったスーパーで買っておいた野菜を桶で洗い、まな板で手早く切り土鍋に手際よく入れて行く、最後に打つ切りで売っていた鳥胸肉を投入して蓋をするだけである。

 ご飯は戦闘飯盒ニ型で炊く、この戦闘飯盒と言うのは、自衛隊で使っていた飯盒だ。この戦闘飯盒ニ型は最大でニ合炊き。そしてサイズもコンパクトなので、炊いた後のご飯がよそいやすいのも良い所。そして上蓋が深く取っ手もついている為、簡易フライパンとしても使用が可能で取り皿も付いている優れものなのだ。

 そして、待つ時間にチロシは拾って来ていた石と薪を竈の中に投入していく、数で言えば十個以上の石を竈の中に投入したのだった。この石を何に使うかと言うと
後のお楽しみである。

 火の火力調整をしながら料理が出来るのを待っていた。

 そして。

 お鍋とご飯の完成である。

 あとは、食べるだけなのだが、二人の女の子は土鍋をガン見しており、折り畳み受け皿を手渡し、お玉で掬って皿によそって食べろと、チロシはジェスチャーすると、二人の女の子は涎を垂らしながら、頭をコクコクと頷いた。

 そして、折り畳み茶碗にご飯をよそって手渡すと、二人はご飯を食べた事がなかったのだろう。不思議な顔をしながら食べていた。だが、二人は食べだすと凄い勢いで鳥鍋とご飯を食べだしており、二人の食べっぷりはチロシを驚かせるばかりであった。

 チロシは、クーラーボックスに何かデザートが無いかと思い出すが、今回の収録では買って無い事を思い出す。だが、何か前に買い置きしてた物がないかと探すと、明らかに昔に買った事があるケーキが出てきたのだ。

「はっ?これって三年前の誕生日に買ったケーキじゃん」

 そう三年前に買ったケーキがクーラーボックスから出てきたのだ。ケーキの上には、(チロシ四十ニ歳、お誕生日おめでとう)と書かれており。チロシは混乱してしまうが、二人の女の子は甘い匂いに誘われて、チロシの背後からチロシの肩越しに胸を押し付けながら、その甘い物体を眺めていた。

 コンニャクゼリーでも入ってれば御の字と思っていたチロシは、度肝を抜かれた状態で放心状態であったが、そんなチロシの状態を無視して、チロシの手からケーキを奪った二人は、ホールケーキを半分にするやガツッガツッと食べ始めだした。

 放心状態から帰ってきたチロシは、手にケーキが無い事に気が付き辺りを見渡すと、既に最後の一口を食べようとしていた狐獣人の女の子の嬉しそうな顔が目に入って来た。 

 その嬉しそうな顔を見せられたチロシは、怒る気力も無くしてしまい、無気力にクーラーボックスに手を突っ込む。すると今度は一年前に買った覚えのあるコーヒーゼリーが出てきてしまう。

 このコーヒーゼリーはプレミアと名前に付いていた為に買った品であった。名前の通りにプレミアの名に相応しい味わいであったのだが、それが、またしてもチロシの手の中にあるのだ。

「んっ……何で以前買った物がクーラーボックスの中から出てくるんだ」

 疑問に思った呟きを口にしても、疑問は消えはしなかった。チロシは実験をする事にしてみた。以前買った事がある物を思い出しながら、クーラーボックスに手を差し入れたのだが、この検証実験はチロシの考えていた事の照明であった。

 チロシは以前買った物で、クーラーボックスに入れた事がある物なら、何でも取り出せるのではないかと、推論を導きだしていたのだ。それが正解であったと確信したチロシである。

 それも、以前買った物なら何個でも取り出せるのだ。氷でもアイスでも酒にジュースにおつまみ、それにケーキやデザートやお菓子に食材などなど。食べ物は過去五年間に入れてきた物なら何でも取り出せた。

 (取り出した食材は、美味しく二人が食べつくしました)

「何これ、何これ、訳がわかんねーよ」

 チロシは混乱してクーラーボックスから食べ物を取り出し続ける。二人は美味しい物を食べて良いと勝手に判断して食い漁っている。傍から見たらカオスであろう。

 チロシは、フラフラとカーゴトレーラーから折り畳み式のバスタブを取り出すと、いそいそとバスタブを組み立て、そして水を入れ終わると、焚き火で焼いていた石をバスタブに入れる。

 そして、スノコやシャンプなどを取り出して設置し終わると、シムニ゛の運転席を開けると、運転席のドアに隠れて裸になり、簡易折り畳みバスタブに浸かっていた。

「はぁー、此れは夢だ。夢なんだよ」

 チロシが一人でお風呂を堪能していると、二人の女の子は目敏くチロシのしている事を見ていた。チロシが頭をシャンプで洗い、リンスをし、そして身体を洗い終るまでを観察していた。そしてバスタブからチロシが上がって身体を拭きだすと、二人は離れて話し合いをし始めていた。

 チロシは身体を拭き終わると、まだテントを設営してない事に気が付き、急いでテント設営を開始しはじめる。日はまだ沈んではいなかったので、セーフであった。テントもワンタッチテントなので一瞬で設営ができるのだから、焦る必要もなかったのだ。

 チロシがテントを設営してる間に、二人の話し合いも終わり、チロシに二人からお風呂に入りたいと言ってきていた。二人のジェスチャーはチロシの入浴シーンを覗いていた事が窺えた。腕を洗い、頭を洗う仕草をすれば分かる事であった。

 チロシは、ぬるくなったお湯を温める為に、焚き火にくべていた残りの石を全てバスタブに入れると。二人にシャンプとリンスとボディーシャンプの使い方の説明を始める、指を使い、シャンプが始めに使う物で、それを二回使うと説明すると二人はコクリと頷く、そしてリンスの説明に入り、リンスは一回だけだと説明したらコクリと頷く、最後にボディーシャンプの説明は身体を洗うジェスチャーで理解して貰うと、指を一本立ててから一回と言うと二人は頷く。

 二人に折り畳みの桶の使い方も説明してから、服はドアに掛けるように促してからチロシは、二人の側を離れた。しばらくすると二人の悲鳴がチロシの耳に入る。

 直ぐに二人の元に戻ると、二人は頭を泡だらけにして、目を瞑り苦しんでいたのだった。二人はスノコに直に座りお互いに向きあっている。そして、チロシが来るなり苦しそうに何か言っていた。

 二人がチロシに向き直った時には、二人の女の子の豊満な胸がチロシの視界一杯に広がっていたが、チロシしは二人に近づくと桶にお湯をくみ、順番に二人の頭の泡を洗い流してあげた。そして、お湯で目の周りも洗い流すと二人の目も開ける様になった様だった。

 だが。

 苦しみの余りにチロシを呼んだ事を後悔する。二人は胸を隠しながら可愛い声の悲鳴をあげだしていた。

 可愛い二羽の小鳥の囀りが、夕暮れの森に木霊していた。



 
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