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第116話 体の治療と新展開
しおりを挟む水揚げ場での用事が済んだので、俺はアントンとイーナと別れて、
1人で、町の診療所に向かったのだった。黒猫屋と宿屋ガレオン
の中間辺りにある診療所を探したのだが、そんな都合の良い場所
に、診療所は無く少し港に寄った場所に診療所は在った。
診療所の名前は、ホスピタル・ノースと書いていた。ほすぴたる
・のーす?読めるが意味は解らない!とりあえず診療所に入って
受付を済ませ、順番を待つ事にしよう!
俺は、診療所の中に入ると、直ぐに受付の女性に事情を話して
診療を受ける事を伝えると、受付の女性も話の内容を理解して
くれた様で、直ぐに番号札を渡されたのだった。
診療所の中は、人も多く居て渡された番号札は、18番となって
いたのだ。今が何番かは解らないが、次の人が呼ばれたら、俺
の順番も自然と解るはずである。それまでは、静かに待つ事に
しよう!
待つ事、1時間前後だったと思う、漸く俺の番となり診察室へと
入ると、中には医者が1人いて、俺に椅子に座る様に指示して
きたのだった。俺は医者の指示通りに椅子に座ると、今回の此処
に来た目的を話し出したのだった。
「なるほど!動物の狩りで負傷してしまい、手当てに来たと言う
訳ですね!それならば、服を脱いでもらえますか?痣になってい
箇所を確認しないと、もしかしたら、骨が罅割れている可能性も
あるでしょう。もしも、罅割れている箇所を放置したまま居れば
最悪、骨折してしまう事に成り、当初より長く治療する事になる
でしょう!」
俺は、医者の言う通りに、服を脱ぐと痣になっている箇所を医者
に見せたのだった。
「此れは酷いですな!何箇所も痣に為っているではないですか!
どんな狩りをすれば、この様な酷い状態になるのですかな?私に
は理解できないですな!」
医者は呆れた口調で、俺の体の状態を告げたのだった。そして、
骨が折れている箇所がないか、入念に調べていたが、正直言うと
くすぐったくて、早く終わらせて欲しかったのだ。
「ふむ、これと言って、骨が折れてる箇所はありませんね!これ
ならば、治療魔法を使わないで自然に治す方が、貴方に取っても
私に取っても良いでしょう!」
んっ!?俺に取って良いってのは解るが、医者に取っても良いとは
どう言う意味なのか?俺は疑問に思った事を口に出してしまって
いたのだった。
「あっ!それはですね!治療魔法は、隣の部屋に居る回復治療士
に頼まないと行けないのです。そうなると私の患者が減り、そして
私の給料も減るのですよ!これは重大な事なんですぞ!」
なるほど、患者を治した数で、此の人達は給料が決まるのか!
それならば、先程の発言も頷けると言う物だな。出来るだけなら
自分が治療すれば、それだけ給料も増えるのならば、自然と治療
の方も頑張ると言う事なのだろう!
「でもね。回復治療士って言うのはね!一日に使える術の回数が
決まっているんだよ!だから、出来るだけ大怪我や病状が酷い人
を優先する為に、私が負担を減らしていると言っても過言ではな
いのだよ!」
先程の発言を聞く前に、今の発言を訊いていたら、この医者は
素晴らしい人だと思っただろうが、本音を聞いてしまった後に
建前などを訊いても、本当かどうか怪しく聞こえて来るのだ。
ドカン!!!!!
隣の部屋から凄い音が聴こえて来たのだった。
医者は直ぐに隣の部屋に続いている扉を開けると、そこには
押し倒されたのか、人が倒れていたのだ。
「これはこれは、旦那様ではないですか?今日は奥さんが拵えた
賭博の借金を払って貰う為に遣って来たんですよ!言っている事
は解りますよね?貴方の奥さんが、内の賭場で借金を拵えた挙句
支払いをしないまま、今日まで来たんです!内としてもね。手荒
な真似は控えて居たんですよ!ちゃんと支払いをする様に手紙を
送ったりしたけど、それらを全部無視してしまわれたので、自宅
に行っても居留守を使われて、会う事も出来ない状況だったので
止む得ず、診療時間中に押しかける形となった事は、謝ります。
ですが、此方としてもね!穏便に事を運びたかったのに、奥さん
の態度が余りにも酷いんですよ!」
男は早口で、捲くし立てるかの如く、一気に何故こうなったのかを
医者に説明したのだった。だが、男達は医者の奥さんに対して、手
を上げてしまったのは、俺は許せなかったのだ。
「穏便に済ませるのならば、暴力を振るう事はないだろう!幾ら妻
が支払いをしなかったと言っても、暴力を振るうのは遣りすぎだよ!
何故、貴方達は妻を押し倒したのかね?」
「ちょっと!それは誤解だ!俺達は暴力は振るってないぞ!柄が悪い
のは認めるが、俺達は暴力を振るう程、野蛮な人種ではない!何故か
借金の事を話したら、奥さんが椅子から落ちたんだよ!信じて欲しい!」
男達は、見た目は悪そうであったが、武器などは携帯しては居なかった
のだ。それを考えると、嘘を言っているとは思えなかった。医者は直ぐ
に奥さんである回復治療士を起こし上げると、事情を詳しく聞きだした
のだった。
「イルマ!大丈夫なのか?彼等が言っている事は、本当なのか?イルマ
が椅子から倒れ落ちただけなのか?答えてくれ!」
「アウリス......どうしよう!また借金を作ってしまったわ!もう借金を
作らないと誓って結婚したのに、私って駄目な女ね.....彼等の言ってい
る事は本当よ!私が椅子から崩れ落ちただけなの!」
「な.....なっ!俺の言った通りだろ?」
男達は、回復治療士が事情を説明するまで、凄くオドオドしていたが、
事情が解ると安堵したのか、顔が落ち着きを取り戻していた。
「それで、借金は幾らあるんだ?」
《10.000ベルク!》
借金取りの男と回復治療士の女性は、声が重なりながら話したのだった。
......................................................
作者からのお知らせ!
「戦国の鍛冶師」を読んで頂き有難う御座います!
私事なのですが、物語を考えるのに行き詰まりだし
面白い作品が書けているか不安になっているので、
時間を掛けて作品を作って行こうと決意しました。
「戦国の鍛冶師」をご愛顧して下さり、次の作品を
待っている方も居ると思います。待たせ過ぎるから
と言って、「戦国の鍛冶師」を見捨てないで下さい。
引き続き、ご愛顧賜りますようお願い申し上げます!
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