戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

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第113話 罠と迫真の演技

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どうやら、此方の世界では罠と言う概念が、全く無い様であった。
何故、罠と言う発想が生まれなかったかと、ふっと疑問に思った
のだが、どうやら答えは、生息している生物に有るようなのだ!

何せ、此処は日ノ本とはまったく違う、生態系であるのだから、
罠などに引っ掛かる間抜けな生き物も居なかったのだろうな?
だが、知能が高い生き物が多い世界だからこそ、油断が生まれ
て、足元をすくわれる可能性があるのだ。

そして、こっちの世界の生物には、罠に対しての認識や危険意識
が、まったく無いと見た!罠が廃れたのは、随分と昔なのだろう!
っと、推察する!

それならば、罠としては1番、古典的な方法で奴を倒して遣ろう
と俺は思ったのだ!その方法とは、落とし穴である。古典的な遣
り方だからそこ、罠を見破るのに苦労するのだ。

縄を使った罠も、良さげではあるが、罠では見破られてしまう
だろう!此方の生物は目が以上に良いそうで、遠くからでも
獲物が見えるそうだ。そして、獲物に忍び寄って狩りをするの
が、此方の生物の特徴だ。

だから、落とし穴が1番、解りづらくて良いはずである!
何ならば、試しにニーロでも落として確かめるのも手かも知れな
いが、ニーロの妻のマーユに俺が怒られてしまいそうなので、止
めておこう!

物は試しに、シーランド・シェーヴルを捕まえる為の罠を拠点の
近くに作ろうとしたのだが、拠点の近くは岩だらけの場所であり
穴を掘れそうにもない!

いや!待てよ......この岩場で、まさか落とし穴が有るとは、誰も
考えもしないだろう!そこに油断が生まれる、その油断を付いて
あのシーランド・シェーヴルの頭を仕留める!

俺は、次の日になると、早速に場所を探して岩場を動き回って
いたのだ。大きな穴が開いている場所と言う物は、早々ない様
で、岩場の端まで行ってしまったのだった。

その岩場の端に、遣って来た時に、ふっと足元を見ると、そこ
には亀裂が入っていたのだ。その亀裂の奥を覗き込むと中は、
広くて深い穴になっていた。深さは大体だが、5m位はあり
そうだった。

そんな亀裂を見ながら好成は、この穴を上手く使えないかと考え
始めていたのだった。静と秋が作ってくれた爆薬を使い、上手く
シーランド・シェーヴルの頭を此処に、誘導できさえすれば、
この亀裂を爆薬で吹っ飛してしまい、そのままシー・シェーヴル
諸共、この亀裂の底に叩き落せば、幾ら敏捷な頭でも、ひとたま
りも無いだろう!

それには、事前準備と演技が必要であった。事前準備は何をする
かと言うと、この岩場の下に行き、亀裂が入ってる場所の奥に、
岩場の横から入っていったのだ。

そして、足場を作ると亀裂の天井を天井が完全に壊れない様に
丁寧に壊して行ったのだった。そして、壊した場所に爆薬を
仕込み終わると、導火線の時間を計りだしたのだ。

奴が亀裂の上に来た瞬間に、爆薬が破裂する様に、ギリギリの
時間を見つけ出さなければならなかった。この作業が、中々に
骨の折れる仕事なのだ。

ニーロに協力を頼み、その岩場に逃げ込んだ瞬間から、その場所
まで辿り着くまでの時間を見つけ出すのに、数時間も要していた
そして、ようやく思い通りの結果になったのだった。

後は、シー・シェーヴルを上手く騙せるかどうかである!此れに
は演技が必要としたのだ。俺は演技は上手くない方なのだが、
今回は、色々な事があるので、俺も迫真の演技をしなければ
ならず。下手をすると命も、報酬も、全てが失われる可能性が
あるのだ。

それだけに、俺は真剣に試みていたのだが、ニーロ相手に迫真の
演技をしろと言うのも、酷な話であったのだ。

「旦那様、言いたくは無いのですけど、その演技は流石に臭すぎ
ですよ!それではシー・シェーヴルを騙すどころか、家の子も
騙せないですよ!」

ニーロの駄目だしで、俺の心は半分以上、折れ掛かったのだが、
そこは、ぐっと我慢してニーロの言葉を受け止めたのだった。

そんなこんなで、ようやく、シー・シェーヴルを迎え撃つ準備
も出来上がり、後はシー・シェーヴルの頭を見つけて、此処の
場所まで連れてくるだけだったのだが、奴は野生の感が働いた
のか、全く気配すら無かったのだった。

あの罠は、あくまでも用心の為に作った物なので、もしも、奴
が現れなければ、それで良かったのだ。そのまま狩りを続けて
目標数に到達すれば、俺達は町に帰るだけだった。

狩りを再開して、30分位経った時だった。唐突に早い物体が俺を
目掛けて突進してきたのだった!

此れには俺も驚き、演技ではなく、素で慌てふためいたのだった!
そして、慌てふためいた時に、間違えて火薬袋をシー・シェーヴル
の頭を目掛けて投げ付けたのであった。

本当は、匂い袋なる物を投げる予定だったんだが、俺は慌てていた
せいで、間違えたのだった。

匂い袋とは、アントンが拠点の近くに生えている、匂いの強い雑草
を石で磨り潰して、袋に詰めた物だったのだが、俺は間違えてしま
っていた。

そんな事は、お構い無しに、シー・シェーヴルは、火薬を投げられ
嫌そうに体を振りながら、俺目掛けて突進してきたのだ!


......................................................

~アールブヘイム一般常識講座~

前の話から出てくるシーランド・シェーヴルと言う、動物に付いて
今日はお話してきましょう!

シーランド・シェーヴルとは、地球の動物で言う所の山羊の事です!
ですが、地球の山羊との違いは、シーランド・シェーヴルは地球の
山羊より倍は、体が大きく頭も良いのです!

そのせいで、此方の世界では、罠と言う物が廃れてしまい。今では。
罠を知る者さえ少なくなっている様です(そんな設定です!)

そんな、化かし合いの戦いの火蓋は切られましたが、戦いの行くへ
は、此の場では言えませんので、悪しからず!

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