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第101話 決断と負傷
しおりを挟む上陸した傭兵団に駆け寄ってくる者が居た!それはヴィルフリート男爵
と甥のレオンであった。彼等は傭兵団に駆け寄ると直ぐに、傭兵団の頭
である傭兵団長に会わせる様に騒ぎ出していたのだった。
「儂を誰だと思っている!貴様らの依頼主であるヴィルフリート男爵で
あるぞ!直ぐに団長に会わせないか!事は急を要するのだ!」
ヴィルフリート男爵は、傭兵団の団員に詰め寄ると、凄い勢いで捲し立
てたのだった。
「分隊長!依頼主と言ってる者が、団長に会わせろって詰め掛けて来て
るんですが、本当に団長に会わせても良いんですか?」
「んっ!......あれは間違いなくヴィルフリート男爵だ。直ぐに団長に伝
えてくるのだ急げ!」
分隊長は、そう言うと部下を直ぐに団長が居る場所に呼びに行かせた
のだった。
そして!
「なんだと!?ヴィルフリート男爵が、俺に会いに来てると言うのか?
何だって貴族様が自ら俺に会いに来るんだ?近習が普通は呼びに来る
と思ったんだがな?」
団長は、貴族が近習も使わずに会いに来た事に対して、直ぐに何かが
合ったと感じ取り、直ぐに貴族を連れて来るように部下に命じたのだ。
「男爵様、お待たせしました。団長がお会いになるそうなので、此方
までお越し下さい」
ヴィルフリート男爵は、団員に連れられて上陸したばかりの団長に、
会いに向かったのだった。
「これはこれは、男爵閣下!近習も連れずにどうしたと言うのです
かな?俺の部下達は、一体何処で油を売っているんですか?」
団長は、貴族に対して少し皮肉を言いつつ、貴族に何があったかを
聞き出そうとしたのだった。
「傭兵隊長は、生きているが重症を負っている!それと分隊長が1人
生き残っているが、隊長の世話をしているので、此の場所に来る事が
出来なかった。それと近習である甥は、戦意喪失をしてしまい..........
儂が何を言っても無駄だったんじゃ!それで儂が自らお主等傭兵団を
呼びに来たと言う訳じゃ!」
「なっ.....なんだと!?一体この島で何が合ったと言うのだ?あんたが
言ってた事と違うじゃねか!此の島の領主である辺境伯には、お金
がないから、対した規模の兵も居ないと言ってたのは、男爵が言っ
た事だぞ!覚えてないのか?」
部下を殺された事で、団長は少し動揺を隠せないで居たのだ。それも
そのはず、この傭兵団の中でも精鋭中の精鋭を50名も貴族に預けて、
此の島に向かわせていたのだから、団長も、まさか精鋭の50名が敗れ
るとは思っても居なかったのだ!
「実は、儂達が辺境伯の叔父にあたる準貴族を儂達の不注意で、死な
せてしまい、それに怒った辺境伯は、儂を捕まえようと宿に兵を寄越
してきたんじゃ!それも宿屋を取り囲んでいた者達だけでも500人は
居たと思う!」
「ごぉ.....500人だと!?冗談じゃないぞ!こっちは150人しか居ないの
だぞ!そんな数を相手に出来る訳がないであろう!」
「儂も最初は、貧乏貴族の辺境伯だと思って居た。辺境伯の兵は居た
としても、精々100人居れば良い所だと、本気で思って居たんじゃ!」
「その結果が此れか?ふざけるな!俺達は降参する!あんたは領主で
ある辺境伯にでも殺されるが良いわ!」
「降参しても、御主達は殺されるぞ!」
「それは、どう言う意味だ?」
「分隊長の話では、部下達の中に降参しようとした者達が、沢山居た
そうなのだが、その者達を悉く討ち取ったのは、辺境伯の騎士団じゃ
った!」
「なっ.......」
ヴィルフリート男爵の話を訊いた傭兵団長は、最後には絶句して言葉
も出せなくなっていた。それもそうであろう!部下達は降伏も認めら
れずに殺されたと訊けば、誰しもが、こうなるであろう!
「ヴィルフリート男爵様よ!あんたは一体、此の後はどうするんだ?
戦って死ぬとか言うのか?それとも逃げるとでも言うのか?」
「御主達が乗ってきた船は、既に領主である辺境伯の私設艦隊に
抑えられている!儂の私設艦隊も敗れてしまった。そうなると残る
は1つしかあるまい!島の奥に逃げて生き延びるんじゃ!そして、
気を見計らい町か村で、船を奪い大陸まで逃げる事にする!」
「チッ!そうなるよな......やっぱり」
傭兵団は、荷揚げの大部分を戦闘が始まる前に済ませて居た事が、
幸いしていた。もしも、荷物の荷揚げを済ませてなく逃げ出せば
貴族と傭兵団は、直ぐに此の島の洗礼を受けて、全滅していた事
だろう!そうはならずに済んだのは、団長が先に人より荷物を優先
した事が幸いしただけだった。
「よし!お前ら、直ぐに島の内陸部に移動できる準備を進めろ!
この島は大陸と違い、魔獣がウヨウヨそこいらに居る!気を引き
締めて移動しろよ!もしも食料が無くなれば、内陸部にある村で
現地調達する!良いなお前たち!」
《おうよ!》
こうして、貴族と傭兵団は、辺境伯の軍の追撃を退けて、島の
内陸部へと逃走に成功したのであった。
「あの騎士団は、行き道の駄賃として殺して行け!」
貴族達を追ってきた白の団の兵と傭兵団は、出会いがしらの戦闘
に突入したのだが、直ぐに決着が付いたのだった。結果は白の団
が逃走すると言う結果で終わったのであった。
その際に出た被害は、白の団のトップであるヘレナを激怒させる
結果になるとも知らずに、傭兵団は内陸部に逃走していったのだ。
「副団長、副団長!目を開けてください!」
白の団が、あっさりと退いたのは、副団長が負傷した事による
ものであった。副団長のエルナは、胸のフルプレートが切り裂
かれ血塗れの状態であった。
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