戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

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第96話 沈む提督と勝気な副長

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「提督!前方に敵艦隊を視認!距離は約3㌔、風は南南西からの風で微弱!
どうしますか?このまま突っ込めば乱戦になりますぜ?」

そうだな.....相手は俺達に気が付いて無いだろうな?気が付いて無いのなら
ば、敵艦隊の背後を取る!縦列航行を維持したまま、敵艦隊の背後に周り
T字戦法で、一隻ずつ沈めていく!

《へい!》

後続艦に、手旗信号で作戦を伝えろ!内容はこうだ!我に続け戦法はT字
なり、我に続け!っと後続艦に伝えろ!

《へい!》

提督は、後続艦5隻に対して旗艦に付いて来る様に伝えたのだった。
この艦隊は、旗艦を入れて全部で6隻からなる艦隊なのだ。その内訳は
軽ガレオン級が4隻に、バーバリアンガレー級が2隻で構成されていた
のだ。

無風の時は、バーバリアンガレーがオールを使い、軽ガレオンを牽引して
引っ張る事が出来る、逆に風が強い時は軽ガレオンに軽ガレアスが牽引し
てもらい早く航行できると行った事をしていたのだ。

因みに、軽ガレオンもバーバリアンガレーも、中型船である!価格は戦闘用
と言う事なので、どちらも、それなりの金額が掛かるのだ。軽ガレオン級が
1隻の価格が、5万ベルクとなっている!バーバリアンガレー級は、少しだけ
安めな価格で、1隻が4万5千ベルクで買える!

大型船の戦闘艦などを買おうと思ったら、1隻で10万ベルクは軽く掛かっ
てしまうのだ。それだけ戦闘艦と言う種類の船は高かった!交易船とは物
の価格が全然違う!大砲の数も、船に使っている木材の質も、帆の数も違
う!

それらを惜し気も無く使っているのが、戦闘艦なのだ!だから、1隻の
値段も馬鹿みたいに高くなっている!それだけの性能を有しているので、
決して高い買い物では無いのだ!適正価格である!

そんな戦闘艦を6隻も辺境伯は、私設艦隊として有していたのだ!それも
そうだシーランド本島は島なのだ。海賊に航路を押さえられたら、それだ
けで島は終わってしまうからだ。だから、高い戦闘艦を6隻も買え揃えて
居た。

そんな、高価な戦闘艦を惜し気もなく使う作戦を任せられる人物が居たの
である!その者は、若き日より王国海軍で研鑚を積み、何回も戦いに敗れ
ていたが、しぶとく生き残って居た!その者の名はジャックと言う!

王国海軍の1兵卒から提督まで上り詰めた男である!豊富な知識を持ち、
策略や戦術にも明るく、人望も.....ある?......人望など無くても提督は
出来る!ただ、人望がない提督は反乱とかが起き易いだけだ!

「ひゃっはー!提督の言う事など訊いてなど居られるか!俺達だけで
敵船を海の藻屑にしてやるぜぇ!」

「くそぉ!また僚艦のハゲが、勝手な事をしているぞ!敵船よりハゲの
船を沈めるべきだろうか?」

このクソ馬鹿共がぁ!俺の言う通りに動けやぁ!

これが、シーランド私設海軍の日常的な光景であった。それでも提督は
頑張る!命令無視をする部下の艦長に、手旗信号で突撃中止を伝えつつ
も、旗艦を命令無視する軽ガレオン級に体当たりさせて居る最中でも、
提督は、必死に頑張っていたのだ。

何で俺は部下に恵まれないのだ.....もっと優秀な部下が欲しい.....もう職場
を変えようかな.....転職先って無いかな.....王国海軍に戻りたいな......

「提督、まだ敵は此方に気が付いて居ないから、1度引き体勢を整えて
再度、奇襲をしかけましょう!それと各艦の艦長を更迭し!旗艦で任務
に付かせる事を進言します!」

副長.....君の思った通りにしてくれ!俺は何だか疲れたよ!家に帰りたい
家に帰って、愛犬に癒されたい!

「くっ!提督が何時もの症状が出ている.....仕方ない!以後の指揮は私が
引き継ぐ!直ぐに各艦に撤退の手旗信号を送れ!急げグズグズするなよ!」

《へい!》

「シュルヴィア副長!ヴァタレンの艦長が、命令に応じません!」

「また、あの問題児か!イデオン艦長に直に会いに行く!幸いにも
体当たりしたままになっているから、会う事は直ぐに出来るであろ
う!」

そう言うとシュルヴィア副長は、ロープを手に取ると直ぐに軍船の
ヴァタネンに乗り移ったのだった!

「イデオン艦長!イデオン艦長は何処だ?」

「なんでい?副長殿ではないか!我が船に何用かな?」

「この.....馬鹿者めぇ!貴様の勝手な行動のおかげで、全てが台無し
ではないか!貴様は、旗艦に更迭する!旗艦に直ぐに乗船しろ!」

「くっ!何で俺が更迭されないと行けないんだ!何も悪い事は
してねよ!」

「命令無視をしておいて、何が悪い事をしてないだ!帰ったら
軍法会議ものだぞ!」

「副長殿、俺は軍に在籍した事は1度も無いんだがな!俺は海賊
あがりなのは知ってるだろ!?今まで命令などされた事がないんだよ」

「それならば、今から私が言う事を全て訊け!それに逆らうならば
また海の藻屑にしてやる!それが嫌ならば、船を私の部下に任せて
貴官は、直ぐに言われた行動をしろ!」

シュルヴィア副長は、女性でありながら元海賊のイデオン艦長に、
上から目線で、ガンガン容赦なく命令を下して行ったのである!

「いやいやいや!俺は、アンタだけは敵に回したくは無い!解った!
副長の言う通りに旗艦に行く!だから、怒るのを止めてくれ!」

「最初から提督の言う通りにすれば、こんな面倒をしなくても済んだ
のだぞ!解っているのか?」

「解ってるって!すまなかったシュルヴィア副長殿、副長が怒ると
その可愛い顔が台無しだぜ?」

ビィーン!!!

イデオン艦長の足元に、シュルヴィア副長が投げた短剣が、突き刺さっ
て居たのだ。短剣使いのシュルヴィアと言えば、船乗りの間では有名で
あった!


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