97 / 122
第95話 帝国貴族と私設海軍
しおりを挟む
宿屋の前での騒動も、沈静化されていたのだが、ある一角だけ
では、未だに抵抗を見せていたのだ。その一角を見ると、両腕
が無くなってしまった傭兵隊長を部下が、身を挺して庇って居
たおかげで、なだ傭兵隊長は生きていたのだった。
「隊長、もう残り人数も少ない!早く撤退しましょう!」
「腕が....腕が.....」
「駄目だ!俺達だけで撤退を指揮するしかない!予定通りの場所
まで撤退するぞ!」
「おう!お前の分隊は、後何人くらい生き残っている?」
「俺の分隊は5人って所だな!」
「そうか!俺の分隊も同じ位だ!この人数で、逃げ切れるか解らん
が、遣るだけの事は遣ろうじゃねか!」
「そうだな!遣ってやろう」
傭兵隊長の部下の分隊長2人は、残された部下達を纏めると直ぐに、
東の海岸を目指して撤退を開始していたのだった。だが、騎士団の
追撃は甘くは無く、次々に1人、また1人と、人数を減らして行き
東の海岸に辿り着く頃には、傭兵隊長の他には、分隊長1人だけに
なっていた。
そして、ヴィルフリート男爵と甥のレオンを入れても、全部で4人
しか、此処まで辿り着けていなかったのだ。それだけ、格騎士団の
追撃は苛烈を極めたのだった!
「一体、何でこうなってしまったのだ。儂が何か間違って居たとで
も言うのか?儂は何も間違った事はしてないぞ!帝国から逃げて来
て、やっと権力を手に入れたと思った矢先に、こんな事になろうな
るとは、帝国貴族として生きていたのに、権力争いに敗れて亡命し
て、早30年は過ぎている。その間に商人として成功したが、やはり
貴族として行きたいと、王国の王弟派に媚を売り、爵位を手に入れ
たのに、何でこんな事になるんだ!」
「叔父上、落ち着いてください!頭を抱え込んで落ち込まないで
下さい。叔父上は、帝国貴族の侯爵家の長子ではないですか!
帝国では、準貴族など貴族と見る者はいません!準男爵や準士爵
を殺したとしても罪にはなりません!だって相手は平民なのです
よ!叔父上の行いは何も間違っていません!」
帝国では、貴族以外の人間は、人間として扱われないのが常日頃
からの帝国での日常なのだった。そんな環境で貴族として育って
いたヴィルフリート男爵は、王国に亡命してからも、帝国貴族と
して生きていたのだった。
デュリンケン帝国と言う国は、人を人と思わない者達が集まり
国を形成していたのだ。そんな国の貴族として生まれ育ったの
であれば、それを何処でも通そうとして、余計な摩擦を起こし
そして、罰せられる。
これも自然の成り行きであった。貴族が貴族であろうとした
だけの話なのだ。だから、デュリンケン帝国でも王国でも、
無理を通そうとすれば、破滅が待っているだけだった。
アイリ殿!ご無事で何よりです!あの貴族達を追い詰めたものの
今一歩の所で取り逃がしてしまいました。申し訳ありません!
「ヴィクトル副団長殿、そんな、私に謝らないで下さい!
ヴィクトル殿は、良く遣ってくれていました。それなのに
私に謝られると、私の立場がありませんわ!」
そうですね!アイリ殿の事を思えば、私が謝罪する事でアイリ殿
が、失敗をした事になってしまいますな!これはこれで、成功な
のですから、私が謝る場面ではなかったです!申し訳ないです!
「ですから.....ヴィクトル殿!」
そうでしたな!
「所で、あの貴族達は一体何処に逃げたのですか?」
部下達の追跡の結果、東の海岸に逃げ込み、そこで防御陣地を
築き、援軍の到着を待っていると見られますな!
「そうですか!援軍など待っても来ないと言うのに、何とも悲しい
人達でしょうね!今頃は、シーランド私設海軍に援軍は叩かれてい
る頃でしょうね!」
アイリ殿の言う通りですな!あの貴族にも引導を渡して遣りましょう!
お2人には、このシーランド銃と言う物を使って下さい。使い方は現地
で説明します。
「これが、お母様が言っていたシーランド銃と言う物ですか!?こんな
鉄の筒なのに、人を傷つける事が出来る武器なのですね?」
「姉上!母上が言っておられた様に、見かけで判断しては行けません!
大砲だって登場した当時は、大砲の威力を知らない者達が馬鹿にしてま
したが、威力が解ると人々は大砲に対して、畏怖と尊敬の目を向ける様
なったんですよ!」
「そうねエルナ!貴女の言う通りですわね!見た目で判断していると
あの貴族達の様になりますわね!シーランド銃の説明は、現地に付いて
から受けましょうねエルナ」
「.......はい.......」
エルナは返事をしたのだが、顔は何処を向いているのか解らず、明後日
の方向を向いて返事をしていたのだ。立派な事を言ったのに、当のエルナ
は、剣以外の武器の使用は極端に嫌っていたのだ。だからエルナは嫌な顔
をアイリに向けていた。
その頃、シーランド本島の沖合い50㌔の地点では、艦隊同士の戦いが火蓋
を切ろうとしていたのだ!
「よぉ~~し!野郎共!まだ死んだ奴は居ねだろな?」
《提督、まだ戦いは始めってませんぜぇ!がっはははは!》
「此れまでの海賊船艦隊と同じで、敵をスピードで圧倒してしまい、
弾を当てたら逃げる、弾を当てたら逃げるを繰り返す!そして、止め
は格好良く白兵戦で決めるぞ!」
《へい!》
シーランド私設海軍は、海賊艦隊との戦いを幾度と無く繰り返して居る
王国でも実戦経験豊富な海軍であった!
では、未だに抵抗を見せていたのだ。その一角を見ると、両腕
が無くなってしまった傭兵隊長を部下が、身を挺して庇って居
たおかげで、なだ傭兵隊長は生きていたのだった。
「隊長、もう残り人数も少ない!早く撤退しましょう!」
「腕が....腕が.....」
「駄目だ!俺達だけで撤退を指揮するしかない!予定通りの場所
まで撤退するぞ!」
「おう!お前の分隊は、後何人くらい生き残っている?」
「俺の分隊は5人って所だな!」
「そうか!俺の分隊も同じ位だ!この人数で、逃げ切れるか解らん
が、遣るだけの事は遣ろうじゃねか!」
「そうだな!遣ってやろう」
傭兵隊長の部下の分隊長2人は、残された部下達を纏めると直ぐに、
東の海岸を目指して撤退を開始していたのだった。だが、騎士団の
追撃は甘くは無く、次々に1人、また1人と、人数を減らして行き
東の海岸に辿り着く頃には、傭兵隊長の他には、分隊長1人だけに
なっていた。
そして、ヴィルフリート男爵と甥のレオンを入れても、全部で4人
しか、此処まで辿り着けていなかったのだ。それだけ、格騎士団の
追撃は苛烈を極めたのだった!
「一体、何でこうなってしまったのだ。儂が何か間違って居たとで
も言うのか?儂は何も間違った事はしてないぞ!帝国から逃げて来
て、やっと権力を手に入れたと思った矢先に、こんな事になろうな
るとは、帝国貴族として生きていたのに、権力争いに敗れて亡命し
て、早30年は過ぎている。その間に商人として成功したが、やはり
貴族として行きたいと、王国の王弟派に媚を売り、爵位を手に入れ
たのに、何でこんな事になるんだ!」
「叔父上、落ち着いてください!頭を抱え込んで落ち込まないで
下さい。叔父上は、帝国貴族の侯爵家の長子ではないですか!
帝国では、準貴族など貴族と見る者はいません!準男爵や準士爵
を殺したとしても罪にはなりません!だって相手は平民なのです
よ!叔父上の行いは何も間違っていません!」
帝国では、貴族以外の人間は、人間として扱われないのが常日頃
からの帝国での日常なのだった。そんな環境で貴族として育って
いたヴィルフリート男爵は、王国に亡命してからも、帝国貴族と
して生きていたのだった。
デュリンケン帝国と言う国は、人を人と思わない者達が集まり
国を形成していたのだ。そんな国の貴族として生まれ育ったの
であれば、それを何処でも通そうとして、余計な摩擦を起こし
そして、罰せられる。
これも自然の成り行きであった。貴族が貴族であろうとした
だけの話なのだ。だから、デュリンケン帝国でも王国でも、
無理を通そうとすれば、破滅が待っているだけだった。
アイリ殿!ご無事で何よりです!あの貴族達を追い詰めたものの
今一歩の所で取り逃がしてしまいました。申し訳ありません!
「ヴィクトル副団長殿、そんな、私に謝らないで下さい!
ヴィクトル殿は、良く遣ってくれていました。それなのに
私に謝られると、私の立場がありませんわ!」
そうですね!アイリ殿の事を思えば、私が謝罪する事でアイリ殿
が、失敗をした事になってしまいますな!これはこれで、成功な
のですから、私が謝る場面ではなかったです!申し訳ないです!
「ですから.....ヴィクトル殿!」
そうでしたな!
「所で、あの貴族達は一体何処に逃げたのですか?」
部下達の追跡の結果、東の海岸に逃げ込み、そこで防御陣地を
築き、援軍の到着を待っていると見られますな!
「そうですか!援軍など待っても来ないと言うのに、何とも悲しい
人達でしょうね!今頃は、シーランド私設海軍に援軍は叩かれてい
る頃でしょうね!」
アイリ殿の言う通りですな!あの貴族にも引導を渡して遣りましょう!
お2人には、このシーランド銃と言う物を使って下さい。使い方は現地
で説明します。
「これが、お母様が言っていたシーランド銃と言う物ですか!?こんな
鉄の筒なのに、人を傷つける事が出来る武器なのですね?」
「姉上!母上が言っておられた様に、見かけで判断しては行けません!
大砲だって登場した当時は、大砲の威力を知らない者達が馬鹿にしてま
したが、威力が解ると人々は大砲に対して、畏怖と尊敬の目を向ける様
なったんですよ!」
「そうねエルナ!貴女の言う通りですわね!見た目で判断していると
あの貴族達の様になりますわね!シーランド銃の説明は、現地に付いて
から受けましょうねエルナ」
「.......はい.......」
エルナは返事をしたのだが、顔は何処を向いているのか解らず、明後日
の方向を向いて返事をしていたのだ。立派な事を言ったのに、当のエルナ
は、剣以外の武器の使用は極端に嫌っていたのだ。だからエルナは嫌な顔
をアイリに向けていた。
その頃、シーランド本島の沖合い50㌔の地点では、艦隊同士の戦いが火蓋
を切ろうとしていたのだ!
「よぉ~~し!野郎共!まだ死んだ奴は居ねだろな?」
《提督、まだ戦いは始めってませんぜぇ!がっはははは!》
「此れまでの海賊船艦隊と同じで、敵をスピードで圧倒してしまい、
弾を当てたら逃げる、弾を当てたら逃げるを繰り返す!そして、止め
は格好良く白兵戦で決めるぞ!」
《へい!》
シーランド私設海軍は、海賊艦隊との戦いを幾度と無く繰り返して居る
王国でも実戦経験豊富な海軍であった!
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

【電子書籍発売に伴い作品引き上げ】私が妻でなくてもいいのでは?
キムラましゅろう
恋愛
夫には妻が二人いると言われている。
戸籍上の妻と仕事上の妻。
私は彼の姓を名乗り共に暮らす戸籍上の妻だけど、夫の側には常に仕事上の妻と呼ばれる女性副官がいた。
見合い結婚の私とは違い、副官である彼女は付き合いも長く多忙な夫と多くの時間を共有している。その胸に特別な恋情を抱いて。
一方私は新婚であるにも関わらず多忙な夫を支えながら節々で感じる女性副官のマウントと戦っていた。
だけどある時ふと思ってしまったのだ。
妻と揶揄される有能な女性が側にいるのなら、私が妻でなくてもいいのではないかと。
完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。
誤字脱字が罠のように点在します(断言)が、決して嫌がらせではございません(泣)
モヤモヤ案件ものですが、作者は元サヤ(大きな概念で)ハピエン作家です。
アンチ元サヤの方はそっ閉じをオススメいたします。
あとは自己責任でどうぞ♡
小説家になろうさんにも時差投稿します。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる