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第88話 ケジメと許し
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部屋の中には、その部屋の主人の辺境伯と筆頭執事のエドヴァルドに
メイド長のヘレナが居たのである。この3人が話し合っていた事柄は
身内がしでかした不祥事のケジメを付ける為の話し合いであった。
もしも本当に身内が仕出かした事であるのならば、辺境伯は自らの手
を下す事は無いが、その部下のエドヴァルドの黒の団が、動きケジメ
を付ける事になるのだ。
辺境伯は、身内が仕出かした不祥事で無ければ良いのだが、っと心の
中では願っていたのだ。だが現実は、非情である!淡い期待など直ぐ
に打ち砕かれてしまう。
部屋には辺境伯だけが居るだけだった。
先の話を訊いてから既に2日も経っていた。そろそろ結果が解る頃合で
あったのだ。本心では身内の仕出かした事ではないと信じていたのだが
でも、事実は、そうではなかったのだ!
「旦那様、只今、戻ってまいりました。」
爺よ!早く結論から訊かせてくれまいか!?本当に叔父上が、インガ殿
の旦那を暗殺したのか?
辺境伯は焦っており、爺が戻るや否や、爺に詰め寄って訊いていたのだ。
「はっ!畏まりました。結論を言いますと、間違えなく準男爵様と準士爵
様の2人に寄る企てだと言えるでしょう!」
それを訊いた辺境伯は、爺の目の前で膝から崩れ落ちてしまい、エドヴァル
ドに助けられて居たのだった。
なんっと言う事だ!儂の身内が、義父を暗殺していたなどと、辺境伯家に
対しての反乱では無いか!この事を明るみにすれば、叔父上達2人を直ぐに
でも、処罰できるだけの口実はあるのだ。
「なりませぬぞ!それだけは御止め下さい!もしも公になれば、侯爵家が動き
出してしまい、取り返しの付かない事になります。下手をすれば、同族同士で
の殺し合いになりまする!そうなってしまえば、両国は何もせずに我々が殺し
合うのを見てるだけを貫きましょう!そうなれば、領民が哀れですぞ!」
侵略行為とは違い、同族同士の殺し合いだと、国は何もせぬであろうな!
爺の言う通りじゃな!割を食うのは領民であるな!そうなれば、儂は今まで
の中で1番の無能な領主と言われよう!
曾爺様の代から守り抜いてきた土地を儂の代で、失うわけには行かんな!
この事は公にせずに、密かに事を成す様にするのじゃ!
「御意に御座います!直ぐ黒の団が動いており、後は旦那様が指示すれば
全てが、無かった事に出来ます。それをインガ様とオレーク様は望んでおり
この度の結婚の条件にもなっております!」
合い解った!爺よ、全てを無かった事にし、そして、全ての責任を男爵に
擦り付けるのじゃ!そうすれば、叔父上達の親族は、我が辺境伯家の下に
集い、男爵を討つべしと唱えるであろう!そうなった時がヘレナ率いる、
白の団の出番じゃ!
「旦那様、私の白の団は何時でも出陣できる準備は、済ませております!」
うむ、メイド長よ!叔父上達の親族が詰め掛けて来た時は、そちに頼んだぞ!
上手く先導し、戦いに勝利するのじゃぞ!負けては全てが台無しであるからの!
「御意!」
それでは、この度の企てを実行する為の書状を認めて置いた。これを各自で手分
けし、それぞれの元に届けてまいれ!時期もが、丁度良い事に、新酒が取れる時
と重なっているから、それぞれには、今年取れたシーランド原産のワインの品評
会と記している。シーランド本島では、ワインの品評会など一回も開いた事は無
いが、今年から恒例行事となると伝えよ!
《御意!》
黒の団は、黒幕2人の始末を抜かりなくこなせ!そして、白の団には、叔父上達
の親族の敵討ちが達成できる様に、働きかけた後に、それを実行せよ!そして、
最後には、あの貴族を討ち取り勝利を持ち帰れ!
「万事抜かりなく事を運んで御覧に入れます」
「親族の先導と戦いの勝利を旦那様にお約束いたしまする!」
そう言うと、筆頭執事・エドヴァルドとメイド長・ヘレナは、辺境伯の執務室を
後にしたのであった。
部屋に残された辺境伯は、溜め息を付きながら、執務室を出ると自室へと戻って
行ったのである。その目的は、辺境伯の妻であるルートに、全てを打ち明ける事
であり、そして、ルートと話し合った後に、子供達にこの事を全て話すかどうか
を決める為であった。
ルート、が午後のお茶会をしているテラスへと遣って来た辺境伯であった。
ルートよ!今日はそちに話す事が合って、仕事を終わらせて戻って来たのじゃ!
少しばかり儂に時間をくれんか?
「あら!旦那様ったら、どうなされたのですか?思い詰めた顔をして居ますが
何か困ってらっしゃるのですか?」
実はな、儂の叔父達が、そちの父上を暗殺していた事実をインガ殿から訊いて
しまったのじゃ!まずは、そちに謝らねばならぬ!我が身内が仕出かした事、
全ての責任は儂にある。ルートよ許してくれ!
「な.....なんですって!お父様は、旅の心労がたたって死んだとお母様からは
訊いていたのに、お父様が殺されたなんって.....」
信じ難いのは、儂にも解る!儂とて話を訊いた時には、本当の事かどうかを
疑った程であった。だがな、爺の調べによれば、全てが本当であったのじゃ!
本当の事であったのであれば、ケジメを付けるのが筋道と言う物じゃ!
「っと言いますと?」
儂は、叔父上2人を暗殺する事に決めて、既に爺に命令を下しておる!
これで全てを許してくれとは、虫が良すぎるのは重々承知しておるが、
此処は、叔父上2人の命だけで、許して欲しいのじゃ!もしも、叔父上
達の家族まで類が及べば、果てしない殺し合いが続く事になるであろう!
そうならぬ為にも、此処は此れで我慢して欲しいのじゃ!
「旦那様......私も貴族に嫁いだ事で、企てなどに対しての覚悟は、決まっ
ております。その覚悟は、遣られたら遣り返す!それだけです。旦那様が
私の替わりに、仇の2人を葬ると言うのであれば、私は旦那様を許します」
そう言うてくれた事で、儂の肩の荷も少しは軽くなったぞ!後は此の事を
子供達には伝えた方が良いかの?そちの意見を訊かせて欲しいのじゃ!
「子供達には、関係ない事です!私達の代で、この恨みは終わりにしなけれ
ばなりませぬ!だから、お母様にも、そう伝えて下さい」
合い解った!
メイド長のヘレナが居たのである。この3人が話し合っていた事柄は
身内がしでかした不祥事のケジメを付ける為の話し合いであった。
もしも本当に身内が仕出かした事であるのならば、辺境伯は自らの手
を下す事は無いが、その部下のエドヴァルドの黒の団が、動きケジメ
を付ける事になるのだ。
辺境伯は、身内が仕出かした不祥事で無ければ良いのだが、っと心の
中では願っていたのだ。だが現実は、非情である!淡い期待など直ぐ
に打ち砕かれてしまう。
部屋には辺境伯だけが居るだけだった。
先の話を訊いてから既に2日も経っていた。そろそろ結果が解る頃合で
あったのだ。本心では身内の仕出かした事ではないと信じていたのだが
でも、事実は、そうではなかったのだ!
「旦那様、只今、戻ってまいりました。」
爺よ!早く結論から訊かせてくれまいか!?本当に叔父上が、インガ殿
の旦那を暗殺したのか?
辺境伯は焦っており、爺が戻るや否や、爺に詰め寄って訊いていたのだ。
「はっ!畏まりました。結論を言いますと、間違えなく準男爵様と準士爵
様の2人に寄る企てだと言えるでしょう!」
それを訊いた辺境伯は、爺の目の前で膝から崩れ落ちてしまい、エドヴァル
ドに助けられて居たのだった。
なんっと言う事だ!儂の身内が、義父を暗殺していたなどと、辺境伯家に
対しての反乱では無いか!この事を明るみにすれば、叔父上達2人を直ぐに
でも、処罰できるだけの口実はあるのだ。
「なりませぬぞ!それだけは御止め下さい!もしも公になれば、侯爵家が動き
出してしまい、取り返しの付かない事になります。下手をすれば、同族同士で
の殺し合いになりまする!そうなってしまえば、両国は何もせずに我々が殺し
合うのを見てるだけを貫きましょう!そうなれば、領民が哀れですぞ!」
侵略行為とは違い、同族同士の殺し合いだと、国は何もせぬであろうな!
爺の言う通りじゃな!割を食うのは領民であるな!そうなれば、儂は今まで
の中で1番の無能な領主と言われよう!
曾爺様の代から守り抜いてきた土地を儂の代で、失うわけには行かんな!
この事は公にせずに、密かに事を成す様にするのじゃ!
「御意に御座います!直ぐ黒の団が動いており、後は旦那様が指示すれば
全てが、無かった事に出来ます。それをインガ様とオレーク様は望んでおり
この度の結婚の条件にもなっております!」
合い解った!爺よ、全てを無かった事にし、そして、全ての責任を男爵に
擦り付けるのじゃ!そうすれば、叔父上達の親族は、我が辺境伯家の下に
集い、男爵を討つべしと唱えるであろう!そうなった時がヘレナ率いる、
白の団の出番じゃ!
「旦那様、私の白の団は何時でも出陣できる準備は、済ませております!」
うむ、メイド長よ!叔父上達の親族が詰め掛けて来た時は、そちに頼んだぞ!
上手く先導し、戦いに勝利するのじゃぞ!負けては全てが台無しであるからの!
「御意!」
それでは、この度の企てを実行する為の書状を認めて置いた。これを各自で手分
けし、それぞれの元に届けてまいれ!時期もが、丁度良い事に、新酒が取れる時
と重なっているから、それぞれには、今年取れたシーランド原産のワインの品評
会と記している。シーランド本島では、ワインの品評会など一回も開いた事は無
いが、今年から恒例行事となると伝えよ!
《御意!》
黒の団は、黒幕2人の始末を抜かりなくこなせ!そして、白の団には、叔父上達
の親族の敵討ちが達成できる様に、働きかけた後に、それを実行せよ!そして、
最後には、あの貴族を討ち取り勝利を持ち帰れ!
「万事抜かりなく事を運んで御覧に入れます」
「親族の先導と戦いの勝利を旦那様にお約束いたしまする!」
そう言うと、筆頭執事・エドヴァルドとメイド長・ヘレナは、辺境伯の執務室を
後にしたのであった。
部屋に残された辺境伯は、溜め息を付きながら、執務室を出ると自室へと戻って
行ったのである。その目的は、辺境伯の妻であるルートに、全てを打ち明ける事
であり、そして、ルートと話し合った後に、子供達にこの事を全て話すかどうか
を決める為であった。
ルート、が午後のお茶会をしているテラスへと遣って来た辺境伯であった。
ルートよ!今日はそちに話す事が合って、仕事を終わらせて戻って来たのじゃ!
少しばかり儂に時間をくれんか?
「あら!旦那様ったら、どうなされたのですか?思い詰めた顔をして居ますが
何か困ってらっしゃるのですか?」
実はな、儂の叔父達が、そちの父上を暗殺していた事実をインガ殿から訊いて
しまったのじゃ!まずは、そちに謝らねばならぬ!我が身内が仕出かした事、
全ての責任は儂にある。ルートよ許してくれ!
「な.....なんですって!お父様は、旅の心労がたたって死んだとお母様からは
訊いていたのに、お父様が殺されたなんって.....」
信じ難いのは、儂にも解る!儂とて話を訊いた時には、本当の事かどうかを
疑った程であった。だがな、爺の調べによれば、全てが本当であったのじゃ!
本当の事であったのであれば、ケジメを付けるのが筋道と言う物じゃ!
「っと言いますと?」
儂は、叔父上2人を暗殺する事に決めて、既に爺に命令を下しておる!
これで全てを許してくれとは、虫が良すぎるのは重々承知しておるが、
此処は、叔父上2人の命だけで、許して欲しいのじゃ!もしも、叔父上
達の家族まで類が及べば、果てしない殺し合いが続く事になるであろう!
そうならぬ為にも、此処は此れで我慢して欲しいのじゃ!
「旦那様......私も貴族に嫁いだ事で、企てなどに対しての覚悟は、決まっ
ております。その覚悟は、遣られたら遣り返す!それだけです。旦那様が
私の替わりに、仇の2人を葬ると言うのであれば、私は旦那様を許します」
そう言うてくれた事で、儂の肩の荷も少しは軽くなったぞ!後は此の事を
子供達には伝えた方が良いかの?そちの意見を訊かせて欲しいのじゃ!
「子供達には、関係ない事です!私達の代で、この恨みは終わりにしなけれ
ばなりませぬ!だから、お母様にも、そう伝えて下さい」
合い解った!
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