84 / 122
第82話 勧誘と試作品
しおりを挟む
爺は自室に戻ると直ぐに、部下である団長を呼ぶと御主人の命令を伝えた
のだった。黒の団のトップは、この初老の男性であるが、団長の座は既に
血縁者に引渡している。実質この初老の男性がしている仕事と言えば、只
の黒の団と主人との連絡役に過ぎないのだが、それでも、その仕事は重要
であり、団長に任せるには早すぎる仕事だったのだ。
「御呼びでしょうか!今日は、どの様な事柄を解決すれば宜しいのですか?」
団長は、初老の男性に礼儀正しく仕事の内容を訊くとともに、嬉しそうな顔
を初老の男性に向けていたのだ。
今日そちを呼んだのは、前から話していた件の事なんじゃがな!どうも、あの
成り上がりの貴族共は、旦那様の大切な者に危害を加えようとしている節が、
ある様なのじゃ!そこで、そちに動いて貰う事になる!
「ほう!例の人物が、とうとう本性を表したと言う訳ですかな!?」
そうじゃ!成り上がりの貴族は、事もあろうことか、あのシーランド銃組合の
者達に手を出してしまったんじゃ!そうなっては、旦那様も許すはずも無くて
な!成り上がり者達をこの騒ぎに乗じて、始末する事に決まったぞ!
「それは、難しくない仕事ですが、残される王弟殿下は、どうされるのですか?」
問題は、そこじゃが!旦那様の末娘の姫を王弟殿下に嫁がせると、旦那様は言い
出してな!その仕事は、白の団に任されたんじゃが、後、成り上がり貴族の始末
も白の団に任された。
「それでは、我々黒の団は、何をするのですか?」
そう焦るでないわ!最後まで話を訊かんか!
「親父殿、申し訳ありません!」
儂等、黒の団の今回の仕事は、来家族の者達の護衛とオレーク家族の護衛を陰から
する事にあるのじゃ!もしも、オレーク様のご子息に何かあれば、黒の団の存続は
難しくなる。だから、失敗はできない重要な仕事なんじゃ!
「それほどの重要な仕事だったのですか!?そうなると、御者組合に潜入させている
副団長に直ぐにでも連絡を取り、御者組合の手勢を増やさねばなりませぬな!」
そうなんじゃ!御者組合に潜入させている者達は、少ない!それでじゃ、新たに
黒の団の団員を増やす事に決まった。
「おぉ~!そうなりますと、新団員は、何処からスカウトするのですか?」
新団員をスカウトと言うか、前団員を引き戻す事に決めた!もしくは、前団員の
家族や親類縁者でも良いのじゃ!黒の団に忠誠を誓えるならばな!
「前団員で良いのであれば、御者組合にも前団員や、その家族が数名居ますぞ」
なんと!それは真か!?それならば、御者組合の副団長に連絡を取り、直ぐにでも
御者組合の前団員と、その家族や親類縁者を勧誘してくる様に伝えよ!
「それとですな、親父殿は知ってるか解りませぬが、数日前の事なのですが、
来の者達が、御者組合に遣って来て、この試作品を置いて行ったのです」
試作品じゃと?それはシーランド銃の試作品の事なのか?
「グローブ式短筒銃を改良して作ったと言う話で、出来はまだ定かではなく、
副団長が、御者組合に納品された試作銃10丁の内の1丁を借りて来たそうで、
そして、これが現物になります!」
ほう!これは中々の出来栄えではないか!小さいが少し重いの!儂が見た
シーランド銃とは、長さが違う様じゃが、此れはなんでじゃ?
「御者達が、仕事中に襲われた時を想定して作られている為とか、御者台
の上からでも、迎撃を可能にする為に短めに作られているのと、シーラン
ド銃より軽くなっているそうです!」
これで軽くなっているのか?長剣と同じ位の重さが無いか?
「手綱を持ったままで、両手に持ちながら射撃をすると、副団長は申して
おりましたぞ!」
あっ!片手で撃つのではないのか!?そりゃ~そうだわな!だって重いもの
な!
「我が団にも、正式にシーランド銃を配備したいと考えているのですが、
親父殿は、シーランド銃の配備に対して、どの様に考えておられますか?」
シーランド銃を配備するにしても、シーランド銃は何種類もあるんじゃぞ!
その数ある銃の中から、どれを選ぶと言うのじゃ?
「白の団も、シーランド銃を配備すると言う話を訊いていますので、我々と
しましては、白の団と同じ仕様の物は避けたいと思っています!」
ふむふむ!それで、その心は?
「我々黒の団が配備する銃は、この短筒銃と来式狙撃銃が望ましいと存じます」
中々の明察じゃな!黒の団は、表に出ない組織だが、決して対象者から離れてい
る訳でもなく、近すぎず離れずぎずが我々の仕事をする距離である。それを考え
れば、自然と答えは出たのであろう!
「親父殿の言う通りで御座います!離れて護衛する時には、来式狙撃銃は打って
付けであります。それに短筒銃は、護衛対象が室内などに入った場合に、適して
いるのは言うまでもありません」
我々黒の団は、白の団より数が劣るからの!その数の不利を補う為にも、今後は
シーランド銃を多様して行くのが好ましいと儂は思う!
「白の団では、オレーク式突撃銃が採用される運びになるでしょうが、我々には
オレーク式突撃銃は、不向きでありますし、そもそも運用方法が違いますから、
オレーク式突撃銃お採用は、あったとしても10丁程度かと思います!」
所で気になったのじゃが、来式狙撃銃とか、オレーク式突撃銃と言う名は、
一体誰が付けた名前なんじゃ?儂が訊いている名とは、全然ちがうのじゃがな?
「それは、製作者が付けた名前ではなく、使った者達が、愛称で呼んでいると
私は訊いておりますぞ!後々、その愛称が正式名称になるやも知れませぬな!」
本当か?
のだった。黒の団のトップは、この初老の男性であるが、団長の座は既に
血縁者に引渡している。実質この初老の男性がしている仕事と言えば、只
の黒の団と主人との連絡役に過ぎないのだが、それでも、その仕事は重要
であり、団長に任せるには早すぎる仕事だったのだ。
「御呼びでしょうか!今日は、どの様な事柄を解決すれば宜しいのですか?」
団長は、初老の男性に礼儀正しく仕事の内容を訊くとともに、嬉しそうな顔
を初老の男性に向けていたのだ。
今日そちを呼んだのは、前から話していた件の事なんじゃがな!どうも、あの
成り上がりの貴族共は、旦那様の大切な者に危害を加えようとしている節が、
ある様なのじゃ!そこで、そちに動いて貰う事になる!
「ほう!例の人物が、とうとう本性を表したと言う訳ですかな!?」
そうじゃ!成り上がりの貴族は、事もあろうことか、あのシーランド銃組合の
者達に手を出してしまったんじゃ!そうなっては、旦那様も許すはずも無くて
な!成り上がり者達をこの騒ぎに乗じて、始末する事に決まったぞ!
「それは、難しくない仕事ですが、残される王弟殿下は、どうされるのですか?」
問題は、そこじゃが!旦那様の末娘の姫を王弟殿下に嫁がせると、旦那様は言い
出してな!その仕事は、白の団に任されたんじゃが、後、成り上がり貴族の始末
も白の団に任された。
「それでは、我々黒の団は、何をするのですか?」
そう焦るでないわ!最後まで話を訊かんか!
「親父殿、申し訳ありません!」
儂等、黒の団の今回の仕事は、来家族の者達の護衛とオレーク家族の護衛を陰から
する事にあるのじゃ!もしも、オレーク様のご子息に何かあれば、黒の団の存続は
難しくなる。だから、失敗はできない重要な仕事なんじゃ!
「それほどの重要な仕事だったのですか!?そうなると、御者組合に潜入させている
副団長に直ぐにでも連絡を取り、御者組合の手勢を増やさねばなりませぬな!」
そうなんじゃ!御者組合に潜入させている者達は、少ない!それでじゃ、新たに
黒の団の団員を増やす事に決まった。
「おぉ~!そうなりますと、新団員は、何処からスカウトするのですか?」
新団員をスカウトと言うか、前団員を引き戻す事に決めた!もしくは、前団員の
家族や親類縁者でも良いのじゃ!黒の団に忠誠を誓えるならばな!
「前団員で良いのであれば、御者組合にも前団員や、その家族が数名居ますぞ」
なんと!それは真か!?それならば、御者組合の副団長に連絡を取り、直ぐにでも
御者組合の前団員と、その家族や親類縁者を勧誘してくる様に伝えよ!
「それとですな、親父殿は知ってるか解りませぬが、数日前の事なのですが、
来の者達が、御者組合に遣って来て、この試作品を置いて行ったのです」
試作品じゃと?それはシーランド銃の試作品の事なのか?
「グローブ式短筒銃を改良して作ったと言う話で、出来はまだ定かではなく、
副団長が、御者組合に納品された試作銃10丁の内の1丁を借りて来たそうで、
そして、これが現物になります!」
ほう!これは中々の出来栄えではないか!小さいが少し重いの!儂が見た
シーランド銃とは、長さが違う様じゃが、此れはなんでじゃ?
「御者達が、仕事中に襲われた時を想定して作られている為とか、御者台
の上からでも、迎撃を可能にする為に短めに作られているのと、シーラン
ド銃より軽くなっているそうです!」
これで軽くなっているのか?長剣と同じ位の重さが無いか?
「手綱を持ったままで、両手に持ちながら射撃をすると、副団長は申して
おりましたぞ!」
あっ!片手で撃つのではないのか!?そりゃ~そうだわな!だって重いもの
な!
「我が団にも、正式にシーランド銃を配備したいと考えているのですが、
親父殿は、シーランド銃の配備に対して、どの様に考えておられますか?」
シーランド銃を配備するにしても、シーランド銃は何種類もあるんじゃぞ!
その数ある銃の中から、どれを選ぶと言うのじゃ?
「白の団も、シーランド銃を配備すると言う話を訊いていますので、我々と
しましては、白の団と同じ仕様の物は避けたいと思っています!」
ふむふむ!それで、その心は?
「我々黒の団が配備する銃は、この短筒銃と来式狙撃銃が望ましいと存じます」
中々の明察じゃな!黒の団は、表に出ない組織だが、決して対象者から離れてい
る訳でもなく、近すぎず離れずぎずが我々の仕事をする距離である。それを考え
れば、自然と答えは出たのであろう!
「親父殿の言う通りで御座います!離れて護衛する時には、来式狙撃銃は打って
付けであります。それに短筒銃は、護衛対象が室内などに入った場合に、適して
いるのは言うまでもありません」
我々黒の団は、白の団より数が劣るからの!その数の不利を補う為にも、今後は
シーランド銃を多様して行くのが好ましいと儂は思う!
「白の団では、オレーク式突撃銃が採用される運びになるでしょうが、我々には
オレーク式突撃銃は、不向きでありますし、そもそも運用方法が違いますから、
オレーク式突撃銃お採用は、あったとしても10丁程度かと思います!」
所で気になったのじゃが、来式狙撃銃とか、オレーク式突撃銃と言う名は、
一体誰が付けた名前なんじゃ?儂が訊いている名とは、全然ちがうのじゃがな?
「それは、製作者が付けた名前ではなく、使った者達が、愛称で呼んでいると
私は訊いておりますぞ!後々、その愛称が正式名称になるやも知れませぬな!」
本当か?
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説


【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
【電子書籍発売に伴い作品引き上げ】私が妻でなくてもいいのでは?
キムラましゅろう
恋愛
夫には妻が二人いると言われている。
戸籍上の妻と仕事上の妻。
私は彼の姓を名乗り共に暮らす戸籍上の妻だけど、夫の側には常に仕事上の妻と呼ばれる女性副官がいた。
見合い結婚の私とは違い、副官である彼女は付き合いも長く多忙な夫と多くの時間を共有している。その胸に特別な恋情を抱いて。
一方私は新婚であるにも関わらず多忙な夫を支えながら節々で感じる女性副官のマウントと戦っていた。
だけどある時ふと思ってしまったのだ。
妻と揶揄される有能な女性が側にいるのなら、私が妻でなくてもいいのではないかと。
完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。
誤字脱字が罠のように点在します(断言)が、決して嫌がらせではございません(泣)
モヤモヤ案件ものですが、作者は元サヤ(大きな概念で)ハピエン作家です。
アンチ元サヤの方はそっ閉じをオススメいたします。
あとは自己責任でどうぞ♡
小説家になろうさんにも時差投稿します。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる