戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

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第74話 噛ませ犬と友達

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「僕が好きな人は、目の前に居る女性です!一目見た時から、貴女に心を
奪われてしまいました。ヤーコブには悪いと思いつつも、貴女と再開できた
喜びの方が勝り、貴女を奪う事を選んでしまいました。」

んっ!?アントンは以前に何処かでイーナと出会っていると言う事なのか?
そうでなければ、話が繋がらないな!

「貴女は覚えて居ないかも知れませんが、1カ月前の事なのですが、僕たちが
此の町に遣ってきて直ぐの時に、僕と貴女は出会っていたのです。そう、あれは
朝日が眩しいくて、爽やかな日差しが差し込んでいる朝市での事でしたね。
僕は、まだ町に来て間もなくて、此の町で迷子になってしまいましたが、偶然に
朝市で魚を売った帰りの貴女に助けて貰ったのですよ。覚えていませんか?」

「1ヵ月前の朝市の行商帰りですか?..........あっ!貴方は、道に迷ってスラム街
に入って行こうとしてた人ですか?此の町のスラム街は、人攫いや、殺しが横行
している場所で、地元の人でも近づかない場所なのに、貴方は平気な顔をしなが
ら、スラム街に入ろうとしてましたよね!」

「お恥ずかしい話ですが、ヤーコブと逸れてしまってから、色々と探し回ってた
のですが、まさか、あの様な場所に行ってしまうとは思っても見ませんでした。
あの時に、貴女に声を掛けられなかったら、僕は今頃は此処には居なかったかも
しれないのです。貴方は僕の命の恩人でもあります」

そんな事が、以前にあったのか!それは俺は知らなかったな!

「命の恩人だ何って、大げさ過ぎです。私は只、貴方が危ない場所に入らない様に
注意しただけなのですから、そんな風に思わなくても良いのですよ」

「僕は、あの時以来、イーナさんを探して朝市に通って居たのですが、見つける
ことが出来なく、偶然にも、黒猫屋で貴女を見た時には、神様のお導きだと信じて
しまいました。これは全て精霊神様のお導きなのです」

はぁ~ん!なるほどな、黒猫屋で、ばったり会ったアントンは、部屋まで付いて
来て居て、部屋の外で部屋の中の会話を訊いていたのか!そして、話が拗れると
さっそうとアントンが現れて、安心を与えるとか都合の良い言葉を並べてたのだ
が、実は一目惚れした女性とお近づきになりたかったと、そう言う事なのだな!?
ヤーコブは、本当に噛ませ犬になっているが、ヤーコブ自身は気にもしてないな
それより、許婚の敵討ちにしか興味を示さないとか、大分だが思い込んでいるな
この状況が続くのは良くないが、今はヤーコブに何を言っても聞き入れてはくれ
ないだろう。

「私は、許婚が生きていると思っているので、貴方とは結婚を前提にしたお付き
合いは出来ません。ですが、お友達からならば、私は構いませんよ」

ま~普通に考えたら、そうなるわな!行き成り接吻をして、好きです結婚して
下さい!っと、言われても困るわな!友達から付き合って行く事で、お互いの
事も解るだろうから、それが妥当な落とし所ではある。

「僕は、貴女が好きです!結婚を前提としての、お友達付き合いをして下さい!
そして、僕をもっと知って下さい!僕も貴女の事を一杯知りたいです」

結婚を前提としての、お友達付き合いって何だ?初めて訊いたのだが、そんな
付き合い方があるのか?

「まずは、お友達になれた事を喜びましょう......結婚を前提としてのお友達付き合い
ってのが、良く解んないですけど、友達から始めれば、結婚するかも知れないのが
男女の付き合いですし、間違ってはなさそうな気がしますね」

やっぱり、結婚を前提としてのお友達付き合い何って言う物は、こっちの世界でも
ないんだな!これは全てアントンが考えた事なのだろう!

「イーナ、お見合いはどうするんだ?ヤーコブ君にも悪いんだがな!」

「ボクの事は、お気遣いなくても良いです。ボクはボクで、今はしなければならない事が、
山の様に合って、女性とのお付き合いだの、結婚だのと考える余裕すら無いのです」

「こっちから呼んでおいて、ヤーコブ君には申し訳ない事をしてしまったな!
この償いは、後日に、何かしらの事で償う事にするよ!」

頭は、律儀にヤーコブに気を使っている。こんな気配りも出来るのだと関心させられてしまう。
流石は人を使う船団の頭だけの事はあるな。

「イーナさんは、奪還作戦には参加するのですか?」

「私は船団での仕事は、飯炊きが主なので、今度の遠征にも付いて行きますよ」

「もしも、貴女が危ない時があれば、好成さん直伝の狙撃で、イーナさんを魔物
から、お守りしますから心配しないで下さいね」

狙撃は、根来衆の技であり、一閃流には無い技なのだが、俺は静と秋に、狙撃術
の極意を教えて貰っていたのだ。薬草の島で、狙撃術の練習をした結果、覚えた
技なのである。

アントンの狙撃は、静や秋の狙撃に比べて、まだまだ的を外す事が多くて、実践
では使い物にならない物だが、まぐれ当りと言う事もあるから、後は本人の努力
次第である。

こうして、波乱のお見合いが終わったのだった。

結果としては、イーナとアントンは、結婚を前提としての、お友達付き合いを始
めると言う事で、話は纏まったのだった。

それにしても、接吻を見た後から、芳乃の様子がおかしくなり、早く俺と2人っ
きりになろうとしているのだが、それはつまり、接吻を求めていると言う事なの
だろうな.....芳乃よ!裏に行ってからで良いか?
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