戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

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第57話 執事とメイド長

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~とある執事視点~

つまりは、シーランド銃組合が作り出した銃と言う物が、想像以上の物だったと
言う事なのだな?「その通りで御座います」ふむ、誰にでも扱えるシーランド銃
なる物を1つだけでも良い、入手できないのか?「それは遣ってみないと、解りま
せぬ」そうか、ならば駄目元で遣ってみてくれ。「畏まりました」

そう言うと、執事の配下の者は音もなく部屋から、気配を消して居たのだった。

ふむ、シーランド銃なる物を早々に入手して、旦那様に献上せねばなるまいな!
旦那様も、シーランド銃なる物を眼にすれば、辺境伯家の対応の仕方も決まると
言うものだな。この分だと、全面的な支援をする事に決まりそうだが、物を見て
見ない事には、決める事は出来ないからの!

儂から、旦那様に献上すれば、旦那様も喜ばれよう。そうでなくてはならぬのだ。
奴に先を越される訳にはいかん。そうでなくても奴には煮え湯を呑まされてばかり
なのだからな!

白の精霊騎士団と黒の精霊騎士団と2つの騎士団が存在しているが、儂は黒の
精霊騎士団の事実上のトップではあるが、団長は若手に譲ったからの。儂が力
の無いばかりに、現団長には苦労をかけてしまっているが、それも今回の任務
が成功さえすれば黒の精霊騎士団が表に出る事に繋がるかも知れぬ!そうなら
ねばならぬのだ。

精霊戦争の末期に活躍した2つの騎士団だったが、平和が続いていた時代には、
2つも騎士団は不要とされてしまい、1つは諜報を専門とする部隊になってしま
ったのだが、それもこれも、儂が若かりし頃に犯した罪が原因だ。

~爺の回想~

あれは儂が、18歳の時だった頃の事だ。前領主様が決めた1つの騎士団を残して他は
解散するか、諜報部隊になるか。そんな話が出てた時だったのだ。

当時の騎士団長に剣の腕を見込まれて、騎士団の生き残りを賭けた勝負に、
儂が黒の精霊騎士団の代表で出たのじゃよ。そうして勝負に負けてしまい、
解散すると当時の団長は言ったのだが、儂が諜報部隊でも良いので存続さ
せて欲しいと頼み込みその結果、こうして存続してきたのだ。

その時に勝負したのが、白の精霊騎士団の若手ナンバー1だった奴だったのだ。
そして奴は、女だったのだ。儂は女に敗れてしまっただけでなく、騎士の誇り
も無くしてしまい、自棄になっていた。騎士団は存続したが、諜報部隊になっ
てしまい汚れ仕事ばかりをこなす毎日に辟易して、騎士を辞める覚悟さえして
いたのだが、儂を救ってくれたのは、白の精霊騎士団の若手ナンバー1だった
奴だったのだ。

そして2人は恋に落ち、2人の間には3人もの子供が出来たのだ、その長男が黒の
精霊騎士団の現団長だったりする。そして白の精霊騎士団の事実上のトップはと
言うと、メイド長をしているが実は、白の精霊騎士団のトップである。そして
現白の精霊騎士団の団長はと言うと、黒の団長の妹なのじゃよ!

白の精霊騎士団には、煮え湯を呑まされてばかりじゃ!儂が旦那様と王都に行った
時の事じゃが、その時に儂も旦那様と一緒に、ちょっと大人の遊び場に出かけただ
けなのに、家に帰ると儂は、天井から架けられたロープに縛られて、棒で真実を言
うまで叩かれたんじゃ!儂は悪くないのにだ。

今度と言う今度は、絶対にワイフにギャフンと言わせてやるんじゃ!そして、儂が
黒の精霊騎士団を、また表舞台に立たせてやる!赤字の原因が、騎士団だったのだ
から仕方ないけど、黒字になれば、騎士団が2つあっても良いよね?

だから儂は頑張る!

~とあるメイド長視点~

何ですって?またあの人が何か良からぬ事を企んでいるですって?こうしては
おれぬな、直ぐに黒の精霊騎士団の行動を監視して、解り次第、報告と対策を
立てなさい。解ったわね?

《はい、お母様》

白の精霊騎士団の団長と副団長は、メイド長の娘達だったのだ。そして若旦那様の
護衛役でもある。娘達は私に似て、それは絶世の美女と言っても過言ではなく、
本当に美しかった。将来的には、どちらかの娘が、若旦那様の妻になればと思わない
訳ではないのだが、そこは放置してても、男女の仲なんって口で言うより複雑なの
だから、成るがまま流されておけば良い。

娘達の事より、執事長の行動の方が、余程に白の精霊騎士団に取っては重要な事だ
ったりするのだから、そっちをまずは探らなければならなかった。

また旦那様と良からぬ事を企んでいるに違いない!そんな事は私は認めないわよ!
絶対に邪魔をして、悪巧みを打ち砕いてやるわ!他の女に盗られて堪るもんですか
エドヴァルドは私の者なのよ!浮気は許さないわ。

こうして、2つの騎士団の思いが交差する事態へと発展して行く事になりました。
そして、この後には何が待ち構えているのやら、大変興味深いですよね!

男と女は、歳を重ねても、男と女のままである。そして、愛は年月を重ねる事に因り、
因り深く、因り広く、物事を複雑にして行く物なのである。そんな愛し合う?
2人の熟年夫婦の恋の行方は、何処で分かり合い、そして理解しあうのか!
それとも、このまま分かり合う事は無く、誤解したままになってしまうのか?

熟年夫婦の恋の物語inシーランド本島!にご期待ください。




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