戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

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第52話 謝罪と怒号

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初老の男性は、叫び出したと思ったら直ぐに、違う木に向かい定剪《せんてい》を
始めたのだった。棟梁監督はと言うと、初老の男性が叫んだ事で、自分が怒られる
と思ったのか、顔は下を向いており、今か今かと男性から怒られるのを待っている
状態だったのだが、男性は違う木を剪定し始めており、棟梁監督が怒られる事は、
無かったのだった。

そこで、棟梁監督は怒られる前に、謝ろうと思ったのだろうか、直ぐに男性の傍に
行き、謝罪の言葉を男性に言っているな。

「支部長、大切な木を無茶苦茶にされてしまい、申し訳ありませんでした」

この男性は支部長さんだったのか、庭師とばかり思って居たら、とんでもない人
だった!俺も棟梁監督と一緒に謝ろう。そう思った俺は、棟梁監督の横に行って
支部長さんに謝ったのだった。

「大切な木とも知らずに、わたくしが大事な木に、この様な事をしてしまった事を
 お詫びします。大変申し訳ありませんでした。」

俺が支部長に謝罪したのだが、当の支部長からは、謝罪された意味が解らないと
言った顔されていた。

「何で2人で儂に謝ってるんじゃ?あの木も剪定する積もりだったのだが、儂がす
 るより早く、剪定されていたのに驚いただけじゃぞ!別に謝る必要はないわい!
 あの木は最近な、害虫が木の葉を食べに来ていたから、今の様にする予定じゃっ
 たんじゃ!だから、逆に儂から感謝の言葉を送りたいわい!ありがとさん」

そう言うと、支部長さんは俺の手を取り、感謝の言葉を言ってくれたのだった。

「それにしても、あの高さの枝を切り落とすのは苦労したじゃろ?梯子も使わず
 どの様にして、あの高さの枝を切ったんじゃ?儂にも教えてくれんか?」

支部長さんは、枝を切った方法を知りたがったので、俺は包み隠さずに教えたのだだった。

「支部長さん、実はですねわたくしが持っている物は、シーランド銃と言いまして
 わたくし達が開発した物なのです。それを使い枝打ちをしました。」

「ほう!シーランド銃と言う物がそれか!さっきから煩かったのは、それが原因
 なのかの?儂にも見せてもらえるか?」

支部長さんのお願いで、シーランド銃を使う所が観たいと言われたので、俺は撃って
良い物を探し、それを撃って良いかと訊くと、支部長さんの許可を出してくれた
ので、俺は心置きなくシーランド銃を撃っち放ったのだった。

バァーン!.....バァーン!.....バァーン!.....バァーン!.....バァーン!

5回撃ち出すと、そこには、陰陽師が使う五芒星が描かれていたのだった。

「星の形を銃なる物で、描くとは中々の腕じゃの!シーランド銃なる物もまた
 緻密に作られており、職人の力量の高さを伺えるの!所で御主は此処に何を
 しに来たのじゃ?もしかすると、そのシーランド銃を組合に売り込みに来た
 のか?我が組合は建築が専門じゃて、物騒な物は使わないんじゃが!」

「いえ支部長、この方はですね、組合に依頼をされに来たお客様です」

「どんな依頼をしに来たんじゃ!まずは依頼の内容を儂にも教えて貰おう
 棟梁監督、君から儂に説明をしてくれるよな?」

そう言うと、直ぐに棟梁監督は支部長さんに、細かく始めから説明を始めたのだ
った。そして、俺はその間に、伐った木の枝を片付けていたのだ。この枝は苗木
にすれば、良い木になりそうだったから、苗木にする為に何本かの枝を持って帰
る事にした。

「依頼の内容は訊かせて貰った。内容が内容じゃから、棟梁監督を説得する為に
 シーランド銃のデモンストレーションを此処でしたのじゃな?御主の技量と銃
 の性能を見せ付けて、依頼を引き受けさせたかったんじゃろうな!.....だがな!
 儂も部下の命を預かっておる身じゃて、おいそれと死地に部下を赴かせる訳に
 はいかんのじゃ!それも解ってくれんかの......」

「シーランド銃が、もしも、もしも500丁以上あって、更に此方には切り札が
 あるとすれば、建築組合の大工職人・左官職人の方々の派遣を考えて下さい
 ますか?」

「500丁以上じゃと!?この威力の物が、500以上あるのか!それならば魔獣にも
 負けないだろが、相手はグレーウルフやレッドウルフじゃぞ!解っているの
 か?御主は大丈夫でも儂達は、剣などを振るった事もないんじゃぞ!」

「剣を振るう必要はありませんよ。その代わりに身を守る方法をお教えしま
 しょう!シーランド銃の取り扱い説明をね!大工職人と左官職人の仕事は
 建物や外壁を作る事であって、戦闘をする事では無いですが、戦地で確実
 な物何ってありません!それは俺が戦地で経験した事です。ですから、皆
 には最低限、自分の身を守れる物の扱い方を教えます!」

おっと!俺とつい言ってしまった。敬語を使い慣れてないせいか、直ぐにボロ
が出てしまうな!

「なるほどな!御主の言い分も解る、じゃがな、このシーランド本島は100年
 近く、もう戦乱は無く続いてきてるんじゃ。この支部の始まりは、そう100
 年以上前の事になる、シーランド本島に人間、つまり儂等の先祖が遣って来
 た時が最後なのじゃ、儂等の先祖はな、島に居た精霊や妖精の住みかを奪っ
 た事で、戦いが始まったんじゃ!その時に儂等の先祖は、戦闘工兵をしてお
 り、戦闘中にな!橋を作って、本隊を進める様にしたり、塹壕を掘り敵陣に
 向かったりしたと訊いておる。そんな事を今更だが、儂等には出来んぞ!」

「出来ないのならば、俺が鍛えてやる!ぐだぐだ言ってないで、俺の依頼を
 受けやがれてんだ!」

俺が怒った口調で、支部長さんに言うと、支部長さんは吃驚した様子で、俺の
言葉に返事をしたのだった。

「ひゃい!」


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