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第50話 傭兵と話し合い
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奥から出てきたのは、好成より年上であろう人物だった。その者は傭兵団の
団長であり、一流の戦士でもあるようだった。俺は隙なく身構えると、その
男の間合いに、じりじりと滲み寄って行ったのだ。
俺の間合いに入った時が、この男の最後になるはずだった。なのに男は何を
思ったのか、間合いに入って来ないでいる。腰の刀の長さと腕の長さを計算
して、俺の間合いを読んだのであろう。この男は出来る!
「若造よ!お前は此処に殺し合いに来たのか?それとも仕事の依頼で来たのか
どっちなんだ!事と返答次第では、オレも只で帰す訳けには行かないんだぜ」
その男の言葉で我に返り、俺が何で此処に来たのかを思い出す。
「すまないな!そちらさんが殺気を俺に送るもんで、つい昔の癖が出てしまった
此処に来たのは仕事の依頼をしたくて、遣ってきただけだ!殺し合いをしたく
て来た訳ではないんだ。だから、そっちも殺気を収めてはくれないかな」
そう言うと、男達は俺に対して殺気を放つのを止めたのだった。
「それで仕事の依頼に付いて、話を訊かせて貰おうか?」
男はそう言うと、俺からの依頼を真剣な顔をして聴きだしたのだった。
「魔獣に襲われて壊滅した集落と村の奪還、それをオレ達の傭兵団に、
手伝えと言ってるんだな」
その通りだと伝えると、男は「オレ達を雇う期間は、どの位と見積もってる」
そこで隠さずに、俺は2ヶ月~3ヵ月だと伝えたのだ。
「1人1日100ベルクで、お前さんに雇われてやろう!支払いは誰から貰えば良い
んだ?仕事が終わった時に、お前さんが居るとは限らないからな!そうなった時
オレ達は支払いを貰えなくなるからな」
俺は男に、支払をしてくれる人物の事を教えた。
「この仕事は領主さまの依頼なのか?チッ、1人1日30ベルクで引き受ける!
相手が領主さまだから、この金額で引き受けるんだからな!お前みたいな
若造の依頼ならば、100ベルクでしか引き受けない!」
1人30ベルクを90日で計算すると、1人に付き2.700ベルクも掛かるのだが、それが
30人もいるのだから、総額が81.000ベルクも掛かる事になるのだが、全ての支払いは
領主様がして下さるので、俺はその金額で依頼を傭兵団にだしたのだった。
「お前さんの名前は何って言うんだ?オレの名前はなクヌートって言うんだ。
確りとオレの名前を覚えておけよ」
「俺の名は、来好成と言う!シーランド銃組合で、役員をしている親方鍛冶師だ」
「その歳で、親方鍛冶師をしていて、更には戦い慣れまでしてるのかよ!お前さん
いったい何者なんだ?只者では無かろう、オレと1回だけ戦ってみないか?」
クヌート団長は、俺に興味を持ち出した様で、俺と戦いたいとも言ってきたが、
今の俺には戦う理由がなかった。さっき程は、殺気を向けられたから体が勝手に
反応しただけに過ぎない。
「悪いが戦う事は出来ないな、先程は、そっちが殺気を向けたから、俺は守りに
徹しただけに過ぎない」
そう言うとクヌート団長は、残念そうな顔をしながらも、目だけは妖しい光を
俺に向けてきていたのだ。油断をしていると、俺は斬られてしまうかと思う位
団長の鋭い目は、俺を見詰めていたのだった。
ふぅ~やっと安酒場から出ると、俺は安堵の溜め息を漏らしたのだ。
あの場で、負けなくは無いが、勝てもしなかったであろう。そんな
戦いをしても、俺には何にも得は無かった。
だが、向こうが本気で俺を殺しに来ていたら、勝敗は解らずとも、その場で
戦うしかなかった事も事実である。野党に襲われただけならば良かったが、
あのクヌートと言う男が出てきてから、俺の勝敗は解らなくなったのだった。
この世界にも、あの様な危険な男が居るのだなと、改めて思い知らされたのだ。
安酒場を出る時に、クヌート団長には、シーランド銃を見せており、銃の取り
扱いを覚えたかったら、鍛冶屋の黒猫屋に来て欲しいと伝えたのだ。団長は俺
に対して、「考えておく」とだけ言っていた。来ても来なくても、クヌート達
ならば、魔獣に対して遅れを取る事は無いだろうが、無傷とは言えないだろう。
彼が真面目に、シーランド銃を覚えてくれれば、団員の被害も少なく済むのだ。
そんな事を言っても、彼が覚える気が無ければ、何をしても一緒であろう!
そんな事を考えながら歩いて居ると、次の目的地に辿り着いていたのだ。
建築組合が次の目的地だった。此処で大工と左官を雇い入れる事が出来れば、
人材確保も、あと一息となるのだが、職人と言う生き物は、一筋縄では行か
ないのだ。俺も職人の端くれだ。職は違うが仕事に対しての拘りは、誰より
もある。此処の職人達もそうであろう。職人は職人を認める時は、その職人
の仕事を見て決めるのだ。俺は若いが、シーランド銃を作り上げた事で、
此処の職人達に舐められない様にしないと行けない!職人は舐められたら
お終いなのだから!
職人で舐められたら、言う事を訊かなくなるのは、火を見るより明らかだった。
俺やアントンの言う事も訊かないで、好き勝手に仕事をしだすだろうな!
そうならない為にも、此処で職人達に実力を示して置かないと行けないな。
団長であり、一流の戦士でもあるようだった。俺は隙なく身構えると、その
男の間合いに、じりじりと滲み寄って行ったのだ。
俺の間合いに入った時が、この男の最後になるはずだった。なのに男は何を
思ったのか、間合いに入って来ないでいる。腰の刀の長さと腕の長さを計算
して、俺の間合いを読んだのであろう。この男は出来る!
「若造よ!お前は此処に殺し合いに来たのか?それとも仕事の依頼で来たのか
どっちなんだ!事と返答次第では、オレも只で帰す訳けには行かないんだぜ」
その男の言葉で我に返り、俺が何で此処に来たのかを思い出す。
「すまないな!そちらさんが殺気を俺に送るもんで、つい昔の癖が出てしまった
此処に来たのは仕事の依頼をしたくて、遣ってきただけだ!殺し合いをしたく
て来た訳ではないんだ。だから、そっちも殺気を収めてはくれないかな」
そう言うと、男達は俺に対して殺気を放つのを止めたのだった。
「それで仕事の依頼に付いて、話を訊かせて貰おうか?」
男はそう言うと、俺からの依頼を真剣な顔をして聴きだしたのだった。
「魔獣に襲われて壊滅した集落と村の奪還、それをオレ達の傭兵団に、
手伝えと言ってるんだな」
その通りだと伝えると、男は「オレ達を雇う期間は、どの位と見積もってる」
そこで隠さずに、俺は2ヶ月~3ヵ月だと伝えたのだ。
「1人1日100ベルクで、お前さんに雇われてやろう!支払いは誰から貰えば良い
んだ?仕事が終わった時に、お前さんが居るとは限らないからな!そうなった時
オレ達は支払いを貰えなくなるからな」
俺は男に、支払をしてくれる人物の事を教えた。
「この仕事は領主さまの依頼なのか?チッ、1人1日30ベルクで引き受ける!
相手が領主さまだから、この金額で引き受けるんだからな!お前みたいな
若造の依頼ならば、100ベルクでしか引き受けない!」
1人30ベルクを90日で計算すると、1人に付き2.700ベルクも掛かるのだが、それが
30人もいるのだから、総額が81.000ベルクも掛かる事になるのだが、全ての支払いは
領主様がして下さるので、俺はその金額で依頼を傭兵団にだしたのだった。
「お前さんの名前は何って言うんだ?オレの名前はなクヌートって言うんだ。
確りとオレの名前を覚えておけよ」
「俺の名は、来好成と言う!シーランド銃組合で、役員をしている親方鍛冶師だ」
「その歳で、親方鍛冶師をしていて、更には戦い慣れまでしてるのかよ!お前さん
いったい何者なんだ?只者では無かろう、オレと1回だけ戦ってみないか?」
クヌート団長は、俺に興味を持ち出した様で、俺と戦いたいとも言ってきたが、
今の俺には戦う理由がなかった。さっき程は、殺気を向けられたから体が勝手に
反応しただけに過ぎない。
「悪いが戦う事は出来ないな、先程は、そっちが殺気を向けたから、俺は守りに
徹しただけに過ぎない」
そう言うとクヌート団長は、残念そうな顔をしながらも、目だけは妖しい光を
俺に向けてきていたのだ。油断をしていると、俺は斬られてしまうかと思う位
団長の鋭い目は、俺を見詰めていたのだった。
ふぅ~やっと安酒場から出ると、俺は安堵の溜め息を漏らしたのだ。
あの場で、負けなくは無いが、勝てもしなかったであろう。そんな
戦いをしても、俺には何にも得は無かった。
だが、向こうが本気で俺を殺しに来ていたら、勝敗は解らずとも、その場で
戦うしかなかった事も事実である。野党に襲われただけならば良かったが、
あのクヌートと言う男が出てきてから、俺の勝敗は解らなくなったのだった。
この世界にも、あの様な危険な男が居るのだなと、改めて思い知らされたのだ。
安酒場を出る時に、クヌート団長には、シーランド銃を見せており、銃の取り
扱いを覚えたかったら、鍛冶屋の黒猫屋に来て欲しいと伝えたのだ。団長は俺
に対して、「考えておく」とだけ言っていた。来ても来なくても、クヌート達
ならば、魔獣に対して遅れを取る事は無いだろうが、無傷とは言えないだろう。
彼が真面目に、シーランド銃を覚えてくれれば、団員の被害も少なく済むのだ。
そんな事を言っても、彼が覚える気が無ければ、何をしても一緒であろう!
そんな事を考えながら歩いて居ると、次の目的地に辿り着いていたのだ。
建築組合が次の目的地だった。此処で大工と左官を雇い入れる事が出来れば、
人材確保も、あと一息となるのだが、職人と言う生き物は、一筋縄では行か
ないのだ。俺も職人の端くれだ。職は違うが仕事に対しての拘りは、誰より
もある。此処の職人達もそうであろう。職人は職人を認める時は、その職人
の仕事を見て決めるのだ。俺は若いが、シーランド銃を作り上げた事で、
此処の職人達に舐められない様にしないと行けない!職人は舐められたら
お終いなのだから!
職人で舐められたら、言う事を訊かなくなるのは、火を見るより明らかだった。
俺やアントンの言う事も訊かないで、好き勝手に仕事をしだすだろうな!
そうならない為にも、此処で職人達に実力を示して置かないと行けないな。
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