戦国の鍛冶師

第47話 特殊組合と組合費

 
エルランドさんからの提案で、シーランド銃組合をユニオン特殊組合に加入
する様に言われたのだった。特殊組合と言うのは、俺は知らなかったがオレ
ークさんに話を訊く事が出来た。何でも特殊組合と言うのは、ユニオンが認
めた組合だけで、莫大な利益を上げれる組合だけにしか許されていない組合
だそうだ。

ユニオン特殊組合に参加している組合で、有名な組合と言えば、大砲組合や
魔道具組合などが挙げられる。どちらも莫大な収益を上げている組合で、
普通の組合の年収を軽く上回る年収で、ユニオンに年収組合費だけでも桁違
いな額を払っていると言われている組合だそうだ。

高額な組合費を払う恩恵は、普通の組合と全然違い、至れり尽くせりの使用
になっており、解っているだけでも、ユニオンの名の下に特殊組合が生産し
た物を管理し、輸送から販売先までを一手に取り仕切ってくれるそうだ。

そして売り上げから、年収分の組合費は引かれており、手元に来る銭は全て
組合の物になるそうだ。そして、組合以外の販売の禁止と監視をしており違反
した者達は、ユニオンの名の下に粛清される。それか国に身柄が引き渡される
かのどちらかである。

「加入して頂きましょうと言いましたが、まずは審査を受けて貰いますので
　まずは組合を立ち上げる事を先にしてしまいましょう！組合が出来たら私が
　ユニオン本部に特殊組合に申請しますので、本部の許可が出たら晴れて貴方
　達も特殊組合員になれます！」

エルランドさんの説明で、特殊組合になるまでの流れは解った。まずは組合を
設立する事が先決と言っている。用紙には全て書き終えており、残るはユニオ
ン側で受理してくれるだけだと伝えると、エルランドさんは、直ぐに用紙を貰
い受付に飛ぶ様に駆けていったのだった。

設立はエルランドさんが直接やってくれたので、直ぐに終わり年収分の組合費
も払い終えていた。10.000ベルクが普通の組合費になる。特殊組合費となると
売れた分だけが、年収分の組合費として計上されるのだ。

それと特殊組合に昇格されると、ユニオンでの立場も上がり、多少の我が侭も
訊いてくれると言う事らしい。多少の我が侭を訊いてくれるのならば、特殊組合
になってから、ケット・シー族の集落の一時奪還を目指しても、遅くわないと
オレークさんが言い出した。

申請が許可されるまでには、早くても３ヵ月以上は掛かるそうで、その３ヵ月
と言う数字には、此方の準備と同じ位の日数だったのだ。

集落を一時だけだが、奪還する為には色々な方面に、根回しをする事になるのだ
が、町関係の根回しはオレークさんに任せており、俺が担当する問題はと言うと
廃墟となったベールプコヴァールト村に、足掛かりとなる拠点の設営と防衛の為
の施設を建築等が挙げられる。

アントンは村を再興するかは不明だが、ベールプコヴァールト村に拠点を作り
壊れた石垣などを修理しないとわるい。流石に準備もしないで、奪還とか言っ
ても失敗するのが目に見えていた。石垣と倉庫を修理し、そこに運んだ鉄鉱石
と犠牲者の亡骸を運ぶのだ。遺品も運べたら持ち帰る予定にしている！

それと同時進行で、温泉地にケット・シー族が住める居住区を作る事も進める。
ベールプコヴァールト村と温泉地にそれぞれの拠点を作り、もしも何かあった
場合に備える意味合いもある。温泉地は３ヵ月で作れる建物など精々知れている
だから、外壁を確り作り、そして此の町にも整備されている下水道なる物を作る
とアンジェとダーンが言っている。その2つを作るだけで、３ヵ月が過ぎて行き
建物は小屋程度の物が、1軒から3軒程が建てれれば、御の字を考えているのだ。

そして、奪還作戦までに、鍛冶屋・黒猫屋でシーランド銃を大量生産する予定だ
来式・オレーク式・グローブ式を大量生産する！魔獣が数で攻めてくるのは解っ
ているのだから、此方も銃の数で勝負するのだ。それも長距離からの一方的な
殲滅を主眼にした戦い方で戦う！

村を奪還する時は、オレーク式とグローブ式の活躍が目立つが、防衛戦になれば
来式だけの活躍の場になってしまうだろう！後は作業が終わるまで、一方的な戦
いである。１人の犠牲者も出さずに終わりたいが、そうは問屋が卸さないだろう
出来るだけ犠牲者は少なく抑えたい！これ以上の悲しみを生まない為に、俺達は
出来るだけの事をして、戦いに挑むだけだ。

一度に運べる量を増やす為に、荷車を長くするなどの工夫も重要になるだろう！
ニーロと家族には輸送で頑張って貰い、アンジェとダーンに輸送部隊の護衛を
して貰う。グローブ式は長距離射撃には向いていないから、防衛戦では威力を
発揮する事は出来ないからだ。

でもグローブ式は中距離ならば、弾が敵に届くしオレーク式に負けず劣らず威力
もあるのだ。護衛役には適した武器とも言える。ニーロにはアンジェを乗せて貰
い自由自在に、荷車の間を駆けて護衛をして貰う。護衛部隊の隊長のアンジェに
は自由自在に動いて貰わないと、ニーロの家族に負担が掛かるからだ。

俺の頭の中では、着々と奪還作戦に向けて、戦略が練られていたのだった。
此の事は、一度みなに相談してから決めないとわるいが、提案する物がないと
決める事は出来ないのだ。本人達の意見も訊いた上で、最終判断をして行こう！