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第42話 ダーンと望遠鏡
しおりを挟む町に帰ると直ぐに、俺達は来式の改良に取り掛かっていたのだ。
狩ってきた獲物は、ダーンとアンジェに任せており、また高額な
金額にしてダーンは、笑顔で戻って来るであろう。アンジェは、
帰りに買い食いでもして、売り上げを浪費するのだろうな.......
買ってきた獲物は、シーランド・イーグルが6羽・シーランド・
ラビットが4匹・シーランド・ジャッカルが2頭だった。どれも
そこそこな値段になるとダーンは話していた。帰ってきたらの
楽しみだ。
俺は静の意見を参考にして、苦無を使った銃剣を考えてみたのだが
どうにも上手くいかずに、難航していたのだ。何故かと言うとだな
銃剣を付けた来式は、命中精度が下がっており、銃剣を外すと普通
に命中しているのだ。つまりは、銃剣のせいで銃身が重くなり、そ
の為に的に命中しなくなったと考えられる。
これを改善するには、どうすれば良いかを皆で考えたのだが、どうに
も上手く行ってなかったのだ。苦無を付けただけでも、これだけの事
になっているのに、オレーク式みたいに鉄串を付けたら、当てる事な
ど出来るはずがなかった。
「好成様、オレークさんの真似をするのでは無く、来式の長所を伸ば
してみませんか?来式の長所は、オレーク式より軽くて、命中率が
良い事ですよね!それをもっと追求して、伸ばしてみませんか?」
芳乃から新たな提案が出されたのだ。
俺に静に秋は、芳乃の意見を訊き納得していたのだ。
オレークさんの真似をして、命中精度を下げてしまっていたからだ。
銃剣を付けてない来式は、オレーク式より軽かった。それを強みにし
更には、命中精度を上げる事に取り組む事で、オレーク式に差を付け
てから、将来の売り上げに繋げようと言う事だな!
この意見に反対する者はおらず、命中精度を上げるには、どうすれば良い
のかを考え始めたのだ。まずは銃身を鋳造で長くした物を作ってみたのだ。
「銃身を長くしても、射程は延びましたが、命中率は上がってませんね」
秋からの報告で、俺は肩を落としたのだが、芳乃に肩を叩かれてしまった。
芳乃を見ると、「ダーンさんが使ってる物で、使えそうなのがありましたよ」
と教えてくれたのだ。
ダーンを探して宿に戻ると、ダーンとアンジェは宿のベッドで、お金に頭を
突っ込み寝ていたのだ。部屋の中は酒臭かった......売り上げが高額になった
から、4人だけで酒盛りを開いていたのだろうな!侍女の2人はベッドで寝て
いたのだが、侍女の手には酒瓶が、確りと握られていたのだ。
芳乃がダーンの襟首を持ち、掴みあげると激しく、ダーンを前後に振り回した
ダーンが、呻く声が部屋中に響き、アンジェ達も目が覚めたのだった。
「やめてぇ~世界が回るよ!ボクはボクは、アンジェ様に何もしてない」
いや.....別にダーンとアンジェに何かあろうが、俺達には関係ないから!
「ダーンさん、船で遠くを見る物を持ってましたよね?貸してくれませんか?」
芳乃はダーンを前後に振り回しながら、物を貸して欲しいと頼んでいた。
「うわぁ~回さないで!遠くを見る物?ボクの望遠鏡の事かな?」
「そうです!その望遠鏡を貸して下さい!何処にあるのですか?」
「だから、その前に振り回すの止めてぇ~」
俺は芳乃に、ダーンを振り回すのを止めさせて、望遠鏡の場所を訊き出したのだ。
ダーンのリュックの中に入ってるとの事だったので、秋に直ぐにリュックの中を
漁らせると、直ぐに望遠鏡を見つける事が出来たのだった。
ダーンは芳乃から開放されると、直ぐに廊下にある厠に向かっていたのだ。
アンジェが俺に、何があったのかを訊くと、静が直ぐに俺に代わり、アンジェに
説明をしていた。アンジェは静の話を理解したらしく、何やら楽しそうな顔をして
手伝わせて欲しいと行って来たのだった。
ダーンが厠から戻ってきたのを見計らって、俺はダーンに望遠鏡の事を訊き出した
のだった。ダーンに望遠鏡の何を訊いたのかと言うと、今ある望遠鏡より、一回り
小さな望遠鏡はないのかと言うものだったのだ。船で使う望遠鏡は、大きくて長く
遠くの物を見るのに適した物だったが、来式に付けるのは大きく、一回り小さめの
物でないと、来式に取り付ける事は出来なかったのだ。
「道具雑貨店・匠に行けば、小さめの望遠鏡があるかも知れませんよ」
ダーンは、匠で小さめの望遠鏡を探せと言っているが、無かった場合はどうすれば
良いかを訊くと、匠の店主に特注品で作って貰えば良いのではと、ダーンに言われ
たのだった。ニーロの鞍も、匠の店主に特注品で作って貰っていたから、今回の物
も特注品で、買えるとダーンは言っているのだ。
俺達は、匠に行く前に、ダーンに狩りでの売り上げを貰う事にしたのだ。
「4000ベルクになったので、これが好成さんの取り分の2000ベルクです」
俺達はダーンから、分け前を貰うと道具雑貨店・匠に向かったのだった。
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