戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

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第31話 狩りと労働者組合

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港を出て半日が過ぎ、やっと目的地が見えてきたのだ!
本島に近い小島に、その狩場はあった。

島の周りは、砂浜に覆われて、島の中心に行くに連れて、森が鬱蒼
としているのが、沖合いの船の上からでも解る。

この島の魔物と魔獣は、大陸の魔物や魔獣に比べたら、比較的に大人
しい物が多いとダーンは言っている。魔獣や魔物の近くに行かなければ
別に害はないそうだ。

だが、島の魔物や魔獣をそのまま放置していると、魔物や魔獣で島が
溢れ返るそうなので、定期的に島に上陸して、魔物や魔獣を退治しな
ければならないそうだ。

ダーンは労働者組合・ユニオンと言う組合に属しているとか、その組合
で仕事を請け、仕事先に出向き、仕事を終らせてユニオンに報告して
報酬を貰う。それだけの仕事なのに、成功報酬が高額で、魔物や魔獣
の素材なども、買取してくれる。

労働者組合・ユニオンとは、全ての組合が所属していて、そこの組合で
必要な人材をユニオン本部が人材を斡旋して、仕事をこなしている組織
なのだ。この組織に属して居ない者は、素材とかを買い叩かれる。

毛皮職人組合で、ダーンが組合に見せた木札が、ユニオンに属している
証だったのだな!?今思い出したが、ダーンには知らぬ間に助けられて
いた事に、今更ながら気が付いた。

「魔物か魔獣を全部で、10匹狩れば依頼が達成になります」

ダーンから、仕事の内容を訊かされた俺達は、島に付いたら全部で10匹
の魔物か魔獣を狩らなければならない。10匹と軽く言うが、どんな化け物
が居るかも解らないのだ。

そろそろ島の浜辺が近づいてきた。

島に上陸して、直ぐに5歳児位の大きさのヤドカリらしい魔物と、戦闘状態
に入っていたのだ。浜辺ヤドカリと言う魔物で、砂浜に隠れて獲物が来たら
襲い掛かる種類だそうだ。

既に上陸しているから、船に備え付けている魔力大砲は使えずに、魔力鉄砲
銃で、戦闘を行なっている状態だ。魔力鉄砲を2間約36mの距離から撃っ
ても、砂浜ヤドカリの甲羅で弾かれて、砂浜ヤドカリの甲羅を貫通する事は
出来なかったのだ。

そこで、1間《1.818m》の距離まで積めて鉄砲を放ったのだが、これでも貫通
する事は適わなかった。さらに距離を積めて、3尺の距離で鉄砲を放つと、奴の
甲羅が割れて砕け散ったのだった。甲羅のある敵だと、殆ど近接戦闘状態になる
刀で戦うのと変わらない距離なのだ。

鉄砲の強みは、遠距離から一方的に敵に、弾丸を放ち面制圧する事にあるのだが
その強みが、どれ1つとして生かされてなかったのだ。鉄砲の数は足りないし、
鉄砲の威力も足りなかったのだ。

浜辺ヤドカリを剣や刀で、斬りつけても意味は無く、逆に浜辺ヤドカリから出さ
される、物を溶かす唾液に晒されてしまう。唾液の飛ばす距離は、1尺5寸約50cm
だそうだ。

もっと強力な魔力球が開発されたら、魔力鉄砲銃の威力も高くなるのだが、今は
まだ無理である。大陸にある魔法王国と言う国で、開発は進められているが、
上手く行かないで難航してると言うのは、皆の知る所であるみたいだ。

この話になると、オレークさんも話に加わり、最新式の魔力大砲に使われている
魔力球5型の事で、話が弾んでいた。俺達には難しい話なので、野営をする場所を
探しながら、薪拾いもしていたのだ。

でも、あの魔力球に5型とか言う名前があった事に、正直言うと驚きを隠せないで
いたのだ。あの球に名前があったのだな?ダーンの言う所のビックリした。と言う
言葉を使うのが正しいのだろうな?

この岩場が野営をするのに、適した場所に思えたのだ。

後ろは海で、前は砂浜だ。船もダーンが操船して岩場の沖合いまで、運んできて
いた。女子衆はと言うと、ターニャに教えられながら、芳乃・静。秋が料理の為
に調理器具なる物を船から下ろしている。俺も荷物を下ろすのを手伝わねばなら
ぬな!

日も傾き掛けているから、そろそろ火を起して扱かねば、料理もできない!
薪も十分ではなかったので、ダーンと2人で近くの森の付近まで、薪拾いに
出向いたのだ。

「好成さん、こっちの丸太とかは、薪として使えませんか?」

ダーンが叫ぶので、ダーンの方を見ると、大人の胴の太さ程の大木を見つけて
いたのだ。使えなくは無いが、持って行くの大変だと思うのだが.....仕方ないな
運ぶとするかな.....俺は渋々、ダーンが見つけた大人の背丈程の丸太を浜に運ぶ
事にした。

直ぐに野営地に付いたが、重かった.....俺は汗が滝の様に流れているのに、ダーン
は涼しげな顔をしていたのだ。やっぱり猫だからかな?汗を搔いてなかったのだ。
ケット・シー族は、力持ちなのかもしれないな?

丸太は、真ん中の部分が空洞になっていたので、浜辺に丸太を置き、船の大砲で
丸太目掛けて、大砲を1発だけ打ち込むと、程よい位の寸法の大きさになった薪
が辺りに散乱していた。大砲も物も使いようだな!

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