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第22話 調味料と朝市
しおりを挟む造船所の親父の宿屋・ガレオンで、朝飯を食べている。
パンと野菜のスープにハムのサラダと言う、此方の
世界の料理である。此方の料理も慣れると中々に美味しく
パンと言う主食が、癖になる味なのだ。
米が食べられないのは残念だが、無い物強請りを
しても仕方の無い事なので、俺達はある物で我慢している。
醤油も味噌も米もお茶も何にもかも無い!
醤油の替わりに、魚醤《ぎょしょう》と呼ばれる調味料が、
此方の世界にはある、讃岐の「いかなご醤油」の味に近くて、
俺は魚醤を凄く気に入っているが、静と秋は、生臭い魚醤
が苦手のようだ。山育ちの静と秋には、生臭い魚醤は合わ
くても当然かもしれないな。
魚醤はウスターソースにガルムと2種類もあるのだ。
ウスターソースとは・モルトビネガー「麦芽酢」や食酢に
塩、砂糖、アンチョビの魚醤と野菜、
スパイス等を合せた万能調味料だそうだ。
ガルムとは・魚の頭と内臓とアンチョビを塩漬けにして、
干し、それを絞って、液を集めたものだそうだ。
此方の世界で、魚醤と言うとガルムの事をさす!
ウスターソースは、初めての味だが、ガルムは「いかなご醤油」に
味が似ているので、俺的にはガルムを好んで使っている。
ハムのサラダにいかなご醤油が、良く合っている。芳乃もサラダには
いかなご醤油を使っているな!静と秋はサラダには、塩を振りかけて
食べている!いかなご醤油を使えば好いのにな.....
朝飯も皆が食べ終わったので、俺・芳乃・静・秋・アンジェ・ダーン・
アントン・ランメルトの8人は、朝市へと出かけたのだった。
俺達の目的の物は、鍛冶道具に大工道具と小物類だった。
アンジェから昨夜の夕飯の時に、紡績と織物の話を訊いたのだが、
何でも此方の世界では、紡績と織物は魔力で作るから、魔法が扱えない
人間では、紡績も織物も作れないと訊かされたのだ。
芳乃・静・秋はその話を訊いた時は、残念そうな顔で俺の方を見ていた。
俺を見られても......困るのだがな!
紡績と織物はアンジェ達が買うとの事なので、アンジェに任せる事にしたのだ。
魔法も使えない俺達が、出来る事は限られているが、出来る事は山ほどある!
出来る事をすれば好いと、芳乃・静・秋に言い聞かせていた。
そうすると芳乃が、調理道具が欲しいと言うと、静と秋も小刀等が欲しいと
俺に言って来たのだ。小物作りをするのなら小刀がいるよな!秋は小物が欲しい
そうだが、どんな小物なのだろうか?朝市で好い物をが見付かる事を祈るしか
出来ないな!
......................................................
{朝市が開かれてる広場にて}
朝だって言うのに、人が多いな!大いに賑わっている朝市である。
掘り出し物などを探すのが、今から楽しみだな。
広場に来ると、アンジェ・ダーン・アントン・ランメルトは各自で
必要な物があるとかで、自由行動をして買い物に出かけて行った。
残ったのは、俺と芳乃に静に秋の4人だけだった。
俺達も必要な物を探し集めるぞ!そう3人に言うと、3人も目当ての物を
探して駆け出している。こんなに人が多い場所で走るのは、危ないから
止めて欲しいのだがな.....俺は芳乃の後に付いて歩いて行った。
「此れとか何に使うのかな?挟む物かな?」
「お譲ちゃん それはねパスタを掴む為のものだよ」
「おばさん!パスタって何ですか?」
「あら!パスタを知らないの?麺にソースを絡めて食べる料理の事だよ」
「此方では、パスタを良く食べるのですか?」
「家なんか、毎日でもパスタで好いくらいさね~」
「へ~パスタって毎日食べる料理なんですね」
芳乃.....理解が追いついて無いからと言って適当に返事するのは止めなさい!
おばさんも困った顔をしてるでしょ!
「まな板に包丁だ!好成様これどうですかね?」
「この包丁か?んっ......作りが雑だが、包丁がないと料理が出来ないしな....」
「んっ....親父さん此れは、お幾らなのかな?」
「その手に持ってる包丁ならば、20ベルクだよ」
「違う違う!この隅にある黒光りした包丁だよ」
「あっこれね!此れならば25ベルクって所かな?」
「よし買った!はい25ベルク」
俺は黒光りした包丁に、一目ぼれして勢いで買ってしまった!
この黒光りした包丁は、見た目もそうだが、中々の業物である。
作りこまれた鉄の刃に、太陽の下で見ると惚れ惚れするな!
「親父さんに、訊きたい事があるんだけど好いかな?」
「何だいお兄さん?何を俺に訊きたいんだい?」
「この包丁を作った人って、この町に居るの?」
「この包丁を作ったのは、この町で鍛冶屋をしてる黒猫屋ってお店だよ」
「鍛冶屋の黒猫屋だね?ありがとう親父さん!」
暇になったら鍛冶屋の黒猫屋を訪ねてみよう!
こんな立派な、包丁を作れる鍛冶師に御目に掛かりたいものだ。
......................................................
~豆知識~
魚醤とは、東南アジアで盛んに使われてる調味料の事です。
日本でも魚醤はあり。「いかなご」「しょっつる」「いしる」
とともに日本三大魚醤と呼ばれたそうです。
魚醤はヨーロッパでも作られており、ヨーロッパでの呼び名は
英国ではウスターソースが有名で、イタリアではガルムが有名
みたいです。
......................................................
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