戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

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第17話 ダーンと買い物

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毛皮職人組合に、毛皮を換金する為に遣ってきている。
毛皮を換金する為には、順番を守って待たなければならないのだ。
ダーンと俺は、長椅子に座りながら順番を待っていると、
女子衆は、暇だったのだろう、楽しげに雑談をしながら待っていた。

「静ちゃん、秋ちゃん、この後は何処に行きたい?」

「静はね、小物作りをしたいからね、道具を見に行きたいかな?」

「芳乃ちゃんと静姉と一緒に、紡績道具を見に行きたいです。」

等と、この後の行く場所を決めているのだ。
でもこの後に行く場所は、造船所だからね!船を買わないと買い物を
しても乗せて帰れないのだからね!ヤーコブの船に乗せて帰るとか
言うと、ヤーコブが嫌な顔するに決まってる。だから、船を見に行く
から、3人共そのつもりでいてね。

俺が3人に、この後は造船所に、中古船を見に行くと言うと
女子衆は、解ってますって顔をしている。

おっと!毛皮職人組合での順番が遣って来た。

俺達の相手をする組合の係員は、まだ若い男性だった。
歳は20~25才くらいだろうか?幼くも無く老けても無くて、
体付きは、痩せても無く太っても無く、何処にでもいる青年
と言った感じである。身長は椅子に座っているので、解らないな。

「いらっしゃいませ。今日はどの様な物をお持ち下さったのですか?」

対応も丁寧で、声は凄く透き通っていて聞き取りやすい。
顔も悪くは無いから、女性に持てるだろうな。
だが.......芳乃に色目を使うなよ!

芳乃に色目を使ったら、この場で叩っ斬るからな!

俺の心配を余所に、係りの人は、淡々と仕事をこなしてくれている。
俺達が持ち込んだ毛皮は、残り23枚もあったので、換金するのに大分
時間が掛かってしまっている。量が量だから仕方ないな。
係りの男性は、奥の方で他の職員と話をしているなとダーンが、
俺に言ってきたのだ。普通ならば、直ぐに換金が終るそうなのだが、
23枚もの毛皮を持ち込んでいたから、時間が掛かっているのだろうと
ダーンが説明してくれた。

そして受付の人が、俺達の前まで戻ってきたのだが、受付の人の他に
もう2人程増えていたのだ。その1人の手には、麻袋の様な袋が両手
で持っていた。見た感じ重そうだな.....あの袋を持って帰ると思ったら
大変だろうが、この後は近くの造船所まで運べば好いだけだ。

あの位の袋など、俺とダーンだけで運んで見せるぞ!

「毛皮23枚の売り値が。全部で9200ベルクになります」
「1枚の価格は、400ベルクで買い取りさせてもらいました」

そう係りの人が説明してくれた。
俺はダーンに、大丈夫かと聞くとダーンが「問題ないよ!高く売れたね」
と言ってくれたのだ。これで毛皮の換金が終ったのだった。
そうなると、手持ちの金額が全部で、16.100ベルクになったのだ。
これだけあれば、中古船だって2隻くらい買っても、まだ余分にお金が
残るとダーンは話している。アンジェも喜ぶであろう!

ダーンやアンジェも欲しい物があるだろうから、明日あたりに買い物に
一緒に行こうと思う、手持ちの袋の中には、銀貨と銅貨で満たされている
のだから、何だって買えるのだ。少々高くても買って帰ろう。

意外に銀貨と銅貨は重い、少ない量なのだが実際は重いのだ!
日ノ本の銭より、こちらの世界の銭の方が重たく感じるな。
銭が重たいのは、好い事なのだろうが、持つ方としては重たい。
だが我慢である。兎に角買い物をすれば減るのだから、それまでは
我慢すれば良いのだ。

毛皮職人組合の建物から出ると、俺達はその足で造船所を目指した。
毛皮職人組合の近くだったので、そこまで遠くなかった。
建物を出ると、もう造船所が見えている位の距離しか歩く距離がない。

いよいよ俺が期待している、船の購入である。心が高鳴っているのが
凄くわかる。ヤーコブの村の船に乗ってみたが、大きくて乗り心地は
非常に良かったから、俺的には非常に気に入っているのだ。

ダーンが造船所の人と話を始めると、奥にある建物に通されたのだ。
そこは中古船が置かれている建物のようで、大きな建物の中には、
色々な大きさの船が、ずらりと並んでいるのだった。

なんだ......これは夢なのか?こんなに船が並んでいる何って信じられない。
俺がそう呟くと、ダーンと造船所の人は、笑いながら話をしてくれた。

「お客さんは船を買うのは、初めてなのですね?」

「そうなんですよ!だから安くして下さいね」

ダーンが上手く、造船所の人と話をしているな、今後の事も考えての
話し合いなのだろう、此処で中古船を買うから安くしてくれと、造船所
の人と話をしている、修理なども此処の造船所に頼むと言って、造船所の
人に安く売ってくれと頼んでいるな。

ダーンも中々の商売人だと、俺は思った。


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