戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

文字の大きさ
上 下
13 / 122

第12話 アンジェと魔力船

しおりを挟む

船旅の用意もできたとの事なので、出発を始めるそうだ!
俺達は船に乗り遅れないように、急いで荷物を担ぎながら
船に乗り込んでいた。

座った場所の隣には、アンジェが座っていたので、アンジェ
が剣術や武術ができるか聞いてみよう。

まずはアンジェの手を見せて貰う事にした。

アンジェの手は、猫の手を大きくした感じではあるが、指が
多少は長いきがする。これならば剣や苦無なども持てるかも
しれないな!

試しに俺の刀を持たせてみる事にしたのだ。そうするとアンジェ
の手から刀が、ポロリと抜け落ちてしまった。苦無も同じ結果で
あったのだ!

小太刀を持たせても一緒な気がする.....
やはり肉球が邪魔なのであろう?

そうなると鉄砲も.....やはり無理であろうな?そう思ったのだが、
刀で鉄砲を撃つ姿を見せて、アンジェに真似させてみたら......
何と鉄砲を撃つ真似は、器用に出来ているのだ!

此れには流石に驚いた!

長く握る力がないのか、それとも格好が問題なのか?
剣術などはケット・シー族には向いてなさそうであった。

これは1回鉄砲を持たせて見るのも、わるくなさそうである!
温泉地に戻れば、鉄砲はあるのだから、それをアンジェ達が持てる
様に造りなおすのも、良いかもしれないな。

そんな事を考えていたら、ヤーコプが船の船尾にある球体に触り
何かをしている様だ?ヤーコブに何をしているのかと聞くと、魔力を
補充していると答えたのだ!

魔力を補充?

俺や芳乃の他に静も秋も、魔力と言われても何の事なのかが、さっぱり
解らなかったのだ。その魔力を使って何をするのかと聞くと、ヤーコブは
不思議そうな顔をしながら、魔力を知らないのかと訊ねられた。

俺達は違う国から、最近この国に遣って来た旅人だと答えたら、ヤーコブは
他国でも魔法はあるはずだと言うのだ。この世界には魔法と言う力があるのだと
その時に知ったのだった。

ヤーコブは、その魔力を使い船を動かすのだと、俺に説明してくれた。

櫂で川の真ん中まで出たら、後は魔力を込めた球体を使い、船を前に進ませる
と言う事だった。口で言われても理解出来ないので、動く所を見せてくれると
言うので、見ることにしたのだった。

そうすると、船尾からは泡が出たと思うと、船が前に進んでいるのだ!
此れには正直言うと、驚いたどころではない。
腰が抜けるくらいの驚きがあった!

この世界は不思議な事が、当たり前に存在しているのだ。

帆も張れる様にしてはあるが、帆は畳んで直しているようだ。帆柱に帆が
付けられていなかったからだ。何でも帆は外洋に行かなければ付けないと
ヤーコブは言っている。

川では、魔力と帆で進むと船の速度が速すぎて、邪魔にしかならないと
ヤーコブは言っている。魔力と風の力で進むだけなのに、早すぎて邪魔に
なるのだな?

帆にも魔力があるから、早く進めると説明された。

魔力の球体の名前や、帆の名前をヤーコブは教えてくれたのだ!
球体の事は魔法動力と呼ぶ、帆の事は魔帆と呼ぶらしい。

この2つがある物が、こちらの世界での船である!

船の大きさに寄って、魔法動力や魔帆の大きさも変わってくるとか
その大きさに寄り、船の値段も大きく変わってくるとヤーコブは
俺達に教えてくれた。

この船は中型船なので、10000ベルクもするそうなのだが、小型船の
新造船ならば、5000ベルク前後で買えると話している。安い中古の
小型船ならば、2000~3000ベルクの間で、中古船が販売されている。

それならば、中古の小型船を買えば直ぐに使えるし、帰りは自分達で
乗って帰る事もできるのだ。だが問題がある!

俺達には魔法が使えないのだ。

アンジェに頼んで、魔力と操船をしてもらう他はなかったのだ.....
ケット・シー族と一緒に、温泉地に住むのだからアンジェに頼んでも
罰は当たらないだろう?その位は協力してくれるはずだ?

船の代金と家を建てる資材の、代金などは俺達が稼いだ毛皮などで
賄うのだから、魔力と船の操船などはアンジェ達に頼もう!

餅は餅屋に任せるのが一番である!

不慣れな事は、何処まで行っても不慣れのままだ。
だが....ゆくゆくは船の操船も覚えたい!

外洋に出る事はないだろうから、村と村との移動の為にも
船の操船術は、生活するにあたり必要になってくるだろう!

船さえあれば、町に毛皮を何時でも売りに来れるし、
必要な品物も買いに来れるのだ!

操船術を覚えるのに、1年か2年かは解らないが、焦らずに覚える
事にしよう。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。

ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの? ……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。 彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ? 婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。 お幸せに、婚約者様。 私も私で、幸せになりますので。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~

緑谷めい
恋愛
 ドーラは金で買われたも同然の妻だった――  レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。 ※ 全10話完結予定

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

処理中です...