戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

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第8話 廃村

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静と秋の着物が、ある程度は乾いたので、先に進む事にしたのだ。
流石にビショビショな着物で、旅をすると風邪を引いてしまう!

家も無い状態で、流石にそれは命に係わる事なので、気を使う
そんな心配を知ってか知らないのか、2人は珍しい物を見つけては
はしゃいでいた。

川を下流に進んでいるだけなのだが、人里は一向に見えてこなかった
のだ、少し焦っているのか芳乃の歩きが、少しだけ早い気がした。

俺は芳乃に、歩きを少しだけ遅くする様に、言ったのだった。
そんなに早く歩いても、集落が見つかる訳がないのだから、
少しだけ落ち着こうと宥めたのだ!

芳乃も、流行る気持ちが焦りになった事に、気が付いたのか
気を落ち着かせてから、歩きを俺達に合わせだした。

固まって歩いた方が、獣の襲撃などの時も対処が早くできるし
危険はなるべく避けたい、俺も芳乃も落ち着く事にした。

正直な気持ちで言うと、俺も少し焦りだしていた。

温泉地を出てから、既に4日目になっているのだ、途中あった
廃村を目にしてから、焦る気持ちが出てきていた。

その廃村は、獣だろうか?

襲撃された後が、村のあっちこっちに残っていたからだ。
それも、焼け跡を見るに、まだ新しかった。
ここ1ヵ月以内に、あの村は何者かに襲撃された事になる!

敵が近くに居るのかもしれない、そんな緊張感からか
芳乃も俺も焦っていたのだ。

帰りにでも、また廃村に行ってみて、使えそうな物がないか
探してみる積りではいた。

船もあったが、少し壊されているので、修理するしか
船に乗れそうも無かった。

船が使えれば、もう少し早く下流に向けて、探索が出来るのだが
無い物は、言っても仕方が無いのだ。

そんな事を考えていると、川の下流で、川が分かれている場所まで
遣って来ていた。

上流の川の大きさが同じ川と、もう1つは小川とは言いがたいが、
水路を作った様な大きさの川だった。

俺達は、どちらに行くか話し合った結果、小さい川の方に逝く事に
なったのだった。

俺が小さい川の事を水路と、話したからかも知れないが、
明らかに、人の手に寄って、作られた形跡が見られたからだ。

作って長い年月が、経ってはいたが、これは水路に間違い
ないだろう?

その水路に沿って、下流を目指していくと、やっぱり水路
と解る物が経っていたのだ。

それは水車だった!

水車があるって事は、稲作などもしてる可能性があったのだ!
此処までに掛かった日数は、4日も掛かっていた。

廃村は、水車から1日の距離にある!

隣村があっても、おかしくないそう思ったら、歩く足も急に皆
早くなっているのだ。

それもそうだろう、久しぶりに人に会えるかもしれないからだ!
焦る気持ちを落ち着かせながら、歩きは早くなっている。

水車から汲み取られた水が、小さな水路に流れているので
その後を追いながら人里を目指している。

水車から10分も歩いた場所に、人里が出来ている
里って言うより村に近い規模であった。

俺達は、やっとこの世界で初めての人に会うのだ!
嬉しくない訳が無い、凄く嬉しい気持ちだ。

水車と村の間には、小さいが木々が生い茂った林があった。
その林から、村を覗くと村人達が畑で働いている。

堺では、異国の人間達とも、言葉は通じないが
身振り手振りで、渡り合ってきた経験がある好成
には、日ノ本ではなくても人と係われると自身は
あったのだ。

その事を静と秋に、話終えた後に村に向かいだした
好成達を村の柵の外で、発見した村人達は直ぐに、
広場に集まっていたのだ。

多分であるが、直ぐに逃げられるようにしている
のだろうな?

好成は日ノ本言葉で、村の柵に居る村人に話しかけ
言葉が通じるかを試している。

日ノ本の言葉が、この世界で通じる訳がないと
好成は思っていたのだ。

なにせ、村人達を見ると異国の人間と同じ顔立ち
であったからである。

好成も少しだけだが、異国の挨拶などは話せる
だが挨拶程度だけであった。

言葉を交わして会話をするなどの事は、好成には
出来ない、当然、芳乃も静も秋も異国語は話せない!

だが....村人達には日ノ本の言葉が、通じているようだった?

好成が言葉が解るのかと、村人に聞くと村人からは、
言葉は通じると、返答をされたのだった。

これには、好成も芳乃も顔を見ながら、不思議そうに
何故?と言う顔を皆でしていた。

静と秋は、言葉が通じると解ると、直ぐに物々交換が出来ないか
と村人に話をしている、この2人は逞しいのか、恐いもの知らず
なのか解らない。

逞しいのだろうな?

そうして俺達は、物々交換をする為に、村に迎え入れられたのだ。

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