職人は旅をする

和蔵(わくら)

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第38話 ダンキャン!

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冒険者ギルドに依頼を報告したパーティ・Gattino子猫達は
無事にパーティ昇格試験を終えて、パーティランクがEからDに上がっていた!

パーティランク上昇と同時に、アンジェの冒険者ランクもEからDに上がっていた
此れにはアンジェも予想外だったのか、物凄く驚いていたのだった。

レオン・ヨハン爺さん・アンの冒険ランクは、据え置きのままだ。

ダンジョンでも攻略すれば、全員のランクは上がるかも知れないが、
今はランクの上昇は無しである!

アンジェ達は冒険者ギルドで、ダンジョンの登録を済ませて、
何時でも入れるようにしておいた。

そうして、一行が向かった先は武器屋であった!

アンの杖を改造する為に、武器屋に訪れたのだ!

長年使い慣れた杖に、魔力増加石を移植するのだが、気になるのは値段
であった!

武器屋の主人の値段を聞くと、この石の大きさならば、銀貨3枚だと言っていた!
つまりは、3000ベルクだ!

そして、残りの杖の素材で杖を1本作るのに、銀貨1枚かかる。

全部で4000ベルクになった。

アンジェは痛い出費だが、パーティの火力を上げる為と割り切り!

俺の財布を当てにしたのだった!

「えっ?可笑しくない?可笑しいよね?」

俺の抗議の声も、3人には届かず.....結局は俺が全額払ったのだった。

俺の財布の残りの金額は、何だかんだで残りは5000ベルクを切っている!

パーティの中では、一番お金を持っているのは俺だけど!

パーティで稼いだお金もあるよね?

何でそれを使わないのかな?

3人が目を逸らしている!

んっ.....何か怪しいね?

俺はアンジェの目を見て話を続けた!

「アンジェ!パーティのお金は幾ら残ってるのかな?」

『さぁ~どれ位あるのか解んないわ......』

アンもヨハン爺さんも、何故か冷や汗らしき汗でビッショリだ!

「全員床に座ろうね!」

俺は3人を逃さない様に、床に座らせている。

「何でパーティのお金が無いのかな?誰か解る人?」

3人は目を逸らすばかりで、答え様としなかった!

なるほど!俺だけが知らなかったと!

俺に黙って3人は、パーティのお金を使い込んでいたのだ!

「アンジェ君!キミってリーダーだよね?」

『そうよ!リーダーよ!』

アンジェは偉そうに受け答えをしている!自分の立場が解ってないようだ。

「リーダーがパーティのお金を使い込んでも好いのかな?」

『いや......』

流石にアンジェは黙り込んでしまった。

「ヨハン爺さんに聞くけど、お金は何に使ったのかな?」

『お金は.....使いました。』

「聞こえません!もう1度言ってくれますか?」

『お金は.....』

ヨハン爺さんも黙秘を始めてしまった....残るはアンだけだ!

「アン!キミは賢いから解るよね?お金は何に使ったのかな?」

『ボクはね!止めようと言ったんだよ!』

「ほう!何を止めようと言ったのかな?」

『アンジェがね、ダンジョンで使うテントを高い値段で買ったの!』

「ほう!もっと詳しく聞きたいな?」

≪アン!約束を破るのか?≫

「外野は静に!」

『テントを6000ベルクもして買ったんだ!』

「6000ベルクだと.....」

『7000ベルクだったけど、ボクが値切ったんだ!』

「事情は解りました!アンジェさん」

レオンはアンジェと話を始めた。

『何よレオン?』

「何でテントが必要だったのかな?」

『テントには....』

「聞こえないよ!」

『テントには、お風呂もトイレも付いてるの!』

「なるほどね!テントをアイテム袋に入れてダンジョンに行こうと?」

『そうよ!ヨハン爺だってね腰痛が痛いから、ベッドで寝たいって言って賛成したのよ!
   アンはお風呂に興味を示したの!私はトイレがね.....』

「なるほど!それならば俺に何故言わなかったのかな?」

『レオンに言うと、節約しろって言うだけじゃない!』

「確かに俺ならば言うだろうね!」

『だからよ!内緒で買ったの.....既成事実があれば返却しないで済むから.....』




んっ!何か最後に確信犯的な発言がありましたな!

こうしてパーティの軍資金の使い込みが発覚してのだった。

これにはレオンも怒った!怒ったが既に買った町には居なかったので
返却は出来なかったのである!

レオンはあきらめて、アンジェ達を許した....とか甘い事は言わなかった!

使い込んだ金額は、3人のお小遣いから補填して貰う!

返済までには、数ヶ月掛かるだろうが、頑張るしか道はない!

ダンジョンの中でキャンプテントってどうなの?

使えるのかな?それとも魔獣に襲われるんじゃないかな?

レオンは、ダンキャンを少しだけ楽しみにしていた。
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