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「23」分のマシンガン攻撃
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「な?ひどいだろ?」
ケイタのまとまりのないマシンガントークは止まる様子もなく、
シンジは一言も発することなく、呆気にとられたまま、それを聞き続けていた。
「あ、あ、あのっ・・・」
連射され続けたマシンガンの弾がようやく、ほんの一瞬止まったところで、
シンジは思い切って声を出した。
ケイタが図書室に入ってきてから23分後。
シンジがようやく発した一言目であった。
「え?なに?」
今度はケイタが目をパチクリとさせて、シンジを見つめる。
真剣な眼差しでじっと見つめられたシンジは落ち着きなく目を泳がせながら、
ケイタの話の中でずっと気になっていたことを口にした。
「ぼ、僕、き、君に勉強を教えろなんて、せ、先生に言われてない。」
自分でも、なぜこんなにまごついているのか分からないままシンジは続けた。
「た、多分。間違いじゃないかな。
せ、先生が、そう、ちゃんとした先生が、もうすぐここに来るとか。」
たどたどしく喋るシンジの目をじっと見つめていたケイタだったが、
シンジがそこで黙ってしまったので、再び話し始めた。
「いや、7だよ。先生は。」
ケイタはそう断言したが、シンジは表情を変えずに黙ったままだ。
「だって、監督は俺“専属の”先生がここにいるって言ったんだ。
学校の教師は俺専属じゃないだろ?
家庭教師をつけるにしても、家じゃなくて図書室で待ってるなんてあり得ない。
だから、他の生徒が先生の代わりになって、俺に勉強を教えてくれるってことじゃない?
そいつが俺“専属の”先生ってわけ。
こういう例えってなんていうんだっけ?
えーっと、メタ、、、モン?」
「メタファー。」
シンジは間髪入れずに訂正した。
「ほら!先生じゃん!」
そう言われながら、指をさされたシンジは何も言い返すことができなかった。
自分は放課後の1時間、バイトに行くまでに宿題を済ませなければならない。
だから、他人に勉強を教えている暇はない。
そう言えば済む話なのだが、シンジはなぜかそれを言えずにいた。
それは、一方的に話し続けるケイタに圧倒されて、というだけではなかった。
他人と、しかも二人きりで時間を過ごすことなど苦痛でしかないはずなのに、
ケイタと放課後の1時間を共にする、そのことに高揚する自分の心には気づかないふりをして、
シンジはケイタの話を聞き続けた。
「そんな訳で、7先生、3週間よろしくお願いします!」
ケイタがそう言って頭を下げた時には、もうシンジが図書館を出て、バイトに向かう時間になっていた。
ケイタのまとまりのないマシンガントークは止まる様子もなく、
シンジは一言も発することなく、呆気にとられたまま、それを聞き続けていた。
「あ、あ、あのっ・・・」
連射され続けたマシンガンの弾がようやく、ほんの一瞬止まったところで、
シンジは思い切って声を出した。
ケイタが図書室に入ってきてから23分後。
シンジがようやく発した一言目であった。
「え?なに?」
今度はケイタが目をパチクリとさせて、シンジを見つめる。
真剣な眼差しでじっと見つめられたシンジは落ち着きなく目を泳がせながら、
ケイタの話の中でずっと気になっていたことを口にした。
「ぼ、僕、き、君に勉強を教えろなんて、せ、先生に言われてない。」
自分でも、なぜこんなにまごついているのか分からないままシンジは続けた。
「た、多分。間違いじゃないかな。
せ、先生が、そう、ちゃんとした先生が、もうすぐここに来るとか。」
たどたどしく喋るシンジの目をじっと見つめていたケイタだったが、
シンジがそこで黙ってしまったので、再び話し始めた。
「いや、7だよ。先生は。」
ケイタはそう断言したが、シンジは表情を変えずに黙ったままだ。
「だって、監督は俺“専属の”先生がここにいるって言ったんだ。
学校の教師は俺専属じゃないだろ?
家庭教師をつけるにしても、家じゃなくて図書室で待ってるなんてあり得ない。
だから、他の生徒が先生の代わりになって、俺に勉強を教えてくれるってことじゃない?
そいつが俺“専属の”先生ってわけ。
こういう例えってなんていうんだっけ?
えーっと、メタ、、、モン?」
「メタファー。」
シンジは間髪入れずに訂正した。
「ほら!先生じゃん!」
そう言われながら、指をさされたシンジは何も言い返すことができなかった。
自分は放課後の1時間、バイトに行くまでに宿題を済ませなければならない。
だから、他人に勉強を教えている暇はない。
そう言えば済む話なのだが、シンジはなぜかそれを言えずにいた。
それは、一方的に話し続けるケイタに圧倒されて、というだけではなかった。
他人と、しかも二人きりで時間を過ごすことなど苦痛でしかないはずなのに、
ケイタと放課後の1時間を共にする、そのことに高揚する自分の心には気づかないふりをして、
シンジはケイタの話を聞き続けた。
「そんな訳で、7先生、3週間よろしくお願いします!」
ケイタがそう言って頭を下げた時には、もうシンジが図書館を出て、バイトに向かう時間になっていた。
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