81 / 106
kangaroo court
未来の所在
しおりを挟む
――――
藍鶴色が居なくなって数日。
俺はいつも通り働いている。
彼の事が気にならないといえば嘘になるが、しかし彼をどう呼び止めるというのかもわからないし、それで何か変わるのかといわれればよくわからなかった。
俺も俺でどうせ行くところも無いし、あったとしてもすぐに放り出して行けるわけでも無いわけで……
とにかく今日も今日とて仕事があるわけだ。
今他のメンバーは相変わらずどっかに出て居て居ないけれど(全員居る方がむしろ稀である)今日は俺だけで静かに作業をこなしている。
今回は電話の向こう、旅行に向かうという相談者夫婦の話を聞いていた。
「どこか行きたいねという話をした日にちょうど温泉に行かないかって連絡が来たんだ」
「――――で、今度は、いつ出かけるかと見張っているような感じでさ。
目が合ったら慌てて逃げるも、ずっとチラチラこっちを観察している。温泉に行けば家が空くからな」
「今、闇バイトとかあるでしょう?最近物騒だし、なんかずっと、見張られてるみたいで怖いじゃない?」
「はぁ、それで……」
何かが家を狙って居ないか見て欲しい、という奥様の話が聞こえた辺りで
バァン!!と事務所のドアが勢いよく開いた。
「君、もう仕事は受けるな」
と、鋭い声に振り向くと、立って居たのは所長だった。細身で、初老の男性。
角ばった顔付きと裏腹に優し気な目。後ろで固められた髪はきっちりと白髪染めをされ、いつもきっちりと制服を着こんでいる。
慌てて保留ボタンをおして彼の方を向く。
「所長、何でですか」
急に、仕事を受けるなというのはどういう事なのだろう。
「此処は取り壊しになる。これ以上長引くような案件は持ち込むな。いいな」
「取り壊し!?」
唐突な話に頭がついていかない。
クビということ。
此処が無くなるという事。
藍鶴色が居ない事。
けれど彼も彼で混乱しているようだった。
「えっと……なぜ、経営が破綻したとか?」
俺も俺で、混乱を表に出さぬようにそれとなく尋ねる。
「彼が居ないからだ」
所長は端的に述べた。
「は?」
「まさか、彼が裏切るなんて……」
「待ってください、裏切るって何ですか? あいつが一体」
むしろ彼は一番尽くして来た側だ。
一番、裏切られている側だ。
「いや、裏切りだ。会社にとっては裏切りなんだよ、これは。
元々、此処は殆どを藍鶴君を利用する為に建てたようなものなんだから!彼を表に出さない為に」
「……」
わからない、わけでもない。
答えは目の前にある。いつでも知ることが出来た。
だけど、嫌な感じがしたんだ。だから、知るのが怖くて、普段から触れないようにしてきた。
「そんな……あいつに頼る必要ないじゃないですか、そんな事で、裏切ったなんて」
「君は新入りだったな。何故我々が裏切られたというのか、此処がどうやってできたか知っているかね?」
所長は言う。怒っているようだった。
「此処はそもそも非公認な場所だった。けれど、彼が来て変わったんだ」
所長は言う。
彼が5歳の頃、上層部が能力に目を付け、彼から未来を奪った事。
これまでそれら全てを換金して来た事。
監視以外に、家族も買収されており、常に報告されていた事。
「――まだ幼い頃からだからね。あの取引を指摘出来た者は誰も居なかったよ。それを良しとして、企業が彼を買い取った」
資金繰りに苦しんでいた。
一生バレないと信じて、彼を利用した投資にどんどんはまり込んで行った。
「他の能力者の多くは既に社会に進出していたから、才能が未だ世に出ていないことが貴重だったんだ。
一蓮托生、彼が未来を見る代わりに借金を全部彼に背負わせる目的で許可が下り、此処が正式に部署として確立させられた。――――一生涯安定した、まぁ家畜というやつだな」
言っている意味が分からない。
わからなかった。
何も分からない。分からない事だけだ。
分かりたくないと思った。
「――何、言ってるんです。そもそもあいつの未来は、あいつだけのものじゃないですか。元々他人が所有する必要が無かったんだ、しちゃいけないんだ。なんでそんな」
自分でも、何を言おうとしたのだろうか、
心も、言葉も失っても、未来があると信じて、その未来すら自分の為に使えなくて、
「――――俺が良いというまで繋いでおけ、というのが『上』の判断だった。彼もこれまで特に反抗する様子は見せて居なかった、それなのに……君が変えてしまったのだろうか」
「さっきから……なんの、話ですか?」
まるで、家畜じゃないんだから。
そんなの、彼にだって人権があるんだから。
どうしてそこには誰も触れようとしないのだろうか。
裏切るなんて言うんだろうか。
彼の意思は何処にも無いみたいに。
それは、そもそも、信じていたと現していいものだろうか?
ただ一方的に縋っていただけではないのか。
所長は俯き、窶れ、疲れ切った様子で叫んだ。
「だから!! 誰も、此処の人間を、人間とは思っていない!!」
「そ――――んな……」
のは、知ってる。優子さんだってそうだった。
他の誰だって心の内ではそうだった。
最初から、尊重する人間としての勘定に入れてすら居ないという事、
居ても居なくても変わらない、力だけ貸してくれればいいからと、むしろ存在しない事を望まれて……生れてから毎日がそればかりだった。
「…………」
それなのに今更俺は動揺して、咄嗟に電話の電源を落としてしまった。
「見ただろう? 君も!H.S.Pを、kaise-mを!あの取引を!」
結婚式場だった場所。
あの会場で行われたイベントを思い出す。そのとき俺は、 売られようとしていた。
「あれが、奴らのやってる事だよ、界瀬君」
「奴らって、警察と研究所が、能力者の製造計画に……HSPに関わってるって事ですか」
「あぁ!」
所長が頷く。
「元々、君はあの場所で被検体として売り払われる予定だった。
そう、仕組まれていたんだから」
所長の声がかすれる。俯いている。泣いているのかもしれない。
「奴らに人権意識なんて、倫理感なんてあるわけが無いだろう!!あぁやって、遺伝を弄ってワクチンだなんだって作って、そう、あの日から何度も違法な研究に手をだして――――」
入口のドアの前で、邪魔だなとも思ったがそれ以上に圧倒されて何も言えなかった。
「所長は、どうして知ってるんですか」
「それは言えない。本当は、こんな話すること自体、誰に聞かれるか……」
所長が首を横に振る。
彼は恐らく知っていて、その上で止められなかったのだ。
やけに落ち着かない様子の所長を見ていると感じられた。
「いいか? 此処で言っている事は秘密事項だ。君達もどうなるかわからないからな。数年前失職した先輩のようになりたくないなら……」
「わかりました」
(先輩なんて数が多すぎるだろ)
こっそりと、彼のイメージを読み取ってみる。
――――脅迫で出て来た証言なんて、当てになるんですか
――――こっちは時間が無いんだ。とにかく、話題になればいいんだからさ
――――撮っとけ、撮っとけ
捜査機関の違法な捜査手続きによって収集された証拠。
いわゆる、違法収集証拠。
それを探すように所長が指示されている。
誰かが何かを告発しようとしていたらしい。
菊さんのような誰かがチラリと映った。
(……)
ふと、思った。
――もしかしたら、あのチラシの情報は俺たちすら本来知らされない極秘裏なものだったのかもしれない。
藍鶴色が、或いは所長や有志がその辺りに手を加えて、参加するように仕向けたんじゃないか。
なんて考え過ぎだろうか。
(……あれって、確か、リュージさんが)
「で、でも……」
恐らく研究のために融資された莫大な借金で此処は運営されているのだが、
「すぐ畳むなんてしなくても、まだ予算が」
無いよ、と所長が断言する。
「使い込んだ――――藍鶴色がいつまでも、居ると踏んで」
「所長……」
「何に使ったかは知らないが、記載されていない不自然な出費が幾つかあると『彼』が指摘して行ったよ」
「どうして、そこまで執着する色が、此処から出られたんですか」
所長は首を横に振る。
「さぁ。答えてくれなかったからね」
それから言った。
「だけど、監視を辞めているとも思えない」
2024年11月30日3時11分
藍鶴色が居なくなって数日。
俺はいつも通り働いている。
彼の事が気にならないといえば嘘になるが、しかし彼をどう呼び止めるというのかもわからないし、それで何か変わるのかといわれればよくわからなかった。
俺も俺でどうせ行くところも無いし、あったとしてもすぐに放り出して行けるわけでも無いわけで……
とにかく今日も今日とて仕事があるわけだ。
今他のメンバーは相変わらずどっかに出て居て居ないけれど(全員居る方がむしろ稀である)今日は俺だけで静かに作業をこなしている。
今回は電話の向こう、旅行に向かうという相談者夫婦の話を聞いていた。
「どこか行きたいねという話をした日にちょうど温泉に行かないかって連絡が来たんだ」
「――――で、今度は、いつ出かけるかと見張っているような感じでさ。
目が合ったら慌てて逃げるも、ずっとチラチラこっちを観察している。温泉に行けば家が空くからな」
「今、闇バイトとかあるでしょう?最近物騒だし、なんかずっと、見張られてるみたいで怖いじゃない?」
「はぁ、それで……」
何かが家を狙って居ないか見て欲しい、という奥様の話が聞こえた辺りで
バァン!!と事務所のドアが勢いよく開いた。
「君、もう仕事は受けるな」
と、鋭い声に振り向くと、立って居たのは所長だった。細身で、初老の男性。
角ばった顔付きと裏腹に優し気な目。後ろで固められた髪はきっちりと白髪染めをされ、いつもきっちりと制服を着こんでいる。
慌てて保留ボタンをおして彼の方を向く。
「所長、何でですか」
急に、仕事を受けるなというのはどういう事なのだろう。
「此処は取り壊しになる。これ以上長引くような案件は持ち込むな。いいな」
「取り壊し!?」
唐突な話に頭がついていかない。
クビということ。
此処が無くなるという事。
藍鶴色が居ない事。
けれど彼も彼で混乱しているようだった。
「えっと……なぜ、経営が破綻したとか?」
俺も俺で、混乱を表に出さぬようにそれとなく尋ねる。
「彼が居ないからだ」
所長は端的に述べた。
「は?」
「まさか、彼が裏切るなんて……」
「待ってください、裏切るって何ですか? あいつが一体」
むしろ彼は一番尽くして来た側だ。
一番、裏切られている側だ。
「いや、裏切りだ。会社にとっては裏切りなんだよ、これは。
元々、此処は殆どを藍鶴君を利用する為に建てたようなものなんだから!彼を表に出さない為に」
「……」
わからない、わけでもない。
答えは目の前にある。いつでも知ることが出来た。
だけど、嫌な感じがしたんだ。だから、知るのが怖くて、普段から触れないようにしてきた。
「そんな……あいつに頼る必要ないじゃないですか、そんな事で、裏切ったなんて」
「君は新入りだったな。何故我々が裏切られたというのか、此処がどうやってできたか知っているかね?」
所長は言う。怒っているようだった。
「此処はそもそも非公認な場所だった。けれど、彼が来て変わったんだ」
所長は言う。
彼が5歳の頃、上層部が能力に目を付け、彼から未来を奪った事。
これまでそれら全てを換金して来た事。
監視以外に、家族も買収されており、常に報告されていた事。
「――まだ幼い頃からだからね。あの取引を指摘出来た者は誰も居なかったよ。それを良しとして、企業が彼を買い取った」
資金繰りに苦しんでいた。
一生バレないと信じて、彼を利用した投資にどんどんはまり込んで行った。
「他の能力者の多くは既に社会に進出していたから、才能が未だ世に出ていないことが貴重だったんだ。
一蓮托生、彼が未来を見る代わりに借金を全部彼に背負わせる目的で許可が下り、此処が正式に部署として確立させられた。――――一生涯安定した、まぁ家畜というやつだな」
言っている意味が分からない。
わからなかった。
何も分からない。分からない事だけだ。
分かりたくないと思った。
「――何、言ってるんです。そもそもあいつの未来は、あいつだけのものじゃないですか。元々他人が所有する必要が無かったんだ、しちゃいけないんだ。なんでそんな」
自分でも、何を言おうとしたのだろうか、
心も、言葉も失っても、未来があると信じて、その未来すら自分の為に使えなくて、
「――――俺が良いというまで繋いでおけ、というのが『上』の判断だった。彼もこれまで特に反抗する様子は見せて居なかった、それなのに……君が変えてしまったのだろうか」
「さっきから……なんの、話ですか?」
まるで、家畜じゃないんだから。
そんなの、彼にだって人権があるんだから。
どうしてそこには誰も触れようとしないのだろうか。
裏切るなんて言うんだろうか。
彼の意思は何処にも無いみたいに。
それは、そもそも、信じていたと現していいものだろうか?
ただ一方的に縋っていただけではないのか。
所長は俯き、窶れ、疲れ切った様子で叫んだ。
「だから!! 誰も、此処の人間を、人間とは思っていない!!」
「そ――――んな……」
のは、知ってる。優子さんだってそうだった。
他の誰だって心の内ではそうだった。
最初から、尊重する人間としての勘定に入れてすら居ないという事、
居ても居なくても変わらない、力だけ貸してくれればいいからと、むしろ存在しない事を望まれて……生れてから毎日がそればかりだった。
「…………」
それなのに今更俺は動揺して、咄嗟に電話の電源を落としてしまった。
「見ただろう? 君も!H.S.Pを、kaise-mを!あの取引を!」
結婚式場だった場所。
あの会場で行われたイベントを思い出す。そのとき俺は、 売られようとしていた。
「あれが、奴らのやってる事だよ、界瀬君」
「奴らって、警察と研究所が、能力者の製造計画に……HSPに関わってるって事ですか」
「あぁ!」
所長が頷く。
「元々、君はあの場所で被検体として売り払われる予定だった。
そう、仕組まれていたんだから」
所長の声がかすれる。俯いている。泣いているのかもしれない。
「奴らに人権意識なんて、倫理感なんてあるわけが無いだろう!!あぁやって、遺伝を弄ってワクチンだなんだって作って、そう、あの日から何度も違法な研究に手をだして――――」
入口のドアの前で、邪魔だなとも思ったがそれ以上に圧倒されて何も言えなかった。
「所長は、どうして知ってるんですか」
「それは言えない。本当は、こんな話すること自体、誰に聞かれるか……」
所長が首を横に振る。
彼は恐らく知っていて、その上で止められなかったのだ。
やけに落ち着かない様子の所長を見ていると感じられた。
「いいか? 此処で言っている事は秘密事項だ。君達もどうなるかわからないからな。数年前失職した先輩のようになりたくないなら……」
「わかりました」
(先輩なんて数が多すぎるだろ)
こっそりと、彼のイメージを読み取ってみる。
――――脅迫で出て来た証言なんて、当てになるんですか
――――こっちは時間が無いんだ。とにかく、話題になればいいんだからさ
――――撮っとけ、撮っとけ
捜査機関の違法な捜査手続きによって収集された証拠。
いわゆる、違法収集証拠。
それを探すように所長が指示されている。
誰かが何かを告発しようとしていたらしい。
菊さんのような誰かがチラリと映った。
(……)
ふと、思った。
――もしかしたら、あのチラシの情報は俺たちすら本来知らされない極秘裏なものだったのかもしれない。
藍鶴色が、或いは所長や有志がその辺りに手を加えて、参加するように仕向けたんじゃないか。
なんて考え過ぎだろうか。
(……あれって、確か、リュージさんが)
「で、でも……」
恐らく研究のために融資された莫大な借金で此処は運営されているのだが、
「すぐ畳むなんてしなくても、まだ予算が」
無いよ、と所長が断言する。
「使い込んだ――――藍鶴色がいつまでも、居ると踏んで」
「所長……」
「何に使ったかは知らないが、記載されていない不自然な出費が幾つかあると『彼』が指摘して行ったよ」
「どうして、そこまで執着する色が、此処から出られたんですか」
所長は首を横に振る。
「さぁ。答えてくれなかったからね」
それから言った。
「だけど、監視を辞めているとも思えない」
2024年11月30日3時11分
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
ハルとアキ
花町 シュガー
BL
『嗚呼、秘密よ。どうかもう少しだけ一緒に居させて……』
双子の兄、ハルの婚約者がどんな奴かを探るため、ハルのふりをして学園に入学するアキ。
しかし、その婚約者はとんでもない奴だった!?
「あんたにならハルをまかせてもいいかなって、そう思えたんだ。
だから、さよならが来るその時までは……偽りでいい。
〝俺〟を愛してーー
どうか気づいて。お願い、気づかないで」
----------------------------------------
【目次】
・本編(アキ編)〈俺様 × 訳あり〉
・各キャラクターの今後について
・中編(イロハ編)〈包容力 × 元気〉
・リクエスト編
・番外編
・中編(ハル編)〈ヤンデレ × ツンデレ〉
・番外編
----------------------------------------
*表紙絵:たまみたま様(@l0x0lm69) *
※ 笑いあり友情あり甘々ありの、切なめです。
※心理描写を大切に書いてます。
※イラスト・コメントお気軽にどうぞ♪
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
たまにはゆっくり、歩きませんか?
隠岐 旅雨
BL
大手IT企業でシステムエンジニアとして働く榊(さかき)は、一時的に都内本社から埼玉県にある支社のプロジェクトへの応援増員として参加することになった。その最初の通勤の電車の中で、つり革につかまって半分眠った状態のままの男子高校生が倒れ込んでくるのを何とか支え抱きとめる。
よく見ると高校生は自分の出身高校の後輩であることがわかり、また翌日の同時刻にもたまたま同じ電車で遭遇したことから、日々の通勤通学をともにすることになる。
世間話をともにするくらいの仲ではあったが、徐々に互いの距離は縮まっていき、週末には映画を観に行く約束をする。が……

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
思い出して欲しい二人
春色悠
BL
喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。
そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。
一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。
そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる