未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

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地球へ

第177話 人気キャラを百話近く放置するな!

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
 リムの教え子達との対戦を終えたマイ。
 マイは対戦終了後のリムの態度に、よそよそしさを感じた。
 教え子達の鼻をあかしたいと、最初は言っていたリムだった。
 だけど終わってみれば、いずれマイを倒す為の刺客を育てようとしているのか、とマイは思わずにはいられない。
 立ち去る時に見せたリムの笑みは、何を意味してるのだろうか。
 マイはリムが教官しているエリアから、自分達のエリアに戻る。
 だけどメカニックマンのジョーは、まだ残っている。
 強制終了させて壊れた戦闘機用シミュレータの修理には、それ相応の時間がかかる。
 そしてこの修理は、なぜかジョーにしか出来なかった。


 メディカルルームにて、巨大なメスシリンダーみたいな装置の中で、両膝をかかえた姿で、口には酸素マスクをつけ、薄緑色の液体に全裸で浸かっているマイン。
 北部戦線で受けた損傷が激しく、魂がアバター体を離れようとしている。
 だからアバター体の補修作業よりも、魂をアバター体に定着させる方を優先させている。
 とは言え、アバター体の修復が進まないと、魂が定着しないのも事実。
 マインの魂確保と同時に、アバター体の補修作業も進めてはいるが、その進捗速度は極めて遅い。

 そんなマインが目を覚ます。
「マイン!」
 メディカルルームの壁に寄りかかり、ずっとマインを見守り続けたミサは駆け寄る。

 寝ぼけまなこのマインは、両ひざを抱えた体勢を解く。
 下方へと伸ばされた二本の足。
 その体勢で、マインは薄緑色の液体に浮かんでる。
 薄緑色の液体は、マインの目覚めを受け、装置の下方部から排出される。
 浮かんでいたマインの肩まで排出が進むと、マインの酸素マスクが外される。
 久しぶりに吸い込む外の空気に、マインは軽くむせる。
 と同時にマインはバランスを崩す。
 装置内に残る液体の高さは、マインの肩の高さと同じだった。
 排出とともに下がってたマインの位置。
 バランスを崩したマインは、液体の中に沈む。
 液体の排出は丁度目の高さくらいまで進んでいたが、マインは装置の底で膝をつく。
 まだ身体が思うように動かないのだ。

「マイン!」
 駆けつけるミサは、装置の横にあるスイッチ類をいじる。
 まだ液体の入った装置が、左右に開く。
 装置の内壁に寄りかかってたマインは、寄りかかる内壁を失い、薄緑色の液体とともに前のめりに倒れる。
 そんなマインを、ミサがしっかり受け止める。
 左右へと開いた装置は、外周の真後ろまで開くと、そのまま姿を消す。
 マインの全身の薄緑色の液体はすぐに乾き、全裸だったマインの全身を、いつものボディスーツが覆う。
「マイン、しっかりしろ、大丈夫か。」
 ミサは自分の腕の中でぐったりするマインに話しかける。
 マインは寝ぼけまなこのまま、どこか目の焦点も定まらない。

「マイン?ホワッツマイン?」
 これがマインの第一声。
 ミサに支えられたマインは、顔を上げる事すら出来ない。
 それほどアバター体の身体機能は衰弱している。
「マイン?そっか。」
 言葉の通じないマインに対して、ミサはある事を思い出す。
 今のマインは、はちまきをしていない。
 はちまきに仕組まれたチップを通じて翻訳してるのは、この物語の基本設定だった。
 ミサは右手手首に、マインのはちまきを巻いていた。
 それをほどくと、マインのひたいにまく。

「ノー!ドンタッチミー!」
 暴れたいマインだが、身体は動かない。
「オーマイガー!オーマイガー!」
 はちまきをまいても、叫び続ける。
 ミサはしゃがんでマインを支えてた体勢から、マインを抱きかかえて立ち上がる。
「ひゃん?」
 マインは反射的にミサにしがみつく。
「お、やっと気がついたか。」
 どこかへと歩き出すミサは、そう声をかける。
「ミサ?私、どうなったの?」
 やっと正気に戻ったマイン。
「ああ、北部戦線でやられて死にかけたんだ。」
 とミサは簡潔に説明する。
 そして、
「すまない。」
 と付け加える。
「そう、私、やられたんだっけ。」
 とマインは記憶を辿る。

 マインを抱きかかえたミサは、とあるベットにたどり着く。
 そのベッドにマインを寝かせると、ミサはスイッチを入れる。
 足元から、カプセル状の覆いが迫り上がってくる。
「とりあえず、マイも喜ぶな。」
 とミサはほほえみかける。
「マイ!」
 マインは何故か怯えだす。
 迫り上がるカプセル状の覆いを、両手で止める。
「や、め、て。マイとは、会いたくない。」
 そう言うマインは、震えている。
「どうしたんだ、マイン?」
 カプセルのスイッチを止め、ミサは聞き返す。
「会いたくないの、ま、ま、ま、あいつとは。」
 あんなに仲よかったマイを、あいつ呼ばわり。
 そしてマインのこの怯えよう。
「何があったんだ、マイン。」
 ミサはマインの額のチップから感情を漁ろうとするが、マインからは怯えの感情しか読み取れない。
 その理由までは無理だった。
「先に、アイと、アイとだけ会わせて。
 あいつとは、会いたくない。」
 マインは溢れんばかりの涙をため、ミサに懇願する。

 仲の良かったマイ。
 そんなマイと会いたくなく、マイのパートナーであるアイとだけ、会いたい。
 マインにそう言わせる根拠は、ミサにも心当たりがあった。
「ああ、分かった。
 マイには内緒で、アイとだけ会わせてやるよ。」
 ミサの言葉に、マインは安堵の表情を浮かべ、カプセルの淵を掴んでた両手がベッドに落ちる。
「ありがとう、ミサ。愛してるわ。」
 マインは安らかな表情のまま、眠りにおちた。

 ミサは途中で止まったカプセル状の覆いを、最後まで閉め切る。
 マインが液体漬けになってた装置は、マインの魂をアバター体に定着させるためのもの。
 そしてこっちのカプセルは、マインのアバター体を活性化させるためのもの。
 程なくマインは復活する。

 丁度マイは、リムの教官任務の手伝いにかりだされている。
 そしてアイとナコとジョーが、マイの後を追ったばかりだ。
 このフロアには、ミサとマインの他には、アイツウしかいない。
 この距離なら、お互いの現状把握が可能。
 つまり、アイツウにはマインが目覚めた事は伝わっている。
 そして、アイとしか会いたくない事も。
 ミサは、このフロアにアイがいなくて良かったと思う。
 もし居れば、瞬時に伝わる。
 マインが会いたくないマイに対しても。

 ミサは一応アイツウと連絡を取り、口止めはしておいた。
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