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第175話 聞きたい事が増えたら聞く順番に困る
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これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
北部戦線での激戦は終わった。
その終戦の立役者マイは、リムの教え子達と戦闘機用シミュレータで勝負する事になった。
リムの教え子達は、過去の時代からきたマイの実力を、認めていなかった。
それは戦闘機の性能のおかげ、優れたサポートAIのおかげと、マイの実力である事を認めなかった。
同じ条件下での勝負だったが、マイの優勢で勝負は進む。
だけど仲間を犠牲にしたゼロスリーの行為に、マイはキレる。
マイの戦闘機の燃料が尽きた時、マイは王狼機を呼ぶ。
戦闘機用シミュレータの中に。
強制終了も封じられ、絶望するリム。
だけどそこに、メカニックマンのジョーが現れ、シミュレータを強制終了させた。
久しぶりに登場したメカニックマンのジョー。
膝くらいの高さの円柱形をしたロボットが、マイとゼロスリーのシミュレータに二体ずつ、張り付いている。
「ジョナサ…」
リムはジョーを見て、違う名前を口走る。
「おおっと。俺の名前を忘れたのかな?」
と、ジョーはリムの言葉をさえぎる。
メカニックマンのジョー。
マイやリム達のチームのメカニックマンであるが、同時に司令官でもあった。
そしてチームを離れた事により、リムは知る。
ジョーは他の顔も持っている事を。
「リム、おまえはまだ、あのチームの一員だ。」
ジョーは戸惑うリムに話しかける。
「ここの教官任務は、一応出向扱いになってる。
だから俺の事も、今まで通り、接してくれ。」
「わ、分かったわ。ジョー。」
リムはどこか納得いかない様子だが、とりあえずジョーの言葉を受け入れる。
「ともかく、来てくれて助かったわ。
ありがとう、ジョー。」
リムはジョーに礼を言う。
そんなリムに、アイが近づく。
ここに来たのは、ジョーだけではなかった。
アイはリムに近づくと、無言のままリムに平手打ち。
ぱしん。
その平手打ちを、ナコが受ける。
「どきなさい、ナコ。」
「いいえ、どきません。」
にらみつけるアイを、ナコもにらみかえす。
だけどアイが怒りをぶつけたいのは、ナコではない。
あくまでリムだ。
「リム、どういうつもりなの!」
アイはナコごしに、リムに問いただす。
「マイに、何させてるのよ!」
リムはしっかりとアイを見すえ、アイの質問に答える。
「アイ、あなただって分かってるはずよ。
今のマイに、何が必要なのかを。」
「そ、それは。」
アイは口ごもる。
そして視線をそらす。
視線をそらした先には、マイの乗るシミュレータがあった。
ジョーが強制終了させたため、その扉は開かない。
円柱形のロボットが、工業用カッターを使って、マイとゼロスリーのシミュレータの扉を切り開いていた。
他の教え子達は、ざわついている。
「あれがサポートAI。初めて見た。」
「人間と変わらないじゃん。」
「ジョーって言う人、そこそこイケメンじゃない?」
ごどん。
マイとゼロスリーのシミュレータの扉が、切り落とさせる。
「マイ!」
アイは思わず駆け出す。
ゼロスリーはシミュレータから出てきたが、マイは出てくる気配がない。
アイはシミュレータの中を覗き込む。
中ではマイが座席に深く腰かけ、両腕を目の上に置いている。
「う、う、う。」
マイは短く嗚咽する。
「マイ?」
アイはそんなマイに声をかける。
マイは目の上の腕をどけて、声のする方を見る。
「アイ、う、う。」
マイはアイの顔を見ると、なぜか涙があふれてくる。
「どうしたのよ、マイ。」
アイは、そんなマイを心配する。
「な、なんでもないわ。」
マイも、慌てて涙をぬぐう。
「対戦は終わったの?僕は勝てたの?」
マイは涙をぬぐいながら、アイに尋ねる。
「ええ、あなたの勝ちよ。」
とアイが答える。
「そ。リムが色々足引っ張ってくれたから、負けたかと思ったわ。」
と言うと、マイはシミュレータから出てくる。
シミュレータの外では、ゼロスリーの周りに教え子達が集まっている。
最後まで健闘したゼロスリーを、みんなで讃えている。
その光景に、マイの表情もほころぶ。
そしてそこから視線をそらすと同時に、マイの表情も険しくなる。
マイはリムの姿を見つける。
「リム、答えてもらうわよ!」
「ええ、そういう約束だったわね。」
「リム、あなたねぇ!」
とマイは言うのだが、その後が続かない。
戦闘中、リムに聞きたい事があると、マイは言った。
だけどその後の展開で、リムに聞きたい事が増えた。
つまり、最初に何を聞くべきか、マイは悩む。
「どうしたの、マイ。
私達が一緒にいられる時間には、限りがあるのよ。」
リムはマイの悩みを見透かし、あおってくる。
マイは思わずリムをにらむ。
そんなマイの肩に、アイは手をそえる。
「落ち着いて、マイ。
思った事を順番に聞けばいいのよ。」
アイはマイが額に巻いたはちまきのチップを通じ、マイの思考を読み取っている。
その上でのアドバイスだった。
ならば、最初に思った事を聞こう。
マイは今一度、リムをにらむ。
「リム、あなた自分の教え子達を殺すつもりなの?」
マイのこの発言に、ゼロスリーを讃えて談笑していた教え子達も、一斉にマイの方を見る。
「それは、どう言う意味かな。」
と、リムは聞き返す。
マイは怒りの感情がわいてくる。
どう言う意味なのか。
それはリムにも分かっている。
その上で、聞き返してきたのだ!
「マイ。」
激情しようとするマイを、アイがなだめる。
「大丈夫だよ、アイ。」
マイは額のチップを通じて、アイに答える。
そして、戦闘機用シミュレータを指差す。
「この機体よ!」
「それが何か?」
とリムは聞き返す。
リムはすでに、マイの言いたい事を理解してるはず。
だけどリムの性格からして、何かあると、マイは思いはじめる。
その事に気がつくと、マイの怒りの感情も静まっていく。
そして、落ち着いた声でリムに尋ねる。
「あなた、この機体でこの子達を戦場に送り出すつもり?
死ぬわよ。」
マイの神妙な口調に、教え子達はざわつく。
この機体を使ってて、命の危険など感じた事は無かったからだ。
北部戦線での激戦は終わった。
その終戦の立役者マイは、リムの教え子達と戦闘機用シミュレータで勝負する事になった。
リムの教え子達は、過去の時代からきたマイの実力を、認めていなかった。
それは戦闘機の性能のおかげ、優れたサポートAIのおかげと、マイの実力である事を認めなかった。
同じ条件下での勝負だったが、マイの優勢で勝負は進む。
だけど仲間を犠牲にしたゼロスリーの行為に、マイはキレる。
マイの戦闘機の燃料が尽きた時、マイは王狼機を呼ぶ。
戦闘機用シミュレータの中に。
強制終了も封じられ、絶望するリム。
だけどそこに、メカニックマンのジョーが現れ、シミュレータを強制終了させた。
久しぶりに登場したメカニックマンのジョー。
膝くらいの高さの円柱形をしたロボットが、マイとゼロスリーのシミュレータに二体ずつ、張り付いている。
「ジョナサ…」
リムはジョーを見て、違う名前を口走る。
「おおっと。俺の名前を忘れたのかな?」
と、ジョーはリムの言葉をさえぎる。
メカニックマンのジョー。
マイやリム達のチームのメカニックマンであるが、同時に司令官でもあった。
そしてチームを離れた事により、リムは知る。
ジョーは他の顔も持っている事を。
「リム、おまえはまだ、あのチームの一員だ。」
ジョーは戸惑うリムに話しかける。
「ここの教官任務は、一応出向扱いになってる。
だから俺の事も、今まで通り、接してくれ。」
「わ、分かったわ。ジョー。」
リムはどこか納得いかない様子だが、とりあえずジョーの言葉を受け入れる。
「ともかく、来てくれて助かったわ。
ありがとう、ジョー。」
リムはジョーに礼を言う。
そんなリムに、アイが近づく。
ここに来たのは、ジョーだけではなかった。
アイはリムに近づくと、無言のままリムに平手打ち。
ぱしん。
その平手打ちを、ナコが受ける。
「どきなさい、ナコ。」
「いいえ、どきません。」
にらみつけるアイを、ナコもにらみかえす。
だけどアイが怒りをぶつけたいのは、ナコではない。
あくまでリムだ。
「リム、どういうつもりなの!」
アイはナコごしに、リムに問いただす。
「マイに、何させてるのよ!」
リムはしっかりとアイを見すえ、アイの質問に答える。
「アイ、あなただって分かってるはずよ。
今のマイに、何が必要なのかを。」
「そ、それは。」
アイは口ごもる。
そして視線をそらす。
視線をそらした先には、マイの乗るシミュレータがあった。
ジョーが強制終了させたため、その扉は開かない。
円柱形のロボットが、工業用カッターを使って、マイとゼロスリーのシミュレータの扉を切り開いていた。
他の教え子達は、ざわついている。
「あれがサポートAI。初めて見た。」
「人間と変わらないじゃん。」
「ジョーって言う人、そこそこイケメンじゃない?」
ごどん。
マイとゼロスリーのシミュレータの扉が、切り落とさせる。
「マイ!」
アイは思わず駆け出す。
ゼロスリーはシミュレータから出てきたが、マイは出てくる気配がない。
アイはシミュレータの中を覗き込む。
中ではマイが座席に深く腰かけ、両腕を目の上に置いている。
「う、う、う。」
マイは短く嗚咽する。
「マイ?」
アイはそんなマイに声をかける。
マイは目の上の腕をどけて、声のする方を見る。
「アイ、う、う。」
マイはアイの顔を見ると、なぜか涙があふれてくる。
「どうしたのよ、マイ。」
アイは、そんなマイを心配する。
「な、なんでもないわ。」
マイも、慌てて涙をぬぐう。
「対戦は終わったの?僕は勝てたの?」
マイは涙をぬぐいながら、アイに尋ねる。
「ええ、あなたの勝ちよ。」
とアイが答える。
「そ。リムが色々足引っ張ってくれたから、負けたかと思ったわ。」
と言うと、マイはシミュレータから出てくる。
シミュレータの外では、ゼロスリーの周りに教え子達が集まっている。
最後まで健闘したゼロスリーを、みんなで讃えている。
その光景に、マイの表情もほころぶ。
そしてそこから視線をそらすと同時に、マイの表情も険しくなる。
マイはリムの姿を見つける。
「リム、答えてもらうわよ!」
「ええ、そういう約束だったわね。」
「リム、あなたねぇ!」
とマイは言うのだが、その後が続かない。
戦闘中、リムに聞きたい事があると、マイは言った。
だけどその後の展開で、リムに聞きたい事が増えた。
つまり、最初に何を聞くべきか、マイは悩む。
「どうしたの、マイ。
私達が一緒にいられる時間には、限りがあるのよ。」
リムはマイの悩みを見透かし、あおってくる。
マイは思わずリムをにらむ。
そんなマイの肩に、アイは手をそえる。
「落ち着いて、マイ。
思った事を順番に聞けばいいのよ。」
アイはマイが額に巻いたはちまきのチップを通じ、マイの思考を読み取っている。
その上でのアドバイスだった。
ならば、最初に思った事を聞こう。
マイは今一度、リムをにらむ。
「リム、あなた自分の教え子達を殺すつもりなの?」
マイのこの発言に、ゼロスリーを讃えて談笑していた教え子達も、一斉にマイの方を見る。
「それは、どう言う意味かな。」
と、リムは聞き返す。
マイは怒りの感情がわいてくる。
どう言う意味なのか。
それはリムにも分かっている。
その上で、聞き返してきたのだ!
「マイ。」
激情しようとするマイを、アイがなだめる。
「大丈夫だよ、アイ。」
マイは額のチップを通じて、アイに答える。
そして、戦闘機用シミュレータを指差す。
「この機体よ!」
「それが何か?」
とリムは聞き返す。
リムはすでに、マイの言いたい事を理解してるはず。
だけどリムの性格からして、何かあると、マイは思いはじめる。
その事に気がつくと、マイの怒りの感情も静まっていく。
そして、落ち着いた声でリムに尋ねる。
「あなた、この機体でこの子達を戦場に送り出すつもり?
死ぬわよ。」
マイの神妙な口調に、教え子達はざわつく。
この機体を使ってて、命の危険など感じた事は無かったからだ。
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