未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

文字の大きさ
上 下
166 / 215
異次元からの侵略者

第166話 戦後処理はめんどくさい

しおりを挟む
 これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
 激戦を極めた北部戦線での戦闘も、あっけなく終わった。
 そう、あっけなかった。
 青いモヤに覆われた北部戦線。
 その青いモヤがはれた時、そこに敵の姿はなかった。
 一応、また現れるかもしれないので、見張り役は残しておいた。


 この北部戦線での真実を知るであろうマイとメドーラは、パートナーであるサポートAIのアイとアイツウとともに、事情聴取を受ける事になった。
 マイとメドーラは、過去から召喚された魂である。
 現在事情には疎いため、アイとアイツウによる、ちょっとした補助が必要だった。
 メドーラは、マイお姉さまが見た事が真実ですと、それ以上の明言をさけた。
 マイは、自分の知りうる全てを語った。

 千年に及ぶ、虐げられた者達の気持ち。
 それが神武七龍神のブルードラゴンの怒りに触れた事。
 最期は力尽きて、衛星基地ソゴムごと、自爆した。

 あれ?
 なんか違くない?
 マイも話してるうちに、なんか違ってきたと思ったが、だいたい合ってるだろうと、押し通した。
 ソゴムにいた者達は、どこかに逃げ延びた事、そしてケイの事。
 これは、あえて触れなかった。

 マイの記憶を覗く事の出来るアイも、おおむねそんな感じですと、マイの主張を支持した。

 このマイの言う事が真実だとすると、分からない事がひとつあった。
 神武七龍神を相手にして、なぜ戦えたのだろうか。
 神武七龍神の逆鱗にふれ、滅んだ文明は数知れない。
 北部戦線の終戦時に、青いモヤが戦場を覆った。
 最初からこれがきたら、戦闘になる事もなく、その周囲の宙域は滅んでいた。
 なぜそうしなかったのか。

 マイは、超高次元空間のブルードラゴンと、この次元のブルードラゴンは別物に近いと、説明したが、うまく伝えられなかった。
 アイも、そこら辺の記憶がよく読み取れないと、それ以上の説明を拒んだ。
 アイは、三身合身オメガクロスの存在を隠したかった。
 これを公にするには、まだ時期が早かった。

 さらにバイワンラァンの存在は、アイも知らない事だった。
 マイに、それを伝えた存在には、アイには心当たりはある。
 だけどマイは、その存在について、何を思うのだろう。
 マイはアイが知らない所で、どこまで知ってしまったのだろうか。
 それは、マイが北部戦線以上の激戦に巻き込まれる事を、意味していた。

 とりあえず北部戦線の出来事は、以下の様に説明された。
 衛星基地ソゴムのマザーコンピュータが壊れて暴走した。
 その際、多次元空間から、宙間物質アークスピリットが流れ込んだ。
 このアークスピリットを大量に使い、戦艦や戦闘機を無数に具現化出来た。
 そして、衛星基地ソゴムを爆破して、次元の裂け目を埋めた。

 その説明から、神武七龍神の名は伏せられた。
 その存在を知る者も少なく、この神武七龍神を説明すると、どうしてもぬぐえない疑問にぶち当たるからだ。
 なんでそんな奴相手に、まともに戦えたの?
 いや、知らんがな!


 そしてこの終戦を機に、リムがマイ達の元を去った。
 リムの身体はアバター体と言うよりも、生身の肉体に近くなっていた。
 普通に新陳代謝が認められたのである。
 こうなると、脱出用システム前提の戦闘は、無理になる。
 リムは今後、新人パイロット達に対する、教官任務に就く事になった。

 そしてメドーラも、マイの元を去る。
 自らの過去との決着をつけるため、ゴンゴル三姉妹のステーノとエアレーに会いに行くつもりだ。
 ステーノが消息を絶ったという、グリムア共和国を、まずは目指す。
 メドーラの乗るシリウスベータファイブの整備には、特殊な機材が必要だった。
 それはメカニックマンのジョーが使う、円柱形のロボット達だった。
 メドーラはそのロボットを、二体ほど借りた。
 円柱形であったロボットを、子猫形に変形させた。
 そしてこの二匹の猫に、ふーた、らいたと名前をつけた。

 そしてマインは、以前のままだった。
 メディカルルームにある、巨大なメスシリンダーみたいな装置の中で、薄緑色の液体に浸かっている。
 マインのパートナーであるミサは、壁に寄りかかって、マインを見つめている。
「笑った?」
 ミサは一瞬、マインが笑ったように見えた。
 しかし、ミサが今一度見直すと、マインは無表情のままだった。
 ミサが自らの記憶映像を見返しても、マインの表情に変化はなかった。

 そしてひとり残されたマイ。
 マイは悲しみのずんどこに、沈んでいた。
 ユアとの突然の別れ。
 そしてケイとの再会の後の別れ。
 マイはそれでも、気丈に振る舞っていた。
 しかし、予期していなかった、メドーラとリムとの別れは、マイの限界を越えさせた。
 マイは、暗い部屋のすみで、泣く事しか出来なかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

平等社会(ユートピア)

ぼっち・ちぇりー
SF
続編

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

宇宙打撃空母クリシュナ ――異次元星域の傭兵軍師――

黒鯛の刺身♪
SF
 半機械化生命体であるバイオロイド戦闘員のカーヴは、科学の進んだ未来にて作られる。  彼の乗る亜光速戦闘機は撃墜され、とある惑星に不時着。  救助を待つために深い眠りにつく。  しかし、カーヴが目覚めた世界は、地球がある宇宙とは整合性の取れない別次元の宇宙だった。  カーヴを助けた少女の名はセーラ。  戦い慣れたカーヴは日雇いの軍師として彼女に雇われる。  カーヴは少女を助け、侵略国家であるマーダ連邦との戦いに身を投じていく。 ――時に宇宙暦880年  銀河は再び熱い戦いの幕を開けた。 ◆DATE 艦名◇クリシュナ 兵装◇艦首固定式25cmビーム砲32門。    砲塔型36cm連装レールガン3基。    収納型兵装ハードポイント4基。    電磁カタパルト2基。 搭載◇亜光速戦闘機12機(内、補用4機)    高機動戦車4台他 全長◇300m 全幅◇76m (以上、10話時点) 表紙画像の原作はこたかん様です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

アトラス

レオパッド
SF
明治初頭。日本に現れた謎の生物『異獣』の登場は その後、数百年の間に世界を大きく変えた。生態系は既存の生物の多くが絶滅し、陸も空も海も、異獣が繁栄を極めた。 異獣という脅威に対し、人類は異能の力を行使する者『クリエイター』を生み出すことで、なんとか生存することを許されていた……。 しかし、クリエイターでも苦戦する異獣の突然変異種が出現。新たな混乱の時代を迎えようとしていた 人類の前に敵か味方か……異獣ならざる者たちが降臨する。

Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜

華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日  この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。  札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。  渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。  この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。  一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。  そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。 この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。 この作品はフィクションです。 実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。

処理中です...