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惑星ファンタジー迷走編

第67話 荒野の封印を解け

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話。
 この時代に召喚されたマイは、行方不明の仲間を追って、惑星ドルフレアに降りたった。
 星間パトロール中に行方不明になったケイは、千年前にタイムスリップしていた。
 ケイは鉱物資源の密輸を阻止しようと封印した三つのほこらを、後世の仲間に託す。
 託されマイとメドーラは、ケイと共に旅した勇者ローランの子孫のローラスと、ケイのパートナーだったサポートAIのミイに憑依した、神武七龍神のひとりであるグリーンドラゴンのナツキと共に、ほこらの封印を解く旅に出るのであった。


 マイ達は、ひとつ目の封印のほこらの前に立っている。
 それは南の森で見たほこらと同じであったが、こちらの方が古びて見えた。
 森の木々に護られたほこらより、風雨に直接さらされるこちらのほこらの方が、劣化が激しいのだろう。

「これが、封印のほこら。」
「かげろうおケイが遺したほこらね。」
 マイとローラスのふたりが、ほこらの前に並び立つ。
 このふたりこそが、千年前のケイが、封印を解く者に指名したふたりである。
 かげろうおケイとは、千年前に勇者ローランと旅した際に、ケイが呼ばれてた名前だ。

「ほほほ、ふたりとも、八極陣の謎は解けたかの。」
 ふたりの背後から、ミイに憑依したナツキが声をかける。
 八極陣とは、ケイが勇者ローランの子孫に伝えた八種の技の総称。
 この八種の技の先の九つ目。
 それが封印を解く鍵になる。
 南の森のほこらに遺されたケイの音声データから、その事を告げられた。
 しかし、千年を経て伝えられた八極陣は、ヤサメと言う名の剣技として伝わっていた。
 今はコンサートツアー中だが、南の森でケイの音声データを一緒に聞いたユアと、ナツキのアドバイスにより、ヤサメ本来の姿である八極陣の全容を知る事が出来た。
 しかし、八極陣の八種の技の先にあるものは、自分で見つけなければならない。

「うん、さっき風の剣を創った時、よく分かったわ。」
 マイはこのほこらのある峡谷の入り口で、風の剣を創った。
 その時、この峡谷の様子が地図となって頭の中に流れ込んできた。
 ほこらのそばで創る風の剣。
 これがこの場のイデ、この星の集合意思であるイデに働きかけて、そしてイデが何かを伝えようとしているのは、間違いない。

「ええ、マイの風の剣を見て、私にもよく分かった。」
 ローラスもマイの創った風の剣を見て、水の剣とは何かを理解した。
 と同時に、八極陣の先にある九つ目の謎も、理解出来た。

 マイとローラスは見つめあうと、同時にうなずく。
 これからすべき事の確認。
 ふたりは意を決して封印解除に臨む。

 ふたりはソウルブレイドのクダを、思い思いに構える。
 マイは、両手で剣を構えるように、クダを前方に向けて構える。
 ローラスは、剣だったら身体の前で横にするイメージで構える。
 右手でクダを握り、左手で刀身を下から支えるイメージで構える。

 ふたりはこの場所の、この星の集合意思であるイデに話しかける。
 八極陣特有の呼吸法で、この場のイデを身体に取り込む。
 取り込まれたイデは、体内のマナと錬成される。
 ふたりは、ソウルブレイドの剣を展開する。

 マイのソウルブレイドのクダの先から、風が吹き出す。
 ローラスのソウルブレイドのクダの先には、水の珠が浮かぶ。

 マイのソウルブレイドは、この場のイデの意思を体現する。
 マイは風の剣を振りかぶると、封印のほこらに振り下ろす。
 ほこらは風になったイデを吹きかけられる事で、あるべき形にその姿を変える。
 ほこらは、建てられた当初の姿になる。
 今は朽ちて分からなかった細部も、今なら分かる。
 それには、鍵穴らしきものも、含まれる。

 ローラスは、現れた鍵穴らしきものに、水の珠をぶち込む。
 そこに、自分のマナをさらに注ぎこむ。
 ガチャリと、何かが開くような音がした。
 ほこらは展開図を開くように、四方に展開して崩れた。
 中には、一枚の石版があった。
 ローラスはその石版を手にする。
 と同時に、この周りの地形が崩れる。
 この辺りは、壁のように隆起していて、上空から見ると、迷路の様な地形をしていた。

「あぶない!」
 咄嗟にメドーラはソウルブレイドをクダ状のまま横一線に薙ぎ払う。
 剣戟の衝撃波を受けた地面が腐り、壁状の地形の崩壊を一瞬堰き止める。
 そしてマジカルポシェットから浮遊スクーターを取り出すと、近場にいたミイの手を取って浮上する。

「マイお姉さまも、早く!」
 メドーラの言葉にマイも、マジカルポシェットから浮遊スクーターを取り出す。
 と同時に、ローラスは飛び乗り、マイの手を掴む。
 そしてそのまま浮上する。

 壁状の隆起が崩れて更地になったその場所に、マイ達は降りる。
「スターダウトサンドに、ガンマニアン。この地に封印された鉱物資源も、この星の大地に散っていったようだの。」
 今起こった事を、ナツキが説明する。
 これで、ひとつ目の封印が解除された。
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