上 下
216 / 221
荒野を行く

第216話 勇者16年前の真実を知る

しおりを挟む
 崩壊する魔王の城から、俺は脱出する。
 しかし、その直後に気づく。この中にはまだ、美少女ターニャが取り残されていた事を。
 なのにルギア様を自称する妖精さんは、美少女ターニャは崩壊前に死んでると、ほざきやがる!



「あの子はルギア神殿の巫女。そんでもって、私の地上代行者なの!」
 キレそうな俺に、妖精さんが説明する。

「あん?地上代行者?」
「そうよ。」
「私の?」
「そうよ。」

 うん、この妖精さん。何さまのつもりなんだ?
 俺はホントにキレるぞ。

「ねえ、」
 妖精さんは眼光鋭く、俺をにらむ。
「私、言ったよね。私が精霊ルギアだって。」

「俺、会ってるんだよ。本物のルギア様に。」
 俺も自称ルギア様の妖精さんをにらむ。

「はあ、あっちが勇者をたらしこむくらい、成長しちゃったのね。」
 と妖精さんは、ため息をつく。

「おい、俺をたらしこむって、」
「はいはい、この話しはここまで!」
 俺の反論を、妖精さんが即座に遮断する。

「ちゃんと説明したげるから、よく聞きなさい。」
「ぐ、」
 まあ、ここは妖精さんの話しを聞くか。

「16年前、魔王がここ、ルギア神殿の総本山を襲ったわ。魔王の目的は、主にふたつ。ひとつは、ここサーイターマルドにての拠点をゲット。もうひとつは、そうね、勇者のチカラを封じるため、かしら。」
「な、なんだってぇ!」

 よく分からんが、あの美少女ターニャは、16年間、ここで生きながらえたと言う事か!?

「魔王は、ウラワの剣でしか倒せない。それは、ウラワの剣の素材となった、オリハルコン、ミスリル銅、そしてムーンクリスタルが、このサーイターマルドに無いからよ。だからウラワの剣が奉られたルギア神殿を襲うのは、魔王にとっての最良の手段だったのよ。」

「いや、俺は美少女ターニャの事を聞いてるのだが。」
 なんか自称ルギア様の妖精さん、変な方向に話しを持ってくぞ。

「はあ、そのターニャが、私の地上代行者としての効力を最大限発揮したのよ。」
「ん?どゆ事?」
「つまり、私を召喚しようとしたのよ。それも咄嗟だったから、私は魂を引きちぎられ、この姿になった。で、残った脱け殻の方が、あんたが会ったと言う、ルギアね。」

「ま、マジかよ。」
 この話し、信じていいのかな。
 だってこの妖精さんからは、あのルギア様から感じた神々しいオーラを、一切感じない。

「で、美少女ターニャは、どうなった?」
「ひとの肉体が、16年も保つと思う?ターニャは地縛霊となって、あの場の結界を護ってたのよ。」

 そうか、美少女ターニャは死んでたのか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
 初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎  って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!  何故こうなった…  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  そして死亡する原因には不可解な点が…  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)

辺境の最強魔導師   ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~

日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。 アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。 その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。

処理中です...