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荒野を行く

第216話 勇者16年前の真実を知る

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 崩壊する魔王の城から、俺は脱出する。
 しかし、その直後に気づく。この中にはまだ、美少女ターニャが取り残されていた事を。
 なのにルギア様を自称する妖精さんは、美少女ターニャは崩壊前に死んでると、ほざきやがる!



「あの子はルギア神殿の巫女。そんでもって、私の地上代行者なの!」
 キレそうな俺に、妖精さんが説明する。

「あん?地上代行者?」
「そうよ。」
「私の?」
「そうよ。」

 うん、この妖精さん。何さまのつもりなんだ?
 俺はホントにキレるぞ。

「ねえ、」
 妖精さんは眼光鋭く、俺をにらむ。
「私、言ったよね。私が精霊ルギアだって。」

「俺、会ってるんだよ。本物のルギア様に。」
 俺も自称ルギア様の妖精さんをにらむ。

「はあ、あっちが勇者をたらしこむくらい、成長しちゃったのね。」
 と妖精さんは、ため息をつく。

「おい、俺をたらしこむって、」
「はいはい、この話しはここまで!」
 俺の反論を、妖精さんが即座に遮断する。

「ちゃんと説明したげるから、よく聞きなさい。」
「ぐ、」
 まあ、ここは妖精さんの話しを聞くか。

「16年前、魔王がここ、ルギア神殿の総本山を襲ったわ。魔王の目的は、主にふたつ。ひとつは、ここサーイターマルドにての拠点をゲット。もうひとつは、そうね、勇者のチカラを封じるため、かしら。」
「な、なんだってぇ!」

 よく分からんが、あの美少女ターニャは、16年間、ここで生きながらえたと言う事か!?

「魔王は、ウラワの剣でしか倒せない。それは、ウラワの剣の素材となった、オリハルコン、ミスリル銅、そしてムーンクリスタルが、このサーイターマルドに無いからよ。だからウラワの剣が奉られたルギア神殿を襲うのは、魔王にとっての最良の手段だったのよ。」

「いや、俺は美少女ターニャの事を聞いてるのだが。」
 なんか自称ルギア様の妖精さん、変な方向に話しを持ってくぞ。

「はあ、そのターニャが、私の地上代行者としての効力を最大限発揮したのよ。」
「ん?どゆ事?」
「つまり、私を召喚しようとしたのよ。それも咄嗟だったから、私は魂を引きちぎられ、この姿になった。で、残った脱け殻の方が、あんたが会ったと言う、ルギアね。」

「ま、マジかよ。」
 この話し、信じていいのかな。
 だってこの妖精さんからは、あのルギア様から感じた神々しいオーラを、一切感じない。

「で、美少女ターニャは、どうなった?」
「ひとの肉体が、16年も保つと思う?ターニャは地縛霊となって、あの場の結界を護ってたのよ。」

 そうか、美少女ターニャは死んでたのか。
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