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荒野を行く
第206話 勇者交渉決裂
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魔王の城の地下宮殿にて、魔王を名乗るおっさんに勧誘される俺。
世界の半分をくれてやると言われる。
さらにこのサーイターマルドは幾つかの階層から成っていて、そのひとつを好きにしていいとの事。
そして、俺の脳裏にたびたび浮かぶ、麗しい女性のシルエット。
おっさんはその正体を知っている!
「ふふふ、どうする勇者ユウタ。私の仲間になれば、そのユミコの事も思い出せるぞ。」
おっさんはニヤける。俺が勧誘を受ける事を、確信している笑みだ。
「お、俺がおまえの仲間になれば、世界を好きに出来るのか?」
俺は確認する。
「そうだ。おまえの好きに、次元改変すればいいさ。」
次元改変。
前回も出てきた単語だ。
その世界に君臨する者として、自由に改変出来るって事だろうか。
「そう言えば、おまえも次元改変してるって、言ってたな。」
前回おっさんは、そんな事を言っていた。
「それは、この世界の人間が自由意志を失っている事を指すのか?」
俺は心に浮かんだ疑問をぶつけてみる。
「そうだぜ。完成まで、あと1時間ってとこかな。」
おっさんは邪悪な笑みを浮かべる。
「そうか。」
俺は道具袋に手を入れ、ルギアのお守りを握りしめる。
これに残り時間が表示されている。
だけど俺は、その確認をしなかった。
「おまえがみんなの意思を、ローザの想いを奪ったんだな。」
俺はキリッとおっさんをにらむ。
「だが、おまえが仲間になれば、そのローザの想いとやらも、取り戻せるぞ。それに、ユミコの事だって思い出せる。」
「なに?」
おっさんの提案に、俺の心が揺れる。
「せ、世界を思い通りに出来るって事は、ローザを救う事も出来るのか。」
「ああ、そうだ。」
「それに、ユミコ?とやらの記憶も取り戻せる。」
「ああ、そうだ。」
「二百話もヒロイン不在なこの作品も、生まれ変われるのか。」
「ああ、そうだ。」
「俺の死んだ姉さんも、生きてる世界が創れるのか!」
「ああ、そうだ。」
なんと!
おっさんの勧誘を受ければ、俺の望みは全て叶うのか!
「どうだ勇者ユウタ。私の仲間にならないか。」
俺の揺れる心を見透かし、おっさんは再び勧誘をかける。
「なるほど。おまえの仲間になれば、俺の願いは全て、叶うらしい。」
「ふふふ、そうであろう。」
おっさんは俺に向かって右手を差し出す。
契約の握手。
この手を握れば、俺はおっさんの仲間になって、次元改変した世界をゲット出来る!
俺も右手を差し出す。
「ふふふ、おまえの願い、これで叶うぞ。」
パシ。
俺はおっさんの右手をはじく。
「だが断る!」
「なに?」
「おまえは魅力的な条件を提示してくれた。だがなあ、ローザをあんな目にあわせたおまえを、許す事は出来ねーんだよ!」
「そうか。私の仲間になればローザも元に戻るのに、私の申し出を断るのか。」
おっさんは右手を引っ込めると、座ってた玉座から立つ。
「いいだろう。おまえの首を、ローザの首と一緒に城門に飾ってやるぜ!」
世界の半分をくれてやると言われる。
さらにこのサーイターマルドは幾つかの階層から成っていて、そのひとつを好きにしていいとの事。
そして、俺の脳裏にたびたび浮かぶ、麗しい女性のシルエット。
おっさんはその正体を知っている!
「ふふふ、どうする勇者ユウタ。私の仲間になれば、そのユミコの事も思い出せるぞ。」
おっさんはニヤける。俺が勧誘を受ける事を、確信している笑みだ。
「お、俺がおまえの仲間になれば、世界を好きに出来るのか?」
俺は確認する。
「そうだ。おまえの好きに、次元改変すればいいさ。」
次元改変。
前回も出てきた単語だ。
その世界に君臨する者として、自由に改変出来るって事だろうか。
「そう言えば、おまえも次元改変してるって、言ってたな。」
前回おっさんは、そんな事を言っていた。
「それは、この世界の人間が自由意志を失っている事を指すのか?」
俺は心に浮かんだ疑問をぶつけてみる。
「そうだぜ。完成まで、あと1時間ってとこかな。」
おっさんは邪悪な笑みを浮かべる。
「そうか。」
俺は道具袋に手を入れ、ルギアのお守りを握りしめる。
これに残り時間が表示されている。
だけど俺は、その確認をしなかった。
「おまえがみんなの意思を、ローザの想いを奪ったんだな。」
俺はキリッとおっさんをにらむ。
「だが、おまえが仲間になれば、そのローザの想いとやらも、取り戻せるぞ。それに、ユミコの事だって思い出せる。」
「なに?」
おっさんの提案に、俺の心が揺れる。
「せ、世界を思い通りに出来るって事は、ローザを救う事も出来るのか。」
「ああ、そうだ。」
「それに、ユミコ?とやらの記憶も取り戻せる。」
「ああ、そうだ。」
「二百話もヒロイン不在なこの作品も、生まれ変われるのか。」
「ああ、そうだ。」
「俺の死んだ姉さんも、生きてる世界が創れるのか!」
「ああ、そうだ。」
なんと!
おっさんの勧誘を受ければ、俺の望みは全て叶うのか!
「どうだ勇者ユウタ。私の仲間にならないか。」
俺の揺れる心を見透かし、おっさんは再び勧誘をかける。
「なるほど。おまえの仲間になれば、俺の願いは全て、叶うらしい。」
「ふふふ、そうであろう。」
おっさんは俺に向かって右手を差し出す。
契約の握手。
この手を握れば、俺はおっさんの仲間になって、次元改変した世界をゲット出来る!
俺も右手を差し出す。
「ふふふ、おまえの願い、これで叶うぞ。」
パシ。
俺はおっさんの右手をはじく。
「だが断る!」
「なに?」
「おまえは魅力的な条件を提示してくれた。だがなあ、ローザをあんな目にあわせたおまえを、許す事は出来ねーんだよ!」
「そうか。私の仲間になればローザも元に戻るのに、私の申し出を断るのか。」
おっさんは右手を引っ込めると、座ってた玉座から立つ。
「いいだろう。おまえの首を、ローザの首と一緒に城門に飾ってやるぜ!」
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