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荒野を行く

第197話 勇者美少女に会う

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 魔王の城の地下四階まで進んだ俺は、なんと妖精さんの妨害を受ける!
 助けを求める妖精さんだが、俺をネクラなオタク野郎とののしる!
 そんな妖精さんが青いドラゴンの攻撃を受けた時、俺は自然と妖精さんを助けてしまった。
 おかげで、魔王の城に突入して初めての、大ダメージを受けてしまった。


「ケガはないか。」
 俺は前回助けた妖精さんに、声をかける。
「わ、私は大丈夫だけど、あんたはどーなのよ。」
 妖精さんは自分の事より、俺の事を気づかってくれる。
 俺の目の前は真っ赤だ。
「なーに、大丈夫さ。ヒーリングっと。」
 俺は中級回復呪文を唱える。
 さすがに全回復とはいかないが、俺の装備しているウラワの鎧は、歩くだけでヒットポイントが回復する、優れモノ。

 で、一歩歩いたら青いドラゴンの魔物に遭遇。
 不覚にも先手を取られた!
 だけど炎の剣で一撃で倒す。

 折角回復したのに、またダメージを受けてしまった。

「ちょっと、ネクラなオタクのくせに、カッコつけないでよ。」
 妖精さんは傷つく俺を、ゴミを見るような目で見てくる。

「はあ?助けてやったのに、そんな事ゆーの?」
 俺は思わず反論する。
「あら、私がかわいいからって、いいトコ見せようってしてたんじゃないの?」
 と妖精さんはニヤける。

 すちゃ。
 俺は炎の剣を構える。
 消し去りたい、この笑顔。

 こいつとの会話は、ローザにも聴かれてる。
 俺のイメージが悪くなる前に、こいつは殺しておこう。

「な、何かしら、そんな物騒なモン見せつけて。」
 妖精さんの声が震える。
 さすがに自分の運命を悟ったらしい。

 うん、俺も教えてもらったよ。世の中には人の好意を悪意で返すヤツが居るって事を。
 ありがとう、さようなら!

「ま、待ってください、勇者様!」
 炎の剣を振りかぶる俺に、少し先の曲がり角から出てきた美少女が声をかける。
「た、ターニャ?何出てきてんのよ、危ないわよ!」
 妖精さんは美少女を注意する。

 実際その美少女に、青いドラゴンの魔物が襲いかかる!
 俺はすぐさま駆け寄り、振り上げたままの炎の剣を振り下ろす!
 青いドラゴンの魔物を倒した!

「あ、ありがとう、ございます、勇者、様。」
 ターニャと呼ばれた美少女は、フラついて、俺の胸にもたれかかる。
「もう、私が助けを呼んでくるまで、待てなかったの?危ないでしょ。」
 妖精さんは、ターニャを注意する。

「あ、あなたが勇者様を侮辱するから、つい。」
 ターニャは俺にもたれながら、妖精さんに答える。

「ぶ、侮辱って、私は真実を、って、今はそれどころじゃないわね。ついてきて、勇者様。」
 俺を散々罵った妖精さんは、誤りもせず、命令してきた。

 俺はちょっとムッとするが、今はターニャの危険が危ない。
 俺はターニャをお姫様抱っこすると、妖精さんの後を追った。
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