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荒野を行く

第196話 勇者妖精さんに会う

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 魔王の城の地下四階にて、俺は何者かの襲撃を受ける。
 魔物の気配とかはしないが、四文字の文字ブロックをぶつけられる。
 その四文字は、「て」「け」「す」「た」。
 これになんの意味があるのだろうか。


 まあ何にせよ、次ぶつけてきたら、とっ捕まえてやる。
 俺は後方に意識を向けながら、前方に目線を動かす。

 したら、目の前になんか居た!

 ひと言で言うなら、手のひらサイズの妖精さんだ。
 その妖精さんが、俺の目の前に浮かんでる。
 しかも、何か怒ってるご様子。

「あんたねえ、無視するなんて、ひどくない?」
 俺が驚きの声をあげる前に、妖精さんがまくしたてる。

「私が助けてって言ってるのに、なんで無視するのよ!」
 あ、なるほど。あの「て」「け」「す」「た」の文字ブロックは、「たすけて」と並べるのか。

「まったく、やっと助けが来たと思ったら、はあ、こんなヤツだなんて、正直がっかりよ。」
 妖精さんは、大きくため息をつく。

 なんか知らんが、ひどい言われようだ。

「ちょっと。あんたも何か言いなさいよ。」
 自分の言いたい事を言い終えた妖精さんは、俺の発言をうながす。

「あ、いや、その。」
 基本ひとり旅な俺は、会話スキルが磨かれる事はなかった。
 この状況で、うまく言葉が出ない。
 この妖精さんは何者で、なぜ助けを求めてるのか。
 聞きたい事は山ほどあるのに、なんて聞いたらいいんだろ。

「え、嘘、あんたひょっとしてネクラなオタク?」
 言葉につまる俺を見て、妖精さんは失礼な事を言いやがった!

「は、はあ?俺は勇者だし。勇者としてアクティブに行動中だし!」
 まったく、この俺のどこを見たら、ネクラなオタクになるのか。
 俺との会話は、ローザにも筒抜けなんだぞ。
 変に誤解されたら、どーするんだ!

「ちょ、ちょっと!何大声出してるのよ、こんな所で!」
 妖精さんは、なぜか慌てる。
 うん、あんたの方が大声出してるよね。

 ぐがー!
 いきなりウロコが青いドラゴンの魔物の咆哮!
 妖精さんがうるさいので、魔物を引き寄せてしまった!

「ほ、ほらみなさいよ。あんたのせいだかんね!」
 この期に及んでも、俺のせいにする妖精さん。
 ほんと、ブレねーな。

 青いドラゴンは、いきなり炎をはいた!
 炎攻撃は、確実に妖精さんを狙ってる!

「きゃ、」
 妖精さんが悲鳴をあげる刹那、俺は妖精さんの前に踊り出る!
「ぐはあ!」
 俺は青いドラゴンの炎を、まともに受ける!
 体勢的に、防御もへったくれもない!
 俺の目の前が赤く染まる!

 久しぶりだな、この感覚。

 俺は炎の剣で青いドラゴンを攻撃!
 青いドラゴンを倒した!
 170円落ちていた!
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