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荒野を行く

第188話 勇者残り時間を知る

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 神帝のほこらにて虹の橋を作るのに、50時間もかかった。
 その間俺は、眠っていた。


「ご、50時間ですか?」
 俺は前回神帝アリンバが言ってた時間に、驚く。
「おいおい、天候を利用して作るんだ。時間がかからない訳ないだろ。」
 神帝アリンバは、軽く笑う。

「だ、だけど俺には、時間がない。魔王がサーイターマルドを支配するのも、もう時間の問題のはず。」
 なぜ俺がそう思うのか、分からない。
 その答えは、俺が失った記憶にあると思う。

「それなら、精霊ルギアが告げてったぞ。」
「ルギア様が?」
 なぜここでルギア様の名前が出るのか、俺は驚く。

「ここの天候を利用するんだから、ここの創造神のチカラを借りるのは当然だろ。」
 神帝アリンバは、当然の様に俺の疑問に答える。
 つまり、俺が寝てた時、ルギア様がここに来たのだろうか。

「で、なんかタイムリミット表示しとくって、言ってたぞ。」
 と神帝アリンバは補足する。

「タイムリミット表示?」
 そんなん、どこに表示するんだろ。
 俺はおもむろに、ルギアのお守りを取り出す。
 あったよ、表示。

 23:45:16

 最後の16が15になる。
 つまり、あと23時間と45分って事か。
 すでに1日切ってるね。

 だけど、なぜだろう。
 俺の心は、不思議と落ち着いている。
 50時間もバッチシ睡眠をとったからかな。

 それにサーイターマルドのほぼ全域を走破して、これから行く領域の広さを知ってるのも、でかい。
 距離的に言えば、ムサシからチチブに行った時よりも楽。すでに格下の魔物しか出現しないし。
 魔王の島がどうなってるかにもよるが、多く見積もっても、6時間もあれば、ここから魔王城に行けるんじゃないかな。
 それから魔王城探索、対魔王戦。
 これも6時間。余裕を持って倍の12時間あれば、充分だろう。

「あ、これからあなたは、どうするんですか?」
 これからの時間的余裕を感じて、神帝アリンバに聞いてみる。
 俺を50時間も眠らせて、俺の残り時間を削った神帝アリンバ。
 やはり彼の目的は、有名になる事だろうか。
 今から俺に協力して、神帝アリンバここに有りと、世に知らしめるためだろうか。

「私か?私は、そうだな。理力の回復を待って、元の次元世界に帰る、って所かな。」
「ああ、そう言えば、聖魔大戦がどうのって、言ってましたっけ。」
 ここに来た時、神帝アリンバはそんな事を言ってたっけ。

「でも、神帝アリンバさんはここで400年以上、凍れる時の秘術で止まってたんですよね。」
「それなら大丈夫。この世界と私の世界とでは、時間の流れが違うから。私が魔穴に落ちたすぐ後に、戻れるはずだよ。」

 なんと、よく分からないが、神帝アリンバの物語が、少し改ざんされる気がする。

 俺は虹の橋の使い方を聞いて、神帝アリンバと別れた。
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