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伝説の次元空間編

第176話 勇者タネを使う

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 過去のサーイターマルドを模した次元世界に来た俺は、ユミコにせん別として水鏡の盾を渡される。
 こんな事しても、元の次元世界には影響ないらしい。本当かな。


「はい、これももらって。」
 ユミコは大量のタネを渡してくる。
「な、なんですか、これ。」
 見た事のないそれに、俺はたじろぐ。こんなんもらって、どうしろと。

「それはステータス上げてくれるタネよ。早く食べなさい。」
 とユミコは急かすが、ちょっと待て。
 そこら辺に落ちてた木の実にしか見えないんだが、こんなの食べてお腹壊さない?

「もう、早く食べなさいよ。」
「もぐ!」

 ユミコが俺の口に、無理矢理押し込んできた。
 もぐもぐもぐ。

 俺のちからが2上がった。
 俺のすばやさが1上がった。
 俺のちからが3上がった。
 俺のHPが4上がった。
 俺のすばやさが3上がった。
 俺のMPが5上がった。
 俺のHPが6上がった。
 俺のちからが2上がった。
 …

「なんですか、これ。」
 俺は実際ステータスが上がった事に驚く。
「ふふ、タカスナが使わないで溜め込んでたのよねー。あなたの時代には無い物みたいだし、ちょうど良かったわ。」
 ユミコは断捨離出来て、爽やかな気分だ。
 なんか、勝手に使われて、タカスナが気の毒に思える。

「まあ、この次元世界は消えちゃうんでしょ。だったら、ちゃんと有効活用しないと。」
 ほんと、ユミコさん爽やかすぎる笑顔だ。

「で、これがお待ちかねの、照光子の杖ね。」
 ユミコは照光子の杖を手にする。

「これを渡したら、お別れね。」
 ユミコは悲しげな表情を浮かべる。
「そう、ですね。」
 お別れと言うか、この次元世界が終わる。

「私もタカスナの子孫に、色々聞きたかったけど、それは出来ない事なんだよね。」
 と言ってユミコは、照光子の杖を差し出す。
「えと、それは。」
 俺も言葉につまる。

 新しく出来たこの次元世界では、ユミコに幸せになってほしい。
 そう思ってたが、この次元世界を消さないと、元の次元世界に影響が出る。

「もう、早く受け取りなさい。」
 戸惑う俺に、ユミコは照光子の杖を押し付ける。
 俺が照光子の杖を手にすると、この次元世界を作った時のボタンが現れる。
 この時代に来た時は持ってたけど、いつの間にか、俺の記憶からも消えてたボタン。

「それがこの次元世界のボタンね。」
 ユミコはボタン見つめる。
 俺はうなずく事しか出来ない。

「さあ、早く押しなさいよ。」
 ユミコに急かされるが、どうしよう。
 この先ユミコに起こる事を伝えたい。タカスナと別れてしまう事。
 そんな事、回避してほしい。

「もう、何やってんのよ。」
 ユミコは俺の手首をつかむと、ボタンの上に持っていく。
「ま、待ってよ、ユミコ。」
 まだユミコと別れたくない。

「ユウタ。この時代を救うのはタカスナだけど、あなたの時代を救うのは、ユウタなのよ。」
 ユミコの言葉に、俺はうなずく。
 ユミコは俺の手を押した。
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