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伝説の次元空間編

第173話 勇者酒場に連れ込まれる

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 過去のサーイターマルドを模した次元世界に来た俺は、ユミコに酒場に連れ込まれる。
 俺の年齢設定って、未成年じゃなかったっけ?


「あーら、久しぶりね、ユミコちゃん。」
 酒場に入ると、ひとりの男性が声をかけてくる。

 ヒゲをはやしたのっぽなおじさん。
 緑の帽子に緑の服。青っぽいツナギをはいている。

「お久しぶりです。ルイージさん。」
 ユミコはペコリと頭を下げる。
 俺もつられて、頭を下げる。

「そちらは新人さん?今日はタカスナちゃんは一緒じゃないの?」
 ルイージと呼ばれたおじさんは、ユミコに尋ねてくる。

「はい。今はタカスナと別行動をしてまして。あ、これ、預けに来ました。」
 ユミコはアケミから預かったいなずまの剣を、ルイージさんに渡す。

「分かったわ。預かっておくね。で、そちらの彼は?」
 いなずまの剣を受け取ったルイージさんは、俺に視線を向ける。

「あ、えと、俺、ゆ、ユウタって言います。よ、よろしくお願いします。」
 やべー、長らく他人と話してないんで、言葉がちゃんと出てこなかった。
 これじゃあローザに嫌われてしまう。って、なんでここでローザの名前が出るんだよ。

「ふーん、ユウタちゃんね。あなたタカスナちゃんと同じ目をしてるわね。どれどれ?」
 そうか?そりゃ俺はタカスナの子孫だし、似てるかもだが、俺も本人に会った感想としては、言うほど似てないと思うぞ。

 ルイージさんは俺を値踏みする感じに、じろじろ見てくる。
「あら、ユウタちゃんの職業、勇者の子孫になってるわよ。」
 とルイージさんは突然驚く。
 いや、そんな職業知らんがな。基本、魔物を倒せばお金は手に入る訳だし、職につかなくてもいい。
 働かなくていいのは、こうやって妄想を書き連ねてるヤツの願う所だろ。
 って俺、何言ってんだ?
 てか、魔王を倒した後、この生活はどうなるんだろ。

「ルイージさんは、その人の職業が分かるのよ。」
「え?」
 上記の様な事を考えてたら、ユミコが耳打ちしてきた。
 別に俺、そこに驚いてた訳じゃないんだけどね。

 ルイージさんは、首をかしげてる。
「どうしました?ルイージさん。」
 ユミコが聞いてみる。
「うーん、勇者ってタカスナちゃんの職業でしょ?
 その子孫って、どう言う事かしら?」

 な、何言ってんだ、このおじさん。

「あ、あの、タカスナ以前にも、勇者って居ないんですか?」
「私が知る限り、タカスナちゃんだけよ。あとはタカスナちゃんのお父さんも勇者って呼べなくもないけど、あの人は探究者だった訳だし。」

 探究者?そんな職業が有るのか?普通に冒険者じゃダメなの?

「伝承に残らなかった勇者も、居たかもしれませんね。」
 俺とルイージさんの疑問を、ユミコが解消してくれた。
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