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伝説の次元空間編

第170話 勇者気づく

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 過去のサーイターマルドを模した次元世界に来た俺は、ユミコに道具袋をあさられる。
 ローザの盗聴器は取り戻したが、ルギアのお守りはユミコに取られてしまった。
 ユミコはそれを勇者の証と勘違いした挙句、俺に投げつけてきた。


「ば、バカな!なぜおまえがそれに触れるんだ!」
 ルギアのお守りを投げつけたユミコは、驚きの声をあげる。
 おかげで俺は、貴重な物を粗末に扱うユミコを、叱りそこねた。

「精霊ルギアの加護を受けたアイテムは、魔物には触れられない。
 当然、悪魔軍の手先にも、触れられないはず。
 この私だって、賢者に転職して初めて、触れられるアイテムなのに。
 なぜ悪魔ヘッドのおまえが、触れられるんだ!」

 おいおい、俺が悪魔ヘッドなら、第何弾のヘッドだよ。
 対になる天使ヘッドは、誰なんだ?

「あの、ユミコさん。なぜ俺の事を信じてくれないんですか?」
 俺はルギアのお守りを、にぎにぎしてみせる。
 この事実が、ユミコの中で答えを出してると思う。
 だけどなぜか、ユミコは俺を敵視する。

「ありえないだろ。」
 ユミコはおろおろ首を振る。

「同じ物は、同じ次元空間に、同時に存在出来ない。
 おまえが言う事が本当なら、照光子の杖を持ち帰った時点で、世界は次元空間ごと滅ぶ。」

 ユミコは恐ろしげな事を、平然とつぶやく。
 だけど俺も、理解する。
 だから俺を、認めないんだと。

「あー、えっと、俺が来た未来ってのは、厳密に言えば、この時代の時間軸の先にある未来では、ないんですよ。」

 俺の言葉に、ユミコも怯えた感じで俺を見つめる。
「何が起きてる?」

「えと、この次元空間はですね、元の時代の次元空間を、コピーしたものなんです。」
 確か元の時代のユミコが、そう言ってたよな。
 この時代のユミコは、怯えた感じで俺を見ている。

「えと、俺の時代の照光子の杖が本来の使い方されてて、俺がゲットする事が出来ないから、このコピーした次元空間から、もらってこようと言う訳でして、この次元空間の照光子の杖をゲットしたら、なんか元の次元空間にも影響与えるかもしれないんで、この次元空間は、」
「まてまてまて!」

 ユミコが愕然としてるんで、俺が覚えてる限りの説明をしてたら、ユミコが制止する。

「つまり、おまえは照光子の杖目当てで、この次元空間をわざわざ作ったのか?」
「まあ、そうなりますね。」
 ユミコに問われ、俺はそう答える。

「この世界は、おまえが照光子の杖をゲットしたら、消されちゃう、と言う事か。」
「あ、」

 ユミコに言われて、初めて気がついた。
 この世界の人たちはみな、消されてしまう事に。
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