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ローザ姫との密会編

第142話 勇者後悔する

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 俺に魅了呪文をかけたのは、ユミコではないらしい。
 ならばローザが犯人だと思うのだが、ローザは魅了呪文を使えない。
 ならば、真犯人はいったい、誰なんだ?


「じゃあ、俺に魅了呪文をかけたのは、誰なんだよ!」
「ふふふ、さあ?誰なんでしょうね?」
 俺が真剣に悩んでるのに、ローザはニヤけてやがる。

 そこがムカつくのだが、そこが魅力的なのもまた事実。

「屈しないからな。」
 俺はローザをにらみつけて、虚勢をはる。
 誰の陰謀だか知らんが、このままローザに惚れる訳にはいかない!

「その虚勢、いつまで保つかしら。」
 ローザはこれ見よがしに、満面の笑みを見せつける。

「く」
 俺はドキっとしながら、視線をそむける。
 瞳を閉じたら、まぶたの裏にローザの笑顔が焼き付いていやがる!

「ねえユウタってさあ、私の事嫌いなの?」
 ローザが悲しげな口調で聞いてくる。
 それまでの挑発的な口調とのギャップが、俺のハートを鷲掴む。

「私、嫌われるような事、何かしたかな。」
「え?」

 ローザに言われて、俺は考えこむ。
 そう言えば、なんで俺はローザの事を拒絶してるんだ。

「ローザはかわいい。ロリコンじゃない俺でも、ローザのかわいさは、認めざるをえない。
 じゃあなぜ、俺はローザを拒絶する?最初の出会いはどうだった?そこから考えれば、何か答えが出るかもしれない。
 確か、ドラゴンさんを倒したから、かたきと狙われてんだよな。いきなり蹴りを入れられたし。
 あの蹴りは効いた。俺はダウンして、あ、あの時ローザの上に倒れたんじゃないか?
 え、幼女を押し倒したの?ただのロリコンじゃん。
 そうか、俺はロリコンを否定したいから、ローザに惚れる訳にはいかないんだ。
 ローザがガキじゃなければ、普通に惚れても問題ないんだろう。
 ローザもスーシ姫くらいのお年頃だったら、そうか、タカスナがスーシ姫に落とされたのも、そのせいか。」

「ユウタ、そんな事考えてたの?」
 なぜかローザがドン引いてる。

「え?考えてたのって、おまえ、人の心が読めるのか!」
 俺はローザの固有スキルに驚く。

「そうかこいつ、俺をもて遊んでやがるんだ。
 誰かに魅了呪文を使わせて、俺の心を読んで!
 くそ、ドラゴンさんを倒したばっかりに、ローザの性根を歪ませてしまったのか!
 済まない、ドラゴンさん。あんたが守ってたローザを、俺はとんでもない性悪女にしてしまった!」

 パシん!

 いきなりローザにぶたれた。

「ドラゴンさんは、関係ないでしょ!」
 ローザは瞳に涙を溜めている。
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