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ローザ姫との密会編
第139話 勇者タカスナの死因を知る
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ローザから受け取った聖なる霧吹き。
これには、勇者ウラワにまつわる話しがあるらしい。
勇者ウラワが魔王を倒した後の事は、よく知られていない。
ただ姿を消したとしか、後の世には伝わっていない。
「ふーん、勇者ウラワの子孫でも、知らないのね。」
「な、なんだよ、ローザも知らないんだろ。」
なんかローザの言い方が、シャクに触った。
「知ってるわよ、ウラワは時の王の娘、お姫様とかけおちしたのよ。」
「え、なんでローザが知ってんだよ、その事を。」
それは、ユミコから以前聞いた話しだ。だけど、かけおちとは聞いてない。
「この聖なる霧吹きはね、そのかけおちしたお姫様が、持ってきた物なの。」
「え、スーシ姫が?」
「スーシ姫?やっぱりユウタは知ってるんじゃん。」
「いや、これは、」
俺はユミコから聞いたと言いかけたが、言葉にしなかった。
俺は思わずユミコを見る。ユミコは、驚きの表情を浮かべてる。
「勇者ウラワはね、かけおち後すぐに、命を落としたわ。
なんでも、ウイルス性の心臓病ですって。」
それを聞いて、ユミコの顔が青ざめる。
確かユミコは、勇者ウラワがスーシ姫と結婚した馴れ初めを聞いて、神々の仮死の秘法を使ったんだっけ。
だからユミコは、結婚直後のウラワまでしか知らない。
「産まれたばかりの赤ちゃんを抱いて、姫は戻って来たそうよ。
でも姫の兄であるゴハン2世は、姫を許さなかった。
父のゴハン1世が、失意のうちに亡くなったからね。」
ローザの話しを、ユミコは驚きの表情で聞いている。
いつもクールビューティなユミコだが、こんな取り乱しそうなユミコを、俺は知らない。
「でも、ゴハン2世の妃は、哀れに思ったのね。
その姫とも親睦があったから。ゴハン2世には内緒で、色々援助したそうよ。」
なるほど、今の俺があるのは、その妃様のおかげなのか。
ローザは話しを続ける。
「姫は妃に言ったそうよ。晩年の勇者ウラワの事を。
勇者ウラワは、仲間だった女賢者の名を呼び続けたそうよ。
済まない、ユミコって。」
それを聞いて、ユミコの瞳から涙があふれる。
俺とローザの視線に気づいたユミコは、この場から逃げだした。
「待ってユミコ!」
追いかけようとする俺を、ローザが止める。
「は、離せよ。」
「ひとりにさせたげなさい。誰にだって、ひとりになりたい時くらい、あるわよ。」
「く、」
ローザにさとされ、俺はユミコに駆け寄りたい気持ちを、グッと押さえる。
「やっぱりユミコお姉さまだったのね。勇者ウラワの仲間の、女賢者って。」
女賢者だかは知らないが、ここまで知られていては、隠す事もないだろう。
「ああ、ユミコは勇者ウラワと旅をした、仲間のひとりだ。」
これには、勇者ウラワにまつわる話しがあるらしい。
勇者ウラワが魔王を倒した後の事は、よく知られていない。
ただ姿を消したとしか、後の世には伝わっていない。
「ふーん、勇者ウラワの子孫でも、知らないのね。」
「な、なんだよ、ローザも知らないんだろ。」
なんかローザの言い方が、シャクに触った。
「知ってるわよ、ウラワは時の王の娘、お姫様とかけおちしたのよ。」
「え、なんでローザが知ってんだよ、その事を。」
それは、ユミコから以前聞いた話しだ。だけど、かけおちとは聞いてない。
「この聖なる霧吹きはね、そのかけおちしたお姫様が、持ってきた物なの。」
「え、スーシ姫が?」
「スーシ姫?やっぱりユウタは知ってるんじゃん。」
「いや、これは、」
俺はユミコから聞いたと言いかけたが、言葉にしなかった。
俺は思わずユミコを見る。ユミコは、驚きの表情を浮かべてる。
「勇者ウラワはね、かけおち後すぐに、命を落としたわ。
なんでも、ウイルス性の心臓病ですって。」
それを聞いて、ユミコの顔が青ざめる。
確かユミコは、勇者ウラワがスーシ姫と結婚した馴れ初めを聞いて、神々の仮死の秘法を使ったんだっけ。
だからユミコは、結婚直後のウラワまでしか知らない。
「産まれたばかりの赤ちゃんを抱いて、姫は戻って来たそうよ。
でも姫の兄であるゴハン2世は、姫を許さなかった。
父のゴハン1世が、失意のうちに亡くなったからね。」
ローザの話しを、ユミコは驚きの表情で聞いている。
いつもクールビューティなユミコだが、こんな取り乱しそうなユミコを、俺は知らない。
「でも、ゴハン2世の妃は、哀れに思ったのね。
その姫とも親睦があったから。ゴハン2世には内緒で、色々援助したそうよ。」
なるほど、今の俺があるのは、その妃様のおかげなのか。
ローザは話しを続ける。
「姫は妃に言ったそうよ。晩年の勇者ウラワの事を。
勇者ウラワは、仲間だった女賢者の名を呼び続けたそうよ。
済まない、ユミコって。」
それを聞いて、ユミコの瞳から涙があふれる。
俺とローザの視線に気づいたユミコは、この場から逃げだした。
「待ってユミコ!」
追いかけようとする俺を、ローザが止める。
「は、離せよ。」
「ひとりにさせたげなさい。誰にだって、ひとりになりたい時くらい、あるわよ。」
「く、」
ローザにさとされ、俺はユミコに駆け寄りたい気持ちを、グッと押さえる。
「やっぱりユミコお姉さまだったのね。勇者ウラワの仲間の、女賢者って。」
女賢者だかは知らないが、ここまで知られていては、隠す事もないだろう。
「ああ、ユミコは勇者ウラワと旅をした、仲間のひとりだ。」
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