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勇者の証回収へ

第132話 勇者素敵なレディに謝罪する

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 精霊ルギアからのご神託で、ある座標軸を言われたが、その場所を特定する手段が、俺にはなかった。
 だからGPS付きのストーカーアイテムを持つローザに頼ったのだが、なんとローザはガキのくせに、化粧して色気づいてた。


「ユウタのバカ!もう知らない!」がちゃ。
「おいローザ!」
 ローザから一方的に、通信を切られてしまった。

 ローザは俺の日常会話を、逐一盗聴している。おまけに、俺の居る座標軸も分かる。
 対して俺は、ローザの許可なく会話も出来ない。
 なんて不公平なんだ!

「ユウタ、ローザに謝りなさい。」
 俺がローザへの怒りをつのらせてると、ユミコがたしなめてくる。
「はあ?何で俺が謝るんだよ。」
「いいから、謝りなさい。」
「う、」

 ユミコの迫力に、思わずたじろいでしまう。
 確かに、ローザには毎日謝罪するって言ったけど、今日の分はすでに、謝ってるよな。
「ろ、ローザ、ごめんなさい。」
 ユミコに言われては、俺も従うしかない。

「ドラゴンさんを殺してしまって、ごめんなさい!」
「何よユウタのバカ!変態!スケベ!」

 ローザから応答が返ってきたが、なぜか罵倒される。
「はあ?何で俺がスケベなんだよ。ちゃんと謝ってるだろ!」
 俺も、化粧して色気づいたガキに、変態呼ばわりされたくない。

「はあ、ローザに謝るのよ。素敵なレディのローザに。」
「はあ?」
 あきれた様に言ってくるユミコに、俺は意味が分からない。

「ローザ、聞こえる?」
「ユミコお姉さま。」
 ユミコは俺にあきれて、ローザに話しかける。

「ローザ、昔の勇者はね、お姫様に惚れちゃったのよ。」
「な、それって。」
 ユミコよ、なぜ今それを言う。

「そのお姫様ってね、当時12歳だったのよ。だからローザも、あと2年もしたら、ユウタも惚れちゃうお姫様になってるわ。」
「ユミコお姉さま。」

 ユミコの言ってるのは、勇者ウラワとスーシ姫の事に違いない。
 ウラワの事が好きだったユミコに、なんて事を言わせてしまったのだろう。

「ローザ、ごめん。ガキなんて言って、ごめん。」
 俺にも意地はあった。ガキのローザが素敵なレディだとは、とても思えない。
 だけどこの事で、ユミコにつらい過去を語らせる事の方が、俺は耐えられなかった。

「そ、そうね。バカなユウタのくせに、やっと自分の間違いに気づいたようね。こ、今回は、許してあげるわよ。」

 ローザもちょっと機嫌直してくれた。
 俺はちらりとユミコを見る。
 悲しげな表情を浮かべてたユミコだが、俺の視線に気づいたのか、「何かしら?」って感じに、ほほえみ返す。
 俺は思わず視線をそらす。

「ごめん、ユミコ。」
 俺はぼそっとつぶやいた。
 これが、ローザには聞かれない事を願いながら。
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