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章なしで行きたいんだが~オオミヤからチチブへ

第119話 勇者ゴールドゴーレムをまとう

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 チチブの入り口で、ゴールドゴーレムの大技をくらう俺。
 戦闘の間合いから遠く弾き飛ばされたが、ゴーレムはゆっくり歩み寄る。
 以前は仏像形態に戻ったのに、今回は違う!


「ご、ゴールドゴーレムに一度見せた技は、二度と通じないわ。
 なんで倒しておかなかったのよ!」
「し、知らんがな。」
 ユミコが衝撃の事実を伝える。
 精霊の笛の効果って、一度だけなの?
 それ、早く言ってよ。

 ゴーレムはまた、あの大技を繰り出そうとする。
 ここまでか。

 俺は観念するが、同時に、何か強い力を感じる。

 俺とゴーレムとの間に、なんと、もう一体のゴーレムが現れる。
 半人半馬で、弓矢をつがえたゴールドゴーレム。

「あれは、サジタリウスのゴールドゴーレム?」
 そのゴーレムを見て、ユミコがつぶやく。
 そういやゴールドゴーレムって、十二体いるんだっけ。

 サジタリウスはバラバラに分解される。
 そしてそのパーツが俺の全身を包む。
 ゴーレムは、何かのオブジェ形態から黄金の騎士に姿を変える。
 その黄金の騎士の鎧を、俺が着込んだ形になる。

「す、すげー!なんだこの力は!」

 俺は魂の根源から、力があふれてくるのを感じる!
 これが五感や六感を超えた先にある力、第七感か。
 なんか、心の奥底に宇宙が無限に広がるのを感じるぜ。
 アリエスのゴールドゴーレムが言ってたのは、この事か。

 敵の黄金の騎士が、大技を繰り出そうとしていた。
 俺が二度もくらった、あの技。
 以前はどんな技かも分からなかったが、ゴールドゴーレムを装着した今なら、分かる。
 分かるなら、かわせる。
 なるほど、ゴールドゴーレムに同じ技は二度と通じないとは、この事か。

 俺は大きくジャンプしてかわす。
 が、なんだこの跳躍力は。
 ジャンプと言うより、空を翔けると言う方がふさわしい。

 今度は、こっちの番だ!
 だけど一度見せた技は、二度と通じない。
 ならば、この一撃に全てをかける!

 俺は鋼の剣を両手で握る。
「いくぞ、鋼の剣稲妻重力落とし!」
 そのまま黄金の騎士めがけて、急降下!

 ピシっ!

 だが、第七感に目覚めた俺の力に耐えきれず、鋼の剣が折れてしまった!
「くそ!」
 俺はそのまま、ただの急降下キックを放つ!

 敵の黄金の騎士がよろめく。
 そっか、技ならかわされる。だけど普通のパンチやキックなら、話しは別だ!
「くらえ、普通のパンチの連続攻撃!」

 光速に近い動きが可能になった今、一秒間に一億発のパンチを繰り出す事も可能!

 俺は敵黄金の騎士の前方から後方へと、パンチを連打しながら移動する。

 敵黄金の騎士は真上に吹っ飛び、地面に叩きつけられる。
 その輝きが影り、仏像のオブジェに戻る。
 そして、どこかに飛び去った。

「ありがとう、友を救ってくれて。」
 俺の脳裏に、サジタリウスの声が響く。

 サジタリウスのゴールドゴーレムは、俺の身体から離れると、オブジェ形態になる。
 仏像のオブジェがあった場所に、サジタリウスのオブジェが収まる。

 これからは彼が、城塞都市チチブを護るのだろう。
 それを見届けると、俺は力尽きた。
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