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ローザ姫救出編

第110話 勇者姫と供に凱旋する

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 ローザを海底洞窟から救い出した俺は、ユミコに魅了呪文をかけられてしまう。
 ユミコは俺をロリコン犯罪者に仕立てて、何がしたいのだろうか。


 ローザをお姫様抱っこする俺の前に、バレーボールに目と口をつけた様な魔物が現れる。
 あ、破邪呪文使うの忘れてた。
 お姫様抱っこで両手がふさがってるが、何とかなるだろう。
 と思ってたら、魔物は逃げだした。

 ふ、残念だったな、ローザ。
 魔物に俺を殺させるおまえの企みは、見事に外れたぞ。
 と思ってたら、ローザはなぜか安堵してやがる。
 なんだこいつ。やっぱ魔物が怖いのか?

 なんて思ってたら、オオミヤ城が見えてきた。

「ここはオオミヤ城です。ま、まさかその御方は、」
 お城の門番が、俺にお姫様抱っこされたローザを見て、言葉を失う。
 ローザはニコリとうなずく。

「ま、まさか、ローザ姫は死んだはず。」
 門番は顔が青ざめている。
 まあ、死んだと思ってたローザが、生きていたんだ。無理もない。
 俺はそんな門番を無視して、お城に入る。

「ローザ姫さまが、生きてたんだって?」
「勇者様が、ローザ姫さまを救ってくださった。」
「おお、ローザ姫さまの美しさは、損なわれていない。」
「なんてお美しい。」
「やはりローザ姫さまのお美しさは、この国の宝。」
「ローザ姫さま、ばんざーい。」
「ち、あいつ、勇者だからって、馴れ馴れしいな。」
「くそ、あの役目は、俺の役目だったのに。」
「俺たちのローザ姫さまに手を出したあいつは、万死に値する!」

 俺たちは、熱烈歓迎を受ける。
 俺にお姫様抱っこされたローザは、にこやかに手を振って、みんなの声に答える。

「さ、勇者様。王様がお待ちかねです。
 一刻も早く、ローザ姫さまを王様の元へ。」
 階段のそばの兵士が、そう告げる。

 一刻も早くって言うなら、話しかけてくるなよ。
 その分遅れるだろうが。

 ともかく俺は階段を登る。
 と同時に、にこやかだったローザの表情も影る。
 俺にかけられてた魅了呪文の効果も、切れたのだろうか。
 カスカベの宿屋ではあんなにドギマギしたのに、オオミヤ城での笑顔を見ても、普通にかわいいとしか思わなかった。

「ふう、これから面倒な事が起こるわ。
 ほんと、私の事なんか、そっとしといてくれれば良かったのに。」
「え?」
 ローザは俺にしか聞こえない様な小声で、はっきりと俺に告げてきた。

 だけど、ローザの言葉の意味が分からない。
 俺の後ろを歩くユミコには、聞こえなかったらしい。
 ユミコは顔色ひとつ変えず、普通に歩いている。

 すでに階段を登りきり、玉座の間のすぐそばまで来ているので、聞き返すだけの時間的、距離的余裕はなかった。
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