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ユミコ奪還編~十二宮殿の戦い

第96話 勇者生存確率ゼロパーセントだった

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 俺がユミコを助けに行った、十二宮殿。
 あそこは俺にとって、絶対突破不可能な、死亡確定の場所だった。


「最初の宮殿って事は、アリエスが味方してくれたのね。」
「名前までは、知らないけどね。」
 ユミコの言葉に、とりあえず俺はうなずく。

「そのゴーレムが言ってたんだよ。最強の鎧と勇者の証が必要だって。
 ウラワの鎧があれば、少しは戦えたのかな。」
「とんでもない!」
 俺の何気ないひと言に、ユミコが素っ頓狂な声をあげる。

「ゴールドゴーレムの言う最強の鎧は、ウラワの鎧じゃないわよ。
 それはゴーレム達と同じ素材、オリハルコンにガマニオン、スターダストサンドで作った鎧よ。
 この素材は、サーイターマルドには存在しないわ。」
「え、そーなの。」
 ユミコのひと言に、俺の血の気が引いていく。
 あの時の俺、勝機ゼロだったんじゃん。
 おまけにサーイターマルドじゃなかったから、勇者専用の転移蘇生の儀式の効果範囲外。
 つまり、ルギア様は俺を殺そうとしていた事になる。

「どうやら、事の重大さが分かったようね。」
 ユミコの言葉に、俺はすげー勢いでうなずく。
「さらに言うと、最強の鎧と勇者の証がそろっていても、ゴールドゴーレムには勝てないわよ。
 第七感に目覚めてないとね。」

「第七感?」
「そう、五感や六感の先にある感覚。第七感。
 この感覚を身につけないと、ゴールドゴーレムとは戦えないわ。」
「なん、だと。
 その第七感は、どうやって身につけたらいいんだ。」
「それはね、」
 と言いかけて、ユミコは首をふる。

「よしましょう。その必要はないのだから。」
「え、でも。」
「それは、ルギア様率いる聖戦に巻き込まれない限り、必要ないから。」
 ユミコは笑顔で言ってくるが、俺は何処か納得いかない。

「もう、ユウタ、あなたの使命は魔王を倒す事でしょ。
 ルギア様率いる聖戦云々は、別の物語でしょ。」
「う、うん。そうだね。」
 ユミコの言葉に、俺は納得するしかなかった。

「あ、魔王と言えば。」
 ユミコの口から魔王と言う単語が出たので、俺は気になった。
 でも、どう聞けばいいんだ?

「えと、勇者ウラワの幻の金水晶って、3つあったみたいなんだけどさ、」
「え、そうなの?」
「え、ゴッドドラゴンから授かったんでしょ?」
「あー、あの時私達は、敵の足止めしてたから。
 ゴッドドラゴンと会ったのは、タカスナひとりなんだよね。」
「それじゃあユミコは、ウラワが授かった3つの宝玉を知らないの?」
「ええ。あの時戻ってきたタカスナは、とても哀しい顔をしていたわ。
 私達は、何があったのか、何も聞けなかったわ。」
「そう、なんだ。」

 つまりユミコは、魔王こと竜王が、その時ウラワが授かった卵から孵った事を、知らない。
 幻の金水晶と竜王との関係を、ユミコは知らない。
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