96 / 221
ユミコ奪還編~十二宮殿の戦い
第96話 勇者生存確率ゼロパーセントだった
しおりを挟む
俺がユミコを助けに行った、十二宮殿。
あそこは俺にとって、絶対突破不可能な、死亡確定の場所だった。
「最初の宮殿って事は、アリエスが味方してくれたのね。」
「名前までは、知らないけどね。」
ユミコの言葉に、とりあえず俺はうなずく。
「そのゴーレムが言ってたんだよ。最強の鎧と勇者の証が必要だって。
ウラワの鎧があれば、少しは戦えたのかな。」
「とんでもない!」
俺の何気ないひと言に、ユミコが素っ頓狂な声をあげる。
「ゴールドゴーレムの言う最強の鎧は、ウラワの鎧じゃないわよ。
それはゴーレム達と同じ素材、オリハルコンにガマニオン、スターダストサンドで作った鎧よ。
この素材は、サーイターマルドには存在しないわ。」
「え、そーなの。」
ユミコのひと言に、俺の血の気が引いていく。
あの時の俺、勝機ゼロだったんじゃん。
おまけにサーイターマルドじゃなかったから、勇者専用の転移蘇生の儀式の効果範囲外。
つまり、ルギア様は俺を殺そうとしていた事になる。
「どうやら、事の重大さが分かったようね。」
ユミコの言葉に、俺はすげー勢いでうなずく。
「さらに言うと、最強の鎧と勇者の証がそろっていても、ゴールドゴーレムには勝てないわよ。
第七感に目覚めてないとね。」
「第七感?」
「そう、五感や六感の先にある感覚。第七感。
この感覚を身につけないと、ゴールドゴーレムとは戦えないわ。」
「なん、だと。
その第七感は、どうやって身につけたらいいんだ。」
「それはね、」
と言いかけて、ユミコは首をふる。
「よしましょう。その必要はないのだから。」
「え、でも。」
「それは、ルギア様率いる聖戦に巻き込まれない限り、必要ないから。」
ユミコは笑顔で言ってくるが、俺は何処か納得いかない。
「もう、ユウタ、あなたの使命は魔王を倒す事でしょ。
ルギア様率いる聖戦云々は、別の物語でしょ。」
「う、うん。そうだね。」
ユミコの言葉に、俺は納得するしかなかった。
「あ、魔王と言えば。」
ユミコの口から魔王と言う単語が出たので、俺は気になった。
でも、どう聞けばいいんだ?
「えと、勇者ウラワの幻の金水晶って、3つあったみたいなんだけどさ、」
「え、そうなの?」
「え、ゴッドドラゴンから授かったんでしょ?」
「あー、あの時私達は、敵の足止めしてたから。
ゴッドドラゴンと会ったのは、タカスナひとりなんだよね。」
「それじゃあユミコは、ウラワが授かった3つの宝玉を知らないの?」
「ええ。あの時戻ってきたタカスナは、とても哀しい顔をしていたわ。
私達は、何があったのか、何も聞けなかったわ。」
「そう、なんだ。」
つまりユミコは、魔王こと竜王が、その時ウラワが授かった卵から孵った事を、知らない。
幻の金水晶と竜王との関係を、ユミコは知らない。
あそこは俺にとって、絶対突破不可能な、死亡確定の場所だった。
「最初の宮殿って事は、アリエスが味方してくれたのね。」
「名前までは、知らないけどね。」
ユミコの言葉に、とりあえず俺はうなずく。
「そのゴーレムが言ってたんだよ。最強の鎧と勇者の証が必要だって。
ウラワの鎧があれば、少しは戦えたのかな。」
「とんでもない!」
俺の何気ないひと言に、ユミコが素っ頓狂な声をあげる。
「ゴールドゴーレムの言う最強の鎧は、ウラワの鎧じゃないわよ。
それはゴーレム達と同じ素材、オリハルコンにガマニオン、スターダストサンドで作った鎧よ。
この素材は、サーイターマルドには存在しないわ。」
「え、そーなの。」
ユミコのひと言に、俺の血の気が引いていく。
あの時の俺、勝機ゼロだったんじゃん。
おまけにサーイターマルドじゃなかったから、勇者専用の転移蘇生の儀式の効果範囲外。
つまり、ルギア様は俺を殺そうとしていた事になる。
「どうやら、事の重大さが分かったようね。」
ユミコの言葉に、俺はすげー勢いでうなずく。
「さらに言うと、最強の鎧と勇者の証がそろっていても、ゴールドゴーレムには勝てないわよ。
第七感に目覚めてないとね。」
「第七感?」
「そう、五感や六感の先にある感覚。第七感。
この感覚を身につけないと、ゴールドゴーレムとは戦えないわ。」
「なん、だと。
その第七感は、どうやって身につけたらいいんだ。」
「それはね、」
と言いかけて、ユミコは首をふる。
「よしましょう。その必要はないのだから。」
「え、でも。」
「それは、ルギア様率いる聖戦に巻き込まれない限り、必要ないから。」
ユミコは笑顔で言ってくるが、俺は何処か納得いかない。
「もう、ユウタ、あなたの使命は魔王を倒す事でしょ。
ルギア様率いる聖戦云々は、別の物語でしょ。」
「う、うん。そうだね。」
ユミコの言葉に、俺は納得するしかなかった。
「あ、魔王と言えば。」
ユミコの口から魔王と言う単語が出たので、俺は気になった。
でも、どう聞けばいいんだ?
「えと、勇者ウラワの幻の金水晶って、3つあったみたいなんだけどさ、」
「え、そうなの?」
「え、ゴッドドラゴンから授かったんでしょ?」
「あー、あの時私達は、敵の足止めしてたから。
ゴッドドラゴンと会ったのは、タカスナひとりなんだよね。」
「それじゃあユミコは、ウラワが授かった3つの宝玉を知らないの?」
「ええ。あの時戻ってきたタカスナは、とても哀しい顔をしていたわ。
私達は、何があったのか、何も聞けなかったわ。」
「そう、なんだ。」
つまりユミコは、魔王こと竜王が、その時ウラワが授かった卵から孵った事を、知らない。
幻の金水晶と竜王との関係を、ユミコは知らない。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました
空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが当たり前になった世界。風間は平凡な会社員として日々を暮らしていたが、ある日見に覚えのないミスを犯し会社をクビになってしまう。その上親友だった男も彼女を奪われ婚約破棄までされてしまった。世の中が嫌になった風間は自暴自棄になり山に向かうがそこで誰からも見捨てられた放置ダンジョンを見つけてしまう。どことなく親近感を覚えた風間はダンジョンで暮らしてみることにするが、そこにはとても可愛らしいモンスターが隠れ住んでいた。ひょんなことでモンスターに懐かれた風間は様々なモンスターと暮らしダンジョン内でのスローライフを満喫していくことになるのだった。
異世界子ども食堂:通り魔に襲われた幼稚園児を助けようとして殺されたと思ったら異世界に居た。
克全
児童書・童話
両親を失い子ども食堂のお世話になっていた田中翔平は、通り魔に襲われていた幼稚園児を助けようとして殺された。気がついたら異世界の教会の地下室に居て、そのまま奴隷にされて競売にかけられた。幼稚園児たちを助けた事で、幼稚園の経営母体となっている稲荷神社の神様たちに気に入られて、隠しスキルと神運を手に入れていた田中翔平は、奴隷移送用馬車から逃げ出し、異世界に子ども食堂を作ろうと奮闘するのであった。
理不尽な異世界への最弱勇者のチートな抵抗
神尾優
ファンタジー
友人や先輩達と共に異世界に召喚、と言う名の誘拐をされた桂木 博貴(かつらぎ ひろき)は、キャラクターメイキングで失敗し、ステータスオール1の最弱勇者になってしまう。すべてがステータスとスキルに支配された理不尽な異世界で、博貴はキャラクターメイキングで唯一手に入れた用途不明のスキルでチート無双する。
私に成り代わって嫁ごうとした妹ですが、即行で婚約者にバレました
あーもんど
恋愛
ずっと腹違いの妹の方を優遇されて、生きてきた公爵令嬢セシリア。
正直不満はあるものの、もうすぐ結婚して家を出るということもあり、耐えていた。
でも、ある日……
「お前の人生を妹に譲ってくれないか?」
と、両親に言われて?
当然セシリアは反発するが、無理やり体を押さえつけられ────妹と中身を入れ替えられてしまった!
この仕打ちには、さすがのセシリアも激怒!
でも、自分の話を信じてくれる者は居らず……何も出来ない。
そして、とうとう……自分に成り代わった妹が結婚準備のため、婚約者の家へ行ってしまった。
────嗚呼、もう終わりだ……。
セシリアは全てに絶望し、希望を失うものの……数日後、婚約者のヴィンセントがこっそり屋敷を訪ねてきて?
「あぁ、やっぱり────君がセシリアなんだね。会いたかったよ」
一瞬で正体を見抜いたヴィンセントに、セシリアは動揺。
でも、凄く嬉しかった。
その後、セシリアは全ての事情を説明し、状況打破の協力を要請。
もちろん、ヴィンセントは快諾。
「僕の全ては君のためにあるんだから、遠慮せず使ってよ」
セシリアのことを誰よりも愛しているヴィンセントは、彼女のため舞台を整える。
────セシリアをこんな目に遭わせた者達は地獄へ落とす、と胸に決めて。
これは姉妹の入れ替わりから始まる、報復と破滅の物語。
■小説家になろう様にて、先行公開中■
■2024/01/30 タイトル変更しました■
→旧タイトル:偽物に騙されないでください。本物は私です
異世界でゆるゆる生活を満喫す
葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。
もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。
家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。
ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。
異世界複利! 【1000万PV突破感謝致します】 ~日利1%で始める追放生活~
蒼き流星ボトムズ
ファンタジー
クラス転移で異世界に飛ばされた遠市厘(といち りん)が入手したスキルは【複利(日利1%)】だった。
中世レベルの文明度しかない異世界ナーロッパ人からはこのスキルの価値が理解されず、また県内屈指の低偏差値校からの転移であることも幸いして級友にもスキルの正体がバレずに済んでしまう。
役立たずとして追放された厘は、この最強スキルを駆使して異世界無双を開始する。
神様お願い!~神様のトバッチリで異世界に転生したので心穏やかにスローライフを送りたい~
きのこのこ
ファンタジー
旧題:神様お願い!〜神様のトバッチリを受けた定年おっさんは異世界に転生して心穏やかにスローライフを送りたい〜
突然白い発光体の強い光を浴びせられ異世界転移?した俺事、石原那由多(55)は安住の地を求めて異世界を冒険する…?
え?謎の子供の体?謎の都市?魔法?剣?魔獣??何それ美味しいの??
俺は心穏やかに過ごしたいだけなんだ!
____________________________________________
突然謎の白い発光体の強い光を浴びせられ強制的に魂だけで異世界転移した石原那由多(55)は、よちよち捨て子幼児の身体に入っちゃった!
那由多は左眼に居座っている神様のカケラのツクヨミを頼りに異世界で生きていく。
しかし左眼の相棒、ツクヨミの暴走を阻止できず、チート?な棲家を得て、チート?能力を次々開花させ異世界をイージーモードで過ごす那由多。「こいつ《ツクヨミ》は勝手に俺の記憶を見るプライバシークラッシャーな奴なんだ!」
そんな異世界は優しさで満ち溢れていた(え?本当に?)
呪われてもっふもふになっちゃったママン(産みの親)と御親戚一行様(やっとこ呪いがどうにか出来そう?!)に、異世界のめくるめくグルメ(やっと片鱗が見えて作者も安心)でも突然真夜中に食べたくなっちゃう日本食も完全完備(どこに?!)!異世界日本発福利厚生は完璧(ばっちり)です!(うまい話ほど裏がある!)
謎のアイテム御朱印帳を胸に(え?)今日も平穏?無事に那由多は異世界で日々を暮らします。
※一つの目的にどんどん事を突っ込むのでスローな展開が大丈夫な方向けです。
⭐︎第16回ファンタジー小説大賞にて奨励賞受賞を頂きました!読んで投票して下さった読者様、並びに選考してくださったスタッフ様に御礼申し上げますm(_ _)m今後とも宜しくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる