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ユミコ奪還編~十二宮殿の戦い

第92話 勇者ストーリーを変えてしまった事に気づく

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 ルギアから勇者ウラワの話しを聞いた俺。
 捕らわれのユミコを救いに来たと言うのに、何やってんだろうか。


 勇者ウラワは、ゴッドドラゴンから3つの宝玉を授かったと言う。
 そのうちのひとつが、魔王退治の伝説にある、幻の金水晶。
 もうひとつが、この時代に魔王と呼ばれる竜王の卵。
 ならば、最後のひとつは、どうなったんだろう。

「さあ、それは私には分からないわ。
 だってゴッドドラゴンが居たのは、勇者ウラワと同じ世界。
 サーイターマルド、ジャパニガルドとは別の世界だから。
 それに、その当時私が、ゴーレム作りに没頭してた事は、前回、話したよね。」
「もしかしたら、それがゴーレムの素材になったのかもしれませんですね。」
 俺は当てずっぽうに言ってみる。

「うーん、それはどうだろう?
 確かに勇者ウラワは、私がサーイターマルドに使わしたゴーレム職人との接触があったけど、そこまでは分からないわ。」
 なるほど、そこは分からずじまいか。

 分からないと言えば、魔王こと竜王の行動も謎だ。
 幻の金水晶が竜王にゆかりのある物だとして、なぜ今になって動いたのだろう。
 それこそ、453年以上、オオミヤ城主に預けたままだったのに。

「それは、竜王をそそのかしたヤツが、いるからよ。」
「え?」

 ルギアも神さまな事もあって、俺の心が読めるらしい。
 言葉にしなくても伝わるから、助かるぜ。

「まさか、そのそそのかしたヤツって言うのは、」
 俺には、そいつに心当たりがあった。
「ええ、魔王軍六魔将のひとり、影の騎士よ。」
「やっぱりかぁ。」
 だって、魔王倒した後に影の騎士と戦う段取りだったって、以前ルギアも言ってたからな。

「ほんと、魔王を倒した後に、まさかの黒幕の登場。
 その熱い展開を、早々に潰しちゃったもんね。」

 くそ、ルギアのヤツ、嫌味ったらしい笑顔で言ってくるよ。
 だけど、神帝のほこらで影の騎士を倒してしまったのは、事実。
 俺とユミコとで。
 その熱い展開を潰してしまったのだから、なんらかの罰を受けるのも、当然なのかもしれない。

「なあルギア様。俺はどうしたらいい。」
「ん?なんの事かな?」
 くそ、分かってるくせに。

「竜王って、倒さなくちゃいけない敵なのか?
 なんか、話し合いで分かりあえる気がするんだけど。」
 そうだ、竜王をそそのかした影の騎士も、今はいない。
 勇者ウラワに幻の金水晶を託した、ゴッドドラゴンの息子なら、話しも通じる気がする。

「それは、あなたが決める事です。
 この旅を通じて、あなたが何を思うか。
 その答えは、あなたの心の中にしか、ありません。」

「そう、ですよね。」
 ルギアの言葉に、俺も何か吹っ切れた気がする。

「でも竜王は、最初にルギア神殿の総本山を襲撃したのです。これは、許されない事です。」
 あちゃー、ルギア様ったら、私怨ありきなのね。
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