上 下
80 / 221
ユミコ奪還編~十二宮殿の戦い

第80話 勇者牡羊座ゴーレムと対峙する

しおりを挟む
 ちゃーちゃちゃちゃちゃちゃちゃーん。
 この世に邪悪がはびこる時、必ずや現れると言う希望の闘士、勇者が現代のサーイターマルドに甦った。
 精霊ルギアの怒りに触れたユミコを救うため、十二時間以内に十二の宮殿を突破しなければならない。
 急げ、ユミコの勇者たちよ。


 第一の宮殿のゴーレムが、黄金の騎士の姿に形を変える。
「このまま突っ込むぞ!」
 シリウスシスターズの四人は、クダ状の武器を剣の形に変える。

「くらえ、カルテットアタック!」
「クリスタルウオール!」
 どごーん!

 黄金の騎士の前に、薄い膜の様な壁が出現。
 シリウスシスターズ四人の攻撃を跳ね返す。

「な、」
 俺より後方に、四人は吹っ飛ばされる。
 やはりゴーレムは強すぎる。強さの次元が違う。

 だけど俺には、これがある。
 俺は精霊の笛を取り出す。
「無駄ですよ。」
 と言いながら、黄金の騎士は歩み寄る。

 ぬかせ。強がってられるのも、今のうちだ。
 俺は精霊の笛を吹く。

 ちゃんちゃんちゃーあちゃーららんちゃんちゃーちゃーらーらーららん。

 精霊の笛を吹いてるにも関わらず、黄金の騎士のあゆみが止まらない!
 俺のそばまで来た黄金の騎士の指先が輝く!
「スターダストレボリューション!」
「ぐはっ。」

 俺の身体が吹っ飛ぶ。
 黄金の騎士が、どんな技を繰り出したのか、俺には見えなかった。
 やばい、実力差がありすぎるぞ!

「その精霊の笛は、無機物に宿った魂の伝達を、一時的に遮断する物。
 ですが、この次元空間では、我々も一個の生命体。
 その笛の効果は及びません。」

「な、」
 そう言えば、ここでは普通に喋ってやがる。
 チチブで相手にしたゴーレムとは、質が違うのか?

 だけどユミコを救うためには、戦うしかない。
 こいつら十二体のゴーレムと。

 俺たちは、ゆっくりと立ち上がる。
「まだ戦うつもりですか。」
「あ、当たり前じゃないか。」

「あなたが我々と対等に戦うためには、最強の鎧の装備と、勇者の証の加護が必要。
 どちらも所持していない今のあなたに、勝ち目は無いのです。」

 最強の鎧?勇者の証?
 そんなアイテムがあるのか。
 なら、それをゲットしてくれば、戦えるって事か。

「仮に最強の鎧と勇者の証をゲットしてくるとして、世界のどこにあるかも分からないアイテムを、どこからゲットしてくるのですか。
 それも、十二時間以内にゲットして、この十二宮殿を突破しなければならない。
 それが可能だと思いますか?」
「な、」

 俺はその場にへたり込む。
 黄金の騎士の言葉は、俺の心を折るのに充分だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

異世界に来たらコアラでした。地味に修行をしながら気ままに生きて行こうと思います

うみ
ファンタジー
 異世界に来たかと思ったら、体がコアラになっていた。  しかもレベルはたったの2。持ち物はユーカリの葉だけときたもんだ。  更には、俺を呼び出した偉そうな大臣に「奇怪な生物め」と追い出され、丸裸で生きていくことになってしまった。    夜に活動できることを生かし、モンスターの寝込みを襲うコアラ。  不親切にもまるで説明がないスキル群に辟易しつつも、修行を続けるコアラ。  街で買い物をするために、初心者回復術師にテイムされたふりをしたりして……。  モンスターがユーカリの葉を落とす謎世界で、コアラは気ままに生きて行く。 ※森でほのぼのユーカリをもしゃるお話。

異世界二度目のおっさん、どう考えても高校生勇者より強い

八神 凪
ファンタジー
   旧題:久しぶりに異世界召喚に巻き込まれたおっさんの俺は、どう考えても一緒に召喚された勇者候補よりも強い  【第二回ファンタジーカップ大賞 編集部賞受賞! 書籍化します!】  高柳 陸はどこにでもいるサラリーマン。    満員電車に揺られて上司にどやされ、取引先には愛想笑い。  彼女も居ないごく普通の男である。  そんな彼が定時で帰宅しているある日、どこかの飲み屋で一杯飲むかと考えていた。  繁華街へ繰り出す陸。  まだ時間が早いので学生が賑わっているなと懐かしさに目を細めている時、それは起きた。  陸の前を歩いていた男女の高校生の足元に紫色の魔法陣が出現した。  まずい、と思ったが少し足が入っていた陸は魔法陣に吸い込まれるように引きずられていく。  魔法陣の中心で困惑する男女の高校生と陸。そして眼鏡をかけた女子高生が中心へ近づいた瞬間、目の前が真っ白に包まれる。  次に目が覚めた時、男女の高校生と眼鏡の女子高生、そして陸の目の前には中世のお姫様のような恰好をした女性が両手を組んで声を上げる。  「異世界の勇者様、どうかこの国を助けてください」と。  困惑する高校生に自分はこの国の姫でここが剣と魔法の世界であること、魔王と呼ばれる存在が世界を闇に包もうとしていて隣国がそれに乗じて我が国に攻めてこようとしていると説明をする。    元の世界に戻る方法は魔王を倒すしかないといい、高校生二人は渋々了承。  なにがなんだか分からない眼鏡の女子高生と陸を見た姫はにこやかに口を開く。  『あなた達はなんですか? 自分が召喚したのは二人だけなのに』  そう言い放つと城から追い出そうとする姫。    そこで男女の高校生は残った女生徒は幼馴染だと言い、自分と一緒に行こうと提案。  残された陸は慣れた感じで城を出て行くことに決めた。  「さて、久しぶりの異世界だが……前と違う世界みたいだな」  陸はしがないただのサラリーマン。  しかしその実態は過去に異世界へ旅立ったことのある経歴を持つ男だった。  今度も魔王がいるのかとため息を吐きながら、陸は以前手に入れた力を駆使し異世界へと足を踏み出す――

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。 流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定! 剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。 せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!? オマケに最後の最後にまたもや神様がミス! 世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に なっちゃって!? 規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。 ……路上生活、そろそろやめたいと思います。 異世界転生わくわくしてたけど ちょっとだけ神様恨みそう。 脱路上生活!がしたかっただけなのに なんで無双してるんだ私???

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

公爵家に生まれて初日に跡継ぎ失格の烙印を押されましたが今日も元気に生きてます!

小択出新都
ファンタジー
 異世界に転生して公爵家の娘に生まれてきたエトワだが、魔力をほとんどもたずに生まれてきたため、生後0ヶ月で跡継ぎ失格の烙印を押されてしまう。  跡継ぎ失格といっても、すぐに家を追い出されたりはしないし、学校にも通わせてもらえるし、15歳までに家を出ればいいから、まあ恵まれてるよね、とのんきに暮らしていたエトワ。  だけど跡継ぎ問題を解決するために、分家から同い年の少年少女たちからその候補が選ばれることになり。  彼らには試練として、エトワ(ともたされた家宝、むしろこっちがメイン)が15歳になるまでの護衛役が命ぜられることになった。  仮の主人というか、実質、案山子みたいなものとして、彼らに護衛されることになったエトワだが、一癖ある男の子たちから、素直な女の子までいろんな子がいて、困惑しつつも彼らの成長を見守ることにするのだった。

異世界にツンデレ属性の妹と引きこもり気味系の兄が転生したら?

あぐる
ファンタジー
例えばいつもツンツンしている妹と毎日部屋に引きこもりオンラインゲームにいそしむ兄が突然異世界で生活することになったら・・・ いったい全てがどうなっていくのだろう? 果たして兄妹はどの道を選ぶのか?希望それとも絶望の道か 一日二話更新を目標に頑張ります

【完結】聖女と結婚するのに婚約者の姉が邪魔!?姉は精霊の愛し子ですよ?

つくも茄子
ファンタジー
聖女と恋に落ちた王太子が姉を捨てた。 正式な婚約者である姉が邪魔になった模様。 姉を邪魔者扱いするのは王太子だけではない。 王家を始め、王国中が姉を排除し始めた。 ふざけんな!!!   姉は、ただの公爵令嬢じゃない! 「精霊の愛し子」だ! 国を繁栄させる存在だ! 怒り狂っているのは精霊達も同じ。 特に王太子! お前は姉と「約束」してるだろ! 何を勝手に反故してる! 「約束」という名の「契約」を破っておいてタダで済むとでも? 他サイトにも公開中

処理中です...