37 / 221
ユミコ争奪編
第37話 勇者魔王と戦う意志を示す
しおりを挟む
ユミコ争奪戦の1回戦に、なんとか勝利した俺。
しかし、ユミコの変な実況のおかげで、なんか変な流れになっていた。
銀髪女に、魔王を倒す意志はあるのかと、問うユミコ。
対して銀髪女は、視線をそらして横を向く。
「く、許せ。君を守れなかった私に、君と話す資格はない。」
うーん、どんな理屈なんだ、それ。
「おい。」
ユミコは銀髪女のアゴをつかむと、自分と視線を合わせさせる。
「私が聞いてんだよ。おまえ達に魔王と戦う意志はあるのかって。
ちゃんと答えろよ。」
ユミコの表情から、笑顔が消えてる。
やっぱユミコさん、怒ってらっしゃる。
「な、何言ってんだ。
個人で魔王なんて、倒せる訳ないだろ。」
銀髪女は震える声で、そう答える。
思わずユミコは、ガンを飛ばす。
「ひ、わ、私はあなたを、や、野蛮な男達から、守りたかっただけで。」
銀髪女は怯えている。
なるほど、こいつらに感じてた違和感は、それだったか。
俺はその、野蛮な男って訳ね。
どうりで話しが通じなかった訳だ。
「ふーん、昔、勇者ウラワが魔王を倒したんだけどなぁ。」
ユミコが寂しげにつぶやく。
「そ、それは単なる言い伝えだろ。
勇者ウラワとは、魔王軍と戦った、軍隊の指揮官の名前だろ。」
と銀髪女が答える。
「はあ、この国に軍隊なんていないじゃん。
ま、タカスナも、四人パーティで魔王を倒した訳だし、ひとりで倒した訳じゃ、ないけどね。」
とユミコも、ため息混じりに吐き捨てる。
「タカスナ?」
と銀髪女はつぶやく。
勇者ウラワの本名なんて、伝わってないからな。
現に勇者ウラワの子孫である俺も、知らなかった訳だし。
「つまり、あんた達には、魔王と戦う意志はないのね。」
ユミコはおもむろに立ち上がり、他の三人の女性に声をかける。
三人の女性は、バツが悪そうに、視線を逸らす。
「はあ。」
くしくも、俺とユミコは同時にため息をつく。
なんだったんだ、さっきまでの戦闘は。
俺が女性の敵だと、変に認識されちまっただけじゃねーか。
「えー、この会場で、魔王と戦う意志のある人は、いますか。」
ユミコは会場全体に向かって、声をあげる。
静まりかえる会場。
「いたら、手を上げてください。」
ユミコの呼びかけに、俺は手を上げる。
「え?」
「え?」
俺と戦った四人が、え、と言ったので、俺も思わずおうむ返してしまった。
なんか、会場中から信じられないモノを見る視線が、俺に注がれてる。
実際手を上げたのは、俺だけだ。
このユミコ争奪戦の茶番に参加している、残りの二人組と三人組の計五人は、なぜか手を上げていない。
え、じゃあこのユミコ争奪戦って、なんだったの?
しかし、ユミコの変な実況のおかげで、なんか変な流れになっていた。
銀髪女に、魔王を倒す意志はあるのかと、問うユミコ。
対して銀髪女は、視線をそらして横を向く。
「く、許せ。君を守れなかった私に、君と話す資格はない。」
うーん、どんな理屈なんだ、それ。
「おい。」
ユミコは銀髪女のアゴをつかむと、自分と視線を合わせさせる。
「私が聞いてんだよ。おまえ達に魔王と戦う意志はあるのかって。
ちゃんと答えろよ。」
ユミコの表情から、笑顔が消えてる。
やっぱユミコさん、怒ってらっしゃる。
「な、何言ってんだ。
個人で魔王なんて、倒せる訳ないだろ。」
銀髪女は震える声で、そう答える。
思わずユミコは、ガンを飛ばす。
「ひ、わ、私はあなたを、や、野蛮な男達から、守りたかっただけで。」
銀髪女は怯えている。
なるほど、こいつらに感じてた違和感は、それだったか。
俺はその、野蛮な男って訳ね。
どうりで話しが通じなかった訳だ。
「ふーん、昔、勇者ウラワが魔王を倒したんだけどなぁ。」
ユミコが寂しげにつぶやく。
「そ、それは単なる言い伝えだろ。
勇者ウラワとは、魔王軍と戦った、軍隊の指揮官の名前だろ。」
と銀髪女が答える。
「はあ、この国に軍隊なんていないじゃん。
ま、タカスナも、四人パーティで魔王を倒した訳だし、ひとりで倒した訳じゃ、ないけどね。」
とユミコも、ため息混じりに吐き捨てる。
「タカスナ?」
と銀髪女はつぶやく。
勇者ウラワの本名なんて、伝わってないからな。
現に勇者ウラワの子孫である俺も、知らなかった訳だし。
「つまり、あんた達には、魔王と戦う意志はないのね。」
ユミコはおもむろに立ち上がり、他の三人の女性に声をかける。
三人の女性は、バツが悪そうに、視線を逸らす。
「はあ。」
くしくも、俺とユミコは同時にため息をつく。
なんだったんだ、さっきまでの戦闘は。
俺が女性の敵だと、変に認識されちまっただけじゃねーか。
「えー、この会場で、魔王と戦う意志のある人は、いますか。」
ユミコは会場全体に向かって、声をあげる。
静まりかえる会場。
「いたら、手を上げてください。」
ユミコの呼びかけに、俺は手を上げる。
「え?」
「え?」
俺と戦った四人が、え、と言ったので、俺も思わずおうむ返してしまった。
なんか、会場中から信じられないモノを見る視線が、俺に注がれてる。
実際手を上げたのは、俺だけだ。
このユミコ争奪戦の茶番に参加している、残りの二人組と三人組の計五人は、なぜか手を上げていない。
え、じゃあこのユミコ争奪戦って、なんだったの?
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
悪意か、善意か、破滅か
野村にれ
恋愛
婚約者が別の令嬢に恋をして、婚約を破棄されたエルム・フォンターナ伯爵令嬢。
婚約者とその想い人が自殺を図ったことで、美談とされて、
悪意に晒されたエルムと、家族も一緒に爵位を返上してアジェル王国を去った。
その後、アジェル王国では、徐々に異変が起こり始める。
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
転生ババァは見過ごせない! 元悪徳女帝の二周目ライフ
ナカノムラアヤスケ
ファンタジー
かつて世界を征服しようとした女皇帝がいた。
名をラウラリス・エルダヌス。
長きに渡り恐怖と暴力によって帝国を支配していた彼女は、その果てに勇者との戦いによって息絶える。
それから三百年の月日が流れた。
実はラウラリスは世界の為に悪役を演じていただけであり、その功績を神に認められた彼女は報酬として新たなる(若返った)肉体としがらみをもたない第二の人生を与えられることとなる。
これは悪役を演じきったババァの、第二の人生譚である。
おさがしの方は、誰でしょう?~心と髪色は、うつろいやすいのです~
ハル*
ファンタジー
今日も今日とて、社畜として生きて日付をまたいでの帰路の途中。
高校の時に両親を事故で亡くして以降、何かとお世話になっている叔母の深夜食堂に寄ろうとした俺。
いつものようにドアに手をかけて、暖簾をぐぐりかけた瞬間のこと。
足元に目を開けていられないほどの眩しい光とともに、見たことがない円形の文様が現れる。
声をあげる間もなく、ぎゅっと閉じていた目を開けば、目の前にはさっきまであった叔母さんの食堂の入り口などない。
代わりにあったのは、洞窟の入り口。
手にしていたはずの鞄もなく、近くにあった泉を覗きこむとさっきまで見知っていた自分の姿はそこになかった。
泉の近くには、一冊の本なのか日記なのかわからないものが落ちている。
降り出した雨をよけて、ひとまずこの場にたどり着いた時に目の前にあった洞窟へとそれを胸に抱えながら雨宿りをすることにした主人公・水兎(ミト)
『ようこそ、社畜さん。アナタの心と体を癒す世界へ』
表紙に書かれている文字は、日本語だ。
それを開くと見たことがない文字の羅列に戸惑い、本を閉じる。
その後、その物の背表紙側から出てきた文字表を見つつ、文字を認識していく。
時が過ぎ、日記らしきそれが淡く光り出す。
警戒しつつ開いた日記らしきそれから文字たちが浮かび上がって、光の中へ。そして、その光は自分の中へと吸い込まれていった。
急に脳内にいろんな情報が増えてきて、知恵熱のように頭が熱くなってきて。
自分には名字があったはずなのに、ここに来てからなぜか思い出せない。
そしてさっき泉で見た自分の姿は、自分が知っている姿ではなかった。
25の姿ではなく、どう見ても10代半ばにしか見えず。
熱にうなされながら、一晩を過ごし、目を覚ました目の前にはやたらとおしゃべりな猫が二本足で立っていた。
異世界転移をした水兎。
その世界で、元の世界では得られずにいた時間や人との関わりあう時間を楽しみながら、ちょいちょいやらかしつつ旅に出る…までが長いのですが、いずれ旅に出てのんびり過ごすお話です。
引きこもり令嬢はやり直しの人生で騎士を目指す
天瀬 澪
ファンタジー
アイラ・タルコットは、魔術師を数多く輩出している男爵家の令嬢である。
生まれ持った高い魔力で、魔術学校に首席合格し、魔術師を目指し充実した毎日を送っていたーーーはずだった。
いつの間にか歯車が狂い出し、アイラの人生が傾いていく。
周囲の悪意に心が折れ、自身の部屋に引きこもるようになってしまった。
そしてある日、部屋は炎に包まれる。
薄れゆく意識の中で、アイラに駆け寄る人物がいたが、はっきりと顔は見えずに、そのまま命を落としてしまう。
ーーーが。
アイラは再び目を覚ました。
「私…私はまだ、魔術学校に入学してはいない…?」
どうやら、三年前に戻ったらしい。
やり直しの機会を与えられたアイラは、魔術師となる道を選ぶことをやめた。
最期のとき、駆け寄ってくれた人物が、騎士の服を身に着けていたことを思い出す。
「決めたわ。私はーーー騎士を目指す」
強さを求めて、アイラは騎士となることを決めた。
やがて見習い騎士となるアイラには、様々な出会いと困難が待ち受けている。
周囲を巻き込み惹きつけながら、仲間と共に強く成長していく。
そして、燻っていた火種が燃え上がる。
アイラの命は最初から、ずっと誰かに狙われ続けていたのだ。
過去に向き合ったアイラは、一つの真実を知った。
「……あなたが、ずっと私を護っていてくれたのですね…」
やり直しの人生で、騎士として自らの運命と戦う少女の物語。
18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした
田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。
しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。
そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。
そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。
なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。
あらすじを読んでいただきありがとうございます。
併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。
より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!
死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?
わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。
ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。
しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。
他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。
本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。
贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。
そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。
家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。
転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~
りーさん
ファンタジー
ある日、異世界に転生したルイ。
前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。
そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。
「家族といたいからほっといてよ!」
※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる