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ユミコ争奪編

第26話 勇者ユミコにしらばっくれられる

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 イワツキの村で、装備を整えた俺。
 ちょっと魔物と戦ってみたくなった。


 だけどユミコとの待ち合わせがあるので、イワツキの村をぶらついてみる。
 ついでに、情報収集としゃれこみますか。

「南の島とをつなぐ海底洞窟に、ドラゴンが住み着いたらしい。」
「その海底洞窟に、魔物にさらわれたローザ姫の幽霊が出るんだってさ。」
「魔法の鍵なら、南の島のサカドの街に売ってるらしいぞ。」
「南の島の魔物は、ここら辺よりも凶暴だぞ。行かない方が身のためだ。」
「サカドの街の攻防戦は、すごかったらしい。」
「この村の温泉は、妖精が住むって言い伝えがある。」


 なるほど、次の行き先は、サカドの街って事になるのか。
 そう言えば、ここに来る途中、その海底洞窟の入り口羅らしき物を見たな。

「離してください!」
 そこへ、なんか聞き覚えのある声が聞こえる。
 行ってみると、ひとりの女性がふたり組みの男に、絡まられてた。

「いいじゃん、俺たちと魔王討伐としゃれこもうぜ。」
「嫌です、離してください!」

 どうやら男ふたりは、魔王討伐に旅立った者たちらしい。
 そんな男に絡まられる女性。

 薄い青色の髪の毛は腰辺りまで伸びて、毛先は軽く渦巻いている。
 頭には輪っかみたいなのをはめ、輪っかの正面にはなんかの宝石がはめられている。
 ミニスカートのワンピースは白く、薄く青みがかったマントを羽織っている。
 肘までくる手袋と、膝までくるブーツは、黄色かった。
 そして手に持つ杖には、三角錐を横にした様なオブジェが付けられている。

 そしてこの声。
 おそらくユミコだろう。
 思ってた通り、知的で気品のある優雅な美人だった。

「これ、嫌がってるじゃろ。」
 俺が助けに入ろうとしたら、先越された。
 ひとりの爺さんがユミコの助けに入る。

「なんだ、このくそジジイ!」
 男のひとりがすごむ。
「ピカ。」
 爺さんはなんと、街中でピカの呪文を唱える。
 ピカをくらった男が膝をつく。

「く、ジジイ、お前も勇者のひとりか。」
「そうじゃ。このぴちぴちギャルは、わしとパーチーを組むんじゃ。」
 爺さんの顔がエロく歪む。
「ちょっと待ったぁ。」
 数人の野次馬が、声を上げる。
「その人とパーティ組むのは、この俺です!」
 ユミコは数人の男どもに囲まれる。

「ちょっと男子ぃ。やめなさいよ。」
「その子は女子同士で、パーティ組むのよ。」
 数人の女性勇者達も、ユミコ争奪戦に加わる。

「あのー、その人、俺の連れなんですよー。」
 俺は取り囲む野次馬どもをかきわけ、ユミコに近づく。
 俺はユミコの手を取って、この場を離れようとする。

 しかし、信じられない言葉が返ってくる。
「あのー、あなた誰ですか?」
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