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ユミコ争奪編
第29話 勇者ユミコを泣かす
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イワツキの村でユミコと再会した俺だが、ユミコに拒まれた俺は、女性不信症を患ってしまう。
「何があなたの仲間になる、だよ。」
心傷つく俺は、温泉に浸かって愚痴る。
ユミコは確かに、勇者ウラワの子孫の力になりたいって言ってた。
それなのに、あれは何だよ。
俺も、女性不信にならずにはいられない。
「あなたは、私の争奪戦に出ないの?」
「誰が出るかよ。」
「そう。」
会話が成立して、なんか悲しげな返しがきたので、俺は後ろを振り返る。
そこにはバスタオル一枚巻いただけのユミコが立っていた。
「わ、ここ男湯だぞ。誰か来たら、どーすんだよ。」
「それなら大丈夫。冷熱遮断呪文使ったから、誰も入ってこないわよ。」
冷熱?
なんだそれ。そんな呪文、聞いた事ないぞ。
だけどユミコは、俺の知らない回復呪文を使ってみせた。
この何とかって呪文も、その類いだろう。
だけど誰かに見られて、またユミコのせいでボコられるのは、ごめんだぞ。
俺は温泉から出ようと立ち上が、りたかったが、隠すモノがないので、温泉に浸かったままだ。
「それより、なんで私の争奪戦、出てくれないのかな?」
「いーよ、そんなの。どうせ最初から、ひとりで行くつもりだったし。」
「それじゃあ、私は何のために、453年も待ったのよ。」
「知らねーよ、そんなの。他のヤツと組めばいーじゃん。」
「そんな、私はタカスナの子孫のあなたと組みたいのに。」
「だったら、普通に組めば良かったじゃん。」
「で、でも、その場のノリで、仕方なく。」
「何がその場のノリだよ。勝手にしろ。」
俺は温泉から出ようと立ち上がる。
隠す物はないので、仕方なく手で隠す。
「ごめんなさい。あなたを怒らせるつもりは無かったの。
どうしたら許してくれるかな。」
って、おいおい。
素っ裸の男に、それを聞きますか。
「そうだな。」
俺は前屈みになりながら、少し考える。
ユミコに対しては、先祖の勇者ウラワタカスナの事もあるので、あまり足元を見る様な事は、言いたくない。
「じゃあ、タカスナに見られたって言う姿を、俺にも見せてくれたら、許してやるよ。」
俺は、やらせろとか言うよりマシだろと思った。
「そんな、それだけは、勘弁してください。」
ユミコは涙をこぼしはじめた。
「他の事なら、何でもしますので、それだけは、勘弁してください。
お願いです。裸なら、お見せしますから。」
ユミコは泣きながら、バスタオルに手をかける。
バスタオルを取って裸を見せようと、そのバスタオルを握る右手は震えている。
「わ、分かった、俺が悪かった。」
その姿は、裸を見られるよりツラい事らしい。
「じゃあ、タカスナに聞かせた銀の笛を、俺にも聞かせてくれ。
そしたら、俺も、許してやるよ。」
「何があなたの仲間になる、だよ。」
心傷つく俺は、温泉に浸かって愚痴る。
ユミコは確かに、勇者ウラワの子孫の力になりたいって言ってた。
それなのに、あれは何だよ。
俺も、女性不信にならずにはいられない。
「あなたは、私の争奪戦に出ないの?」
「誰が出るかよ。」
「そう。」
会話が成立して、なんか悲しげな返しがきたので、俺は後ろを振り返る。
そこにはバスタオル一枚巻いただけのユミコが立っていた。
「わ、ここ男湯だぞ。誰か来たら、どーすんだよ。」
「それなら大丈夫。冷熱遮断呪文使ったから、誰も入ってこないわよ。」
冷熱?
なんだそれ。そんな呪文、聞いた事ないぞ。
だけどユミコは、俺の知らない回復呪文を使ってみせた。
この何とかって呪文も、その類いだろう。
だけど誰かに見られて、またユミコのせいでボコられるのは、ごめんだぞ。
俺は温泉から出ようと立ち上が、りたかったが、隠すモノがないので、温泉に浸かったままだ。
「それより、なんで私の争奪戦、出てくれないのかな?」
「いーよ、そんなの。どうせ最初から、ひとりで行くつもりだったし。」
「それじゃあ、私は何のために、453年も待ったのよ。」
「知らねーよ、そんなの。他のヤツと組めばいーじゃん。」
「そんな、私はタカスナの子孫のあなたと組みたいのに。」
「だったら、普通に組めば良かったじゃん。」
「で、でも、その場のノリで、仕方なく。」
「何がその場のノリだよ。勝手にしろ。」
俺は温泉から出ようと立ち上がる。
隠す物はないので、仕方なく手で隠す。
「ごめんなさい。あなたを怒らせるつもりは無かったの。
どうしたら許してくれるかな。」
って、おいおい。
素っ裸の男に、それを聞きますか。
「そうだな。」
俺は前屈みになりながら、少し考える。
ユミコに対しては、先祖の勇者ウラワタカスナの事もあるので、あまり足元を見る様な事は、言いたくない。
「じゃあ、タカスナに見られたって言う姿を、俺にも見せてくれたら、許してやるよ。」
俺は、やらせろとか言うよりマシだろと思った。
「そんな、それだけは、勘弁してください。」
ユミコは涙をこぼしはじめた。
「他の事なら、何でもしますので、それだけは、勘弁してください。
お願いです。裸なら、お見せしますから。」
ユミコは泣きながら、バスタオルに手をかける。
バスタオルを取って裸を見せようと、そのバスタオルを握る右手は震えている。
「わ、分かった、俺が悪かった。」
その姿は、裸を見られるよりツラい事らしい。
「じゃあ、タカスナに聞かせた銀の笛を、俺にも聞かせてくれ。
そしたら、俺も、許してやるよ。」
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