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銀の笛奪還編

第19話 勇者気づく

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 銀の笛を持ち帰った俺だが、なぜか怒られてしまう。
 なんか、吟遊詩人ユーズルの墓について、認識のズレがあるらしい。
 そして姿無き女性の声の主は、俺の仲間になりたかったみたい。
 この声の人、絶対美人に違いない!
 最近の声優さんも、ルックス重視なんだから、絶対かわいいはず!
 これは絶対、仲間にするべきだ!
 宿屋に泊まった時のお楽しみが出来る!


「えと、そのユーズルが作ったダンジョン?
 その上に広場が出来てて、ユーズルファンの聖地になってましたよ。」
 俺はとりあえず、女性の声の主の誤解を解くべく、説明する。
「まあ、それでもあなた、勇者ウラワの子孫ですか。
 嘘をつくなんて、みっともない!」
 女性の声の主は、なぜか俺の話しを信じてくれない。

「本当ですよ、こんな嘘ついて、どうするんですか。」
 俺はなんとか弁明する。

 でも、この綺麗な声の人が、ほんとにかわいいかは、分からない。
 いや、これでかわいくなかったら、詐欺で訴えてもいいレベルだが。
 知的で気品のあるこの声は、美人にしか出せないだろう。
 とは言え、人の話しを聞かないタイプみたいなんで、なんかどーでもーよくなってきた。

 つっても、何とかして顔が見たい。
 この人を仲間にするかは、その後だ。

「ほんと、嘘をとりつくろおうって仕草は、タカスナそっくりね。」
「え?」
 いきなり昔の勇者の名前出されても、俺はどうしたらいい?

「タカスナもね、よくそうやって弁明したものよ。」
「はあ、そうですか。」
「でも、あとあと考えると、タカスナの言ってる事って、正しかったのよね。
 その時は、受け入れられない事だったりするんだけど。」
「え?」

 この人、何言ってんだ?
 勇者ウラワの子孫である俺も、タカスナって名前は知らなかった。
 それを知ってるこの人は、何者なのだろう。
 それに、銀の笛を吟遊詩人ユーズルに盗まれた、とも言っていた。

 この人、何者?
 今何歳なんだ?

「あの、あなたはタカスナを、勇者ウラワをご存じなのですか?」
 俺は恐る恐る聞いてみる。
 これで、ある程度答えが分かる。
 この綺麗な声の持ち主が、幽霊なのかどうなのか。

「そりゃあ、私は、勇者ウラワと旅をした仲間のひとりですからね。」
 この答えで、俺は確信する!
 このひとは、さまよえる幽霊!
 吟遊詩人ユーズルに銀の笛を奪われ、成仏出来なかったに違いない!

「あ、あのー、とりあえず銀の笛は取り戻して来たのですがー。」
 俺は銀の笛を取り出す。
 これを渡して、とっととここを去ろう。
 この幽霊が美人だろうがどうだろうが、最早どうでもいい!
 ってちょっと待て、俺の仲間になりたいとか言ってなかったか?
 それって、俺に取り憑くって事なのか?

 やばい、身体の震えが止まらない。
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